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33.たくさんの褒め言葉

 いつの間にか用意されているたくさんのご馳走を囲んで、陽気な雰囲気が会場を包み込む。


「あの時はアイラのことをちゃんと知らずに入団を反対してごめんなさい」

「ううん。全然気にしてない!」

「でも、ちゃんと謝りたかったの」


 ジュルアはそう言って、私にジュースを差し出す。


「そういう真面目な所が素敵だよ」

「ありがとうございます……」


 照れ臭そうに目を逸らすジュルアを見て、可愛らしく見えた。


「そういうアイラも優しくて素敵だと思いますよ」

「ふぇ!?」


 いきなり褒められて、変な声が出てしまう。


「ふふ。照れてますね」

「む。そうやって褒めてくれる所も凄く良いんだから!」

「そういうアイラだって、凄く良い友人だと思います」


 もっとジュルアに恥ずかしがってほしいと褒め言葉を何個も並べる。

 同じくジュルアも私を何度も褒めてきた。


「ふふ。責め合いならぬ褒め合いですね」

「そうだね。くすぐったいのと楽しいので変な気分」


 お互いにお腹の底から笑いが溢れ出る。

 

「やっぱり。ジュルアと話していると凄く心地が良いよ」

「そうね。私もアイラと友達になれて良かったです」

「これからも友達で居てくれる?」

「もちろんです!」


 そんな話をしていると、私は肩をトントンと軽く叩かれた。


「今日の主役はアイラなんだから、独り占めしないの」

「それは失礼しました。また話そうねアイラ」

「もっとジュルアと話したい!」


 私の言葉は届かず、腕を引かれて別の場所へ連れられてしまう。

 それを笑顔で見送るジュルアに私は頬を膨らませた。


「アイラの挨拶だよ!」

「えっ? そんなの準備してないよ」

「大丈夫。こういうのはノリと勢いなんだから」


 いつの間にかステージに立たされていると、みんなの視線が集まる。


「えっと。アイラ・リンドヴルムです」

「もっと自信を持って!」

「アイラの演奏はすごいんだから!」


 ワイワイとした声援が飛び交う中で私はゆっくりと息を吐く。


「これから皆さんと一緒に心に一生残るような演奏ができるように頑張ります!」

「いいぞいいぞ!」

「一緒にがんばろ!」


 そんな声援が春風のような賑やかだけど心地よい風に耳を撫でる。

 緊張したからか手には汗が滲んでいるけど、気分は清々しかった。


「それじゃあ、団長のベンさんからファルト音楽団を代表して挨拶をお願いします」


 ベン様はステージ上に立つと、ジッと私のことを見つめる。

 その目には優しさがこもっていた。


「アイラと俺の妻として出会ったことが始まりだった」


 ベン様の口から予想にしなかった言葉が出てくる。

 私との出会いやピアノを初めて演奏した時の感動を語り出して、恥ずかしい気分になってしまう。


「アイラのひたむきに努力をする様子はみんな認めていると思う」


 ベン様は平気な表情で私のことを褒めるから、顔が真っ赤になって仕方ない。

 頬に熱気が溜まってきた所でようやく挨拶が終わった。


「ベンさん大胆!」

「アイラも可愛いよ!」

「ラブラブだね!」


 そんなガヤが飛んでくるから、余計に恥ずかしい気分になってしまう。


「ベン様! みんなの前であれは恥ずかしいです!」

「アイラのいい所を言っただけだぞ?」


 ベン様は何事もなかったような表情をしていて、言葉には言い表せないけどどこか不服だった。

 それでも、ベン様があれだけ私のことを見てくれるのは嬉しく感じる。


「それでは、ファルト音楽団からアイラにプレゼントを贈らせてもらいます」

 

 そんな声が会場に響く。

 私は何が起こるのか楽しみに思って、辺りを見渡した。

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