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GC用語 鯉→コイツを食らいな!:滅茶苦茶痛い大技

「中々いい部屋だな。」


部屋に入ってすぐ、直矢が言った。


「まあね。なんかこの家、母方のお祖母ちゃんが持ってた家を譲ってくれたらしいんだけど、結構大きくて住みやすいんだ。」


母方の家系が結構お金持ちだったみたいで結構こういうことがある。まあ、うちの親の代まで来るとそれももう少なくなってはいるけど。自慢みたいになっちゃうからあまり人には言わないんだけどね。


「さてと、QS4をセットして始めようじゃないか。セットしていいならしちゃうけど、配線いじって大丈夫?」


「いや、流石にこれくらいは自分でやるよ。」


旧QS4から線を引っこ抜いてQS4に刺していく。


「そういえばデータってどうなってるの?」


移行しなきゃならないなら結構面倒だなぁ。


「もちろん移行済みさ。まあ、バックアップ的な意味もあって元のQS4にもデータは入ってるけどね。ついでにDLCキャラも全部買っておいたよ。」


「おっマジで? 金なくて一部しか買えて無かったから嬉しいなぁ。」


実際に練習して使うかはともかく知らないキャラ触るの楽しいよね。


「楓ちゃんは誰使うんだい?」


澄也に聞かれる。


「一番使ってるのはイノスかなー。たまにスチュアート中尉。」


「あー、イノスねー。ワンチャン力高くて相手するの苦手だなー。」


「澄也は?」


「リリスちゃんかエメラルド船長かなー。可愛いしテクニカルで使ってて楽しいんだよね。」


「リリス難しくない?」


相手にすると強いけど自分で操作するとアホみたいに弱いキャラ筆頭。


「まあねー。でもその分上手く立ち回れてパフェなんてとれた時はすごく気持ちいいよね。」


「なるほどねー。じゃあ早速やろうぜ。」


久々のオフ対人。ワクワクするなぁ。


「澄也さん澄也さん。」


エディが澄也に話しかける。


「ん? どうしたの?」


「漢字ドリル、出してもらっていいですか? 今やります!」


「おおー、勤勉だねぇ! この中に……あった。はい。分かんないことがあったら聞いてね。」


澄也がカバンの中をまさぐってエディに渡す。


「はい、分かりました!」


「あー、俺はリビングに降りることにする。ゲームは見ていてもよく分からんしな。」


と直矢。


「了解了解ー。」


澄也が答える。


「さてと、今度こそやろう!」


「おう!」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


「もう一回! もう一回やろう!」


結果としては俺の惨敗。数試合したけど未だに一回も勝てていない。


「もちろん、望むところだよ。」


「澄也、煙の使いどころが上手いんだよなぁ。あとはあそこのラブハリ読めればなぁ……」


「楓ちゃんも中々上手いと思うけどねー。cb食らいそうになったときはヒヤッとしたなぁ。」


「アレ当たってたら澄也負けてたもんね。逆にあの後の分身択当てられればなぁー。欲かいてスライディングで来ると思ったんだけど。」


「削りでHPミリだったからねぇ。アウトオブチョイスは反確だし、危なかった。僕もあそこで勝負決めたかったからスライディングでいくか迷ったんだけどいかないで正解だったよ。」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


「鯉に轢かれた……」


「当たっちゃったねぇ。」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


「悔しすぎるー!」


コンボをミスって勝てた試合を落としてしまった。


「いやー、負けたかと思ったよ。」


「これはアレだ! 手が! いつもと違う手だから!」


精密な動作になるといつもと違うのは大きい! よね!


「言い訳は見苦しいよ楓ちゃーん。」


「それは……そうだな……」


こと勝負において言い訳はみっともないというのは俺も思っていることなので言い返せない。


と、話していたら


「お前ら飯だぞー。」


エプロンをした直矢が入ってきた。


「うおお……お前の体でエプロンするとなんか……すごいな。」


と澄也。


うん。胴体とエプロンの間に空間ができてる。


「自分についてる分には邪魔くさいだけだけどな。手元見えにくいし。」


なんで俺の体なのにこんなに脂肪が……と呟く直矢。


というか


「直矢が作ったの?」


料理するとは言っていたけど。


「ああ。お邪魔してるお礼と後はお母さまが作ってみてくれと(おっしゃ)るもんだから。」


「何のお料理ですか? 直矢さんのお料理久しぶりで楽しみです!」


とエディ。


「オムレツだ。あとは適当にサラダと味噌汁。出来には期待してくれていいぞ。」


フッ、と少し得意げな顔をする直矢。


「オムレツかぁ……いいね。」


結構好きな料理だ。


「さあ下に降りてこい。エディ、勉強は進んだか?」


「はい! 五ページ進みました!」


「うむ。地道に頑張れ。」


「いやー、いい匂いだね! 僕は普段から食べてるけど今日も今日で美味しそうだ! いや、今日は格別かもしれないね!」


「なんでだ?」


直矢が聞く。


「そりゃあ、こんな美人に作ってもらったとあっちゃ、美味しさも倍増って話だよ!」


「……」


ドカッ


無言で直矢が澄也を殴った。


「あ痛っ! 何すんだ! いつもより痛いぞ!」


「なんだ、あまり手加減しないで殴ったが意外と筋力落ちてないのか。いや、なんだかイラッとしてな。いつものヘラヘラ軟派な態度も当事者になるとイライラ倍増って話だな。」


ニヤッと笑いながら言う直矢。


加虐的な笑みというかなんというか……ちょっとゾクッとする。


「その表情いいなぁ……直矢女王様みたいなの似合うんじゃない?」


「お前を鞭で打つのは確かに楽しそうだな。」


「マジで目覚めちゃいそうだから遠慮しとくわ……」


マジなトーンで言う澄也。


確かに少し同意してしまう……


「まあいい、席に着け。料理が冷める。」


話している間にリビングに着いたので椅子に座る。


「「「はーい。」」」


いただきます、と手を合わせる。皆も各々手を合わせている。カミサマでもいただきますはするんだな。


改めてオムレツを見る。


見るからにふわふわな卵、鼻をくすぐるバターの香り。


うん、美味しそうだ。


スプーンで掬って一口―――


「―――うまい。」


母さんの作るオムレツとは違う方向性で具の挽肉にコショウがしっかりと挽いてあって他にもスパイスが入っているのか少しスパイシーだ。これはご飯が進む。料理できるってのは本当だったんだな。


「やっぱり直矢の料理は美味しいなぁ。というか、当たり前のように食べてるけど俺ら食べてよかったの?」


直矢に聞く澄也。


「いいのよいいのよ。わざわざ作ってもらうのにお連れさんには食べさせないなんてわけにいかないでしょ? それにしても美味しいわねー。こういう味付け私はあまりしないから新鮮だわー。」


母さんがそれに答える。


「お口に合ってよかったです。本当は―――とかのスパイスがあると更に―――」


母さんに色々説明する直矢。母さんは感心して聞いている。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


「ごちそうさまでした。」


美味しかった。相変わらず食は細くなっていたので米の盛りを軽くしておいてよかった。


「満腹です……もう食べられません……」


果敢にも大盛ご飯を食べたエディは苦しそうにお腹を抱えている。


「飯は体の素だからな。いっぱい食べて偉いぞエディ。」


と褒める直矢。


その体で言われると説得力が凄まじいな。


「お前は男なんだからもっと食え。」


と澄也を叱る直矢。


「いやぁ、僕は草食系だからこれくらいで……胃腸が弱いからね。」


「……まあ負担をかけ過ぎない程度に食え。」


無理はよく無いよな。


「あ、皿は俺が洗いますよ。休んでてください。」


母さんが皿を洗い出したのを見て直矢が言う。


「ああ、いいのよ。直矢君はまたオムレツ作ってくれる? そろそろお姉ちゃんと下の子が帰ってくる頃だから。」


「それなら作った後に俺が洗いますよ。あ、それかこうしましょう。澄也、お前も手伝え。皿洗いくらいできるだろ。」


「えーメンド―――喜んでやらせていただきます!」


面倒くさいと言いかけて直矢に睨まれて態度を変える澄也。


今一瞬直矢の後ろに鬼が見えた気がする……


「ただいまー。いい匂いね。バター?」


姉貴が帰ってきた。


「うんそうだよ。オムレツ。」


と答える。


「へえいいわ―――ッ!?」


リビングに入ってきた姉貴が固まる。


「楓、誰かしらあの爆発ボディの女は。」


「ああ、この人ね、直矢。なんか上司にお仕置き受けてこうなってる。」


「そう、直矢さんなのね……」

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