表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/83

間話:伯爵家の現在(アイラの父親視点)

「おい。リンドヴルム公爵家から仕送りは届いているか?」

「届いておりません」


 娘が役に立たないことに苛立ちを覚えている。

 厄介者の娘だったアイラは何を考えていると、今すぐに問い詰めたい気分だった。


「何をやっているんだ。あの娘は!」


 これまで育ててきた恩を仇で返されて怒りが収まらない。

 ただでさえサートン家は借金に追われている。

 それにも関わらず、アイラは公爵家で贅沢な暮らしをしていると想像すると余計に腹立たしい


「忌々しい娘だ」


 そう吐き捨てると、部屋がノックされた。


「お父様! 次のお茶会で新しいドレスを着てみたいです」

「そうかそうか。可愛い娘のためならいくらでも買うさ」

「ありがとう!お父様!」

 

 可愛い娘のためにも、お金をどう集めるか考える。

 

「ふぅ……」


 最近どうもため息が多くなってきた気がした。

 溜まった書類作業はやけに進みが遅い。


「おい!」

「どうかなさいましたか?」

「部屋に埃が舞っているぞ」


 それに部屋が汚く感じることが多々ある。

 

「無能にやる金はないぞ!」

「大変申し訳ございません」


 慌てて床の掃除を始める使用人を横目に仕事の続きをしていく。

 相変わらず仕事の進み具合は前よりも悪く感じて、段々とストレスを感じてきた。


「お父様!」

「ルージュ。どうしたんだい?」

「聞いてください! リストン様が全然構ってくれません!」


 そう言って俺の服の裾を掴むルージュを宥める。

 最近のルージュの虫の居所も悪く、気に入らないことがある度にドレスや宝石を買えと言ってきた。


「大丈夫だ。ルージュはとても愛らしい娘だ」

「そうですか?」


 俺はそう言ってルージュの気分を治める。


「ああ。リストン公爵に掛け合ってみるよ」


 ただ、リストン公爵からの仕送りが減額されることを危惧すると、下手なことは言えない。

 だからと言って、高額なものをこれ以上買うお金もなかった。


「出来損ないの娘が全て悪い」 


 俺はそう納得して、リンドヴルム公爵家に催促の手紙を書き出す。

 

「あの無能め。余計な手間を増やしやがって」


 使用人に手紙を出させると、再び書類と向き合う。

 相変わらず事業は赤字続きで苛立ちばかりが募る。

 睡眠も短くなって、疲れで余計にストレスがかかっていた。

 

「久しぶりに賭け事をしよう」


 時間と借金のせいでギャンブルで日頃の鬱憤を晴らす手段すら使えない。

 アイラから仕送りが届いたら、賭場に行こうと考えて再び書類に視線を向ける。


「絶対に許さんぞ」

 

 最近の悩みは全部、公爵家から仕送りを送らないアイラのせいだと自分に言い聞かせた。

 最悪の親不孝をする娘を思い出して、机を強く叩く。

 碌に睡眠を取れていないせいで、あくびが口から溢れる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ