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24.ただいま

「あっ……晴れてる」

「そうだな」


 目が覚めて外を見ると、雲ひとつない青空に虹がかかっていた。


「すごい綺麗」

「ああ。晴れて良かった」


 ふと、ベン様の方を見ると清々しい表情を浮かべている。


「あ、あの……昨日はありがとうございます」

「君が元気になって良かったよ」


 優しく抱きしめられた感触を思い出すと、顔を紅潮させてしまう。


「今思い返すと小っ恥ずかしいことをしたな」


 ベン様は照れるように頭を掻いている。

 そんな様子を見て、ついクスッと笑いが溢れた。


「まあ、アイラが笑顔になればそれで良いか」

「はい!」

 

 私は元気よく返事をすると、お腹が鳴る音が響く。 


「そろそろ公爵邸に戻ろうか」

「あぅ……」


 確実にベン様に恥ずかしい音を聞かれたことに落ち込んでしまう。


「さて、虹の下で散歩をしようか」

「はい!」


 それでもベン様に手を握られると、身体中に幸せが駆け巡る。

 私は今にも飛び跳ねそうなくらいに軽い足取りで道を歩く。


「大分吹っ切れたようだな」

「そう……ですか?」

「あぁ。とても幸せだと顔に書いてあるぞ」


 地面に映る私の顔はとてもスッキリとして表情を浮かべていた。


「これも全てベン様のおかげです!」

「それは良かった」


 ベン様は照れ臭そうに頭を掻く。


「二人で自然の中を歩くのは楽しいな」


 確かに空気は驚くほどに澄んでいて、風が心地よく揺れている。

 二人で話しながら歩いていると、すぐに公爵邸に着いてしまう。


「もう着いちゃいましたね」

「寂しそうな表情をするな。また一緒に歩こう」

「はい!」


 そんな話をしながら公爵邸のドアを開くと、ナターシャさんがほっと安心をしたような表情を浮かべていた。


「アイラ様。ご無事で本当によかったです」

「ごめんなさい。心配をかけて」


 普段は冷静だが取り乱して涙を流す様子を見て、心配していたことが伝わってくる。


「でも、ありがとうね。心配してくれて」

 

 その分大切にされていると実感して、とても嬉しくも感じた。


「ええ。私はアイラ様の味方ですよ」


 ハンカチで目尻を拭くと、ナターシャさんは穏やかな笑顔を浮かべる。


「どんな過去があろうとも、素敵なアイラ様には変わりありません」


 素敵と言われて照れてしまうと、ベン様は私の手を握る力を強めた。


「アイラはとても素敵な女性だよ」

「ふぇ!?」


 いきなりの褒め言葉に混乱して変な声をあげてしまう。

 

「ベン様も顔色が良くなりましたね」

「いや、俺は普通だが……」

「表情が前よりも和らいでいますよ」


 ふと隣を見ると、ベン様は照れ臭そうに笑う。


「二人とも元気に帰ってきて良かったです」


 ナターシャさんは背筋を伸ばして、ゆっくりとお辞儀をする。


「おかえりなさいませ」

「ただいま戻った」

「ただいまです」

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