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大体の男はミニスカートが好き。大体。

「今日は学力テストか。……あまり自信が無いな。」


登校途中、直矢が呟く。


「まあどうせクラス分けのためのテストでしょ。0点とか取らなきゃ問題ないって。」


と澄也。どうやら俺と同じ見解のようだ。


「それって、結果次第でクラスが変わるってことですか?」


もうクラスは決まってますよね?とエディ。


「あー、なんて言うか、大体最近の学校って、生徒を学力別のクラスに振り分けて授業するんだ。だから、本来のクラスとは別に教科ごとに授業専用のクラス分けがあるのさ。」


「なるほどー。頑張らなきゃ!」


むん、と気合を入れるエディ。


「そんな気負わなくても大丈夫さ。」


と澄也が言うが、


「頑張らなきゃいけない理由があるんです!」


と強く言うエディ。


「まあ、勉強に燃えるのは悪いことじゃないし、いいんじゃない? 僕としては、勉強よりも大切なものが高校生活には沢山あるとは思うんだけど。」


「例えばどんな?」


俺も勉強が全てだとは思わないがある程度勉強は大切だと思うし、気になったので聞いてみた。


「そりゃあ、体操着の女子を眺める時間とかさ。」


プールの授業とかもいいよね、と澄也。


「体操着、好きなんですか?」


とエディ。


「もちろん! 女子高生が太ももを出しているんだよ? 健康的な薄っすら筋肉のついた日焼けしたもも、少しむっっちりとした白いもも、運動とは無縁そうな細いもも、どれもこれも素晴らしい! これらを嫌いじゃない男がいるもんか!」


と澄也。


……なんだろう、元男としては分からなくもないんだけど体が軽い拒否反応を示している。


「多分、気持ち悪がられてるぞ。俺も若干そう思っている。」


と蔑んだ目の直矢。


「なんでだよう! 同じ男なんだ、直矢なら分かるだろう? それにほら、楓ちゃんだって!」


「同類にするな。」


「いやー、何て言うか見られる側の視点に立つと今の発言はかなりキツいものがあるなって。」


俺と直矢がそれぞれ澄也を一蹴する。


と、エディを見ると、


「よいしょ、っと。」


スカートを短くしていた。


「……エディ、何やってるの?」


「ちょっと恥ずかしいですけど、澄也さんが太もも好きならと思って、太ももを出しました!」


エディ、澄也のことが好きすぎる。


「おお、おおおおー! 素晴らしい、素晴らしいよエディちゃん! 可愛いよ! 太ももが眩しい! これで可愛さ倍増だなぁ!」


手放しでエディのことを褒める澄也。


「え、えへへ、そうですか? じゃあ、これからはこの丈にしますね。」


ベタ褒めされて真っ赤になるエディ。


確かに短いスカートのエディも可愛い。


「ふむ、だが俺たちは生徒の模範となるべきであってだな、それがスカートの丈を短くするって言うのはいかがなものかと思うんだが……」


と直矢。


「相変わらずお堅いなぁ直矢は! 大丈夫だって、何か言われても僕が言いくるめるさ。それに大体スカートの丈をいじっちゃダメなんて校則は無いんだ。服装については高校生らしい服装をすること、ってだけ書いてあるんだ。むしろちょっと短いくらいの方が高校生らしいと僕は思うけどね。」


と澄也。


「……まあ、お前がそこまで言うなら俺は何も言わんよ。だがエディもやりすぎんようにな。」


「これ以上短くしたら簡単にパンツが見えちゃいますよ! ここが限界です!」


とエディ。


「ところで、どうやって短くしたの?」


「あ、それはですねー、ココをこうして丸めて……」


エディに聞くと、エディは不意に俺のスカートの腰部分を持って丸め始めた。


「ほら、これで短くなりました! 可愛いですよ楓さん!」


「あ、ありがとう……」


短くしてくれと頼んだ覚えは無いんだけど……


それより短いスカートは落ち着かないな……ふとした拍子にパンツが見えてしまいそうだ。


と、自分の腰回りを確認していると、直矢がこっちを見ていることに気がつく。


「……朝も言ったけど、ジロジロ見られると恥ずかしいんだけど……」


「あ、ああ、すまん。つい、な。」


目を逸らす直矢。


なんだ、直矢も結局太ももが好きなんじゃないか。


「馬鹿、直矢見過ぎだよ。楓ちゃんに見てるのバレちゃったじゃないか。こう言うのはチラチラとバレないようにコッソリ見るもんなんだよ、このムッツリスケベが。」


澄也が直矢に何やら色々言う。


「むう……」


何も言い返せずに黙り込む直矢。


「……戻していい?」


率直に言って恥ずかしい。


「そんな勿体無い! 可愛いんだからそのままにするべきだよ楓ちゃん!」


「そうですよ! それに僕一人だと少し恥ずかしいですし……ねっ、一緒にこのままにしときましょうよ楓さん!」


「え、ええー……」


恥ずかしいんだけどなぁ……


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


結局押しに負けて短いまま登校してしまった。


本当に俺は押しに弱い……


そのままビラ配りをした後、教室へ向かう。


「おはよう楓ちゃん! って、アレ?」


既に教室にいたさやかちゃんが挨拶をする。


早くも気付いたようだ。


「なんかスカート短くない? あ、良く見たらエディちゃんも。」


「えっと、まあね。こっちのが可愛いかなって。」


と言われて押し負けたんですが、という言葉を飲み込む。


「そうだね、その方が可愛いかも! いいなー、私も短くしちゃおっかなー。あーでもなー……」


うーん、と顎に手を当てて唸るさやかちゃん。


「何かあるの?」


ダメな理由が。


「うん、ウチの家、そういうの厳しくてさー、怒られちゃいそうかなって。ていうか間違いなく怒られる。でも勇牙先輩も短い方が好みなのかなー。」


それなら怒られても短くしちゃうんだけど、とさやかちゃん。


「どうなんだろう。あんまりそういうこと話さないから私は把握して無いかな。まあ、男なら大体短い方が好みな気はするけど。」


好みの女の子について兄弟間でお互い把握してるってのも珍しいんじゃないだろうか。いやまあそういう兄弟もいるだろうけど、少なくともウチはそうではないからなあ。


「やっぱそうなのかなー。て言うか、そんな風に言えるってことは楓ちゃんってやっぱ男性経験豊富だったりするの!?」


目を輝かせるさやかちゃん。


「い、いやいや、そんなことないよ。飽くまで想像だよ想像。誰かと付き合ったりしたことなんて一回もない。だから経験で言うならさやかちゃんの方が若干上になる。」


男なら、と言うのは若干墓穴だった。どうも気を抜くと男として話してしまう。


「え、でも明神くんと付き合ってるんじゃないの?」


「いやだから私たちはそういうんじゃなくって……」


あのペアルックを見られている以上言い訳がましくなってしまうが。


「そうなの? ああ、でも、友達以上恋人未満って関係性も素敵よね……早くくっついて欲しいけど今の関係もこれ以上ないくらいに尊いっていうか……」


うふふ、とうっとりした顔で空を見つめるさやかちゃん。


「いや、全然普通に友達だけど……」


別にそんな関係性じゃない。と言うか、知り合ってからの日数的に友達を名乗るのもギリなんじゃないかと思う。


「えー、でもただの友達であんな格好するー?」


「いや、それには事情があって……」


痛いところを突かれる。


「事情、ねー。まあ今は友達、ってコトね! この先が楽しみだわ……」


うふふふ、と笑うさやかちゃん。


この先も特にさやかちゃんが望む関係性には発展しないと思うが、これ以上何を言っても無駄そうだし黙っていることにする。


「ところであに……お兄ちゃんとはあの後どうなったの?」


一緒にラーメンを食べるって帰っていったけど。


「うーんと、普通にラーメン食べただけだけど……先輩が思った通りの人で良かった! 解釈一致、って感じ?」


解釈一致……?


「後、ラーメンって美味しいのね! あまりああいうの食べさせてもらえなかったから、ほとんど初めて食べたんだけど、とっても美味しかった! でもそれよりラーメンを美味しそうに食べる先輩の姿でお腹一杯になっちゃったなぁ。先輩、腕白少年って感じで可愛かった! カッコ良さと可愛さを併せ持つなんて反則よねー。」


ニコニコと語るさやかちゃん。


何はともあれさやかちゃんが幸せそうでよかった。兄貴もとりあえずは失望されてないようで何よりだ。


と、話し込んでいると、


「おーっすお前らおはようさん。今日も今日とてダルいが、HR始めていくぞー。」


史田がやってきた。


いつの間にやらHRの時間になっていたようだ。

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