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直矢は酒も強そう

「さって、とー。この後どうする? 部費のアップで得票を狙っている以上、部活が終わって生徒が帰る時間帯には校門とかにいるべきだとは思うけど、それまで暇だし。」


澄也が両手を頭の後ろに回して言う。


確かに暇だ。かといって部活体験中の部活に乗り込むのは迷惑以外の何者でもないし。


「まあ、校内のどこかで時間潰すのがいいんじゃない? 教室にいてもいいし、談話室みたいな場所もあるでしょ。」


座って待つ場所くらいいくらでもあるだろう。


「そうだねー。じゃあ僕は一旦離脱して―――おっと、やめたんだった。」


胸ポケットに手を当てて言う澄也。


タバコか。


「そうですよ、体に悪いんですからね!」


とエディ。


「いやー、中々辛いねー。でもま、エディちゃんに言われちゃやめないわけにいかないねー。」


参った参った、と澄也。


「おう、待たせたな。この後どうするか決まったか?」


直矢が道場から出てきて言う。


「どこかで時間を潰して、部活をしていた生徒が帰るころに校門に立とうか、って。」


澄也が説明する。


「なるほど。部活が終わるのは何時ごろだ?」


直矢が澄也に聞く。


「んーと、普段の活動だと活動は放課後から3時間くらいみたいだし今日も同じくらいと考えると、後1時間半くらいかな? 早く終わる部活もあるだろうし、1時間後には校門に立つべきかな。」


「分かった。二人もそれでいいか?」


「うん、構わないよ。」


特に変えるべき点もなさそうだ。


「はい、大丈夫です!」


エディも同意する。


「じゃあ決まりだな。どこで時間を潰そうか。」


直矢が腕を組む。


「私らの教室の近くに談話スペースがあったと思う。」


移動する時に見かけた。


「じゃあそこでいいか。行くぞ。」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


「いやー、働いた働いた。これは帰ってからのビールが―――あー、それもダメか。」


時間を潰し、放課後ビラを配った後、あらかた生徒が帰っただろうというタイミングで澄也が伸びをしながら言う。


途中兄貴とさやかちゃんも通って行った。どうやら今日も熊さんの店でラーメンを食べるつもりらしい。彼女と最初の食事がラーメンというのもどうなんだとは思うが。


「確かにソレが魅力的なのは認めるが、飲むのは禁止だし、買う金も無いぞ。」


と直矢。


どうやら酒は直矢も嗜むらしい。


「あんなの苦くて美味しく無いですよー。」


リンゴジュースの方が美味しいです!とエディ。


「ま、好みは人それぞれだ。無理して飲む必要はないさ。まあ、今は好きでも飲めないわけだが。」


その辺は少し悲しいな、と直矢。


「じゃあ、帰ろうか。」


私も疲れた、と付け足す。


「そうだな。それにしても、家の位置関係がアレで良かったな。」


自然に送る形になるからな、と直矢。


「そうだね。一々逆方向なのに送ってもらうとかだと流石に申し訳ないし。」


「それでも俺は構わなかったがな。」


仕事だからな、と直矢。


「まあ、楽なことに越したことはないでしょ。」


「まあな。それにしても、このブレザーってのは肩が突っ張るな。戦ったら破れそうだ。」


肩に手を回しながら言う直矢。


「破ったら高いぞー。」


澄也が言う。


「……そうだな。破らないよう気をつけよう。臨時の出費に耐えられる程財布は厚くないからな。生徒会活動の合間にバイトをする暇があればいいんだが。」


「そういえばウチの学校ってバイトしてもいいんだっけ?」


兄貴も姉貴もバイトはしていないが。


「この辺の学校にしては珍しくOKみたいだね。赤点とか取ると辞めさせられるみたいだけど。」


と澄也。


「へぇ。バイトかー。」


使えるお金が増えると言うのは嬉しいことだけど、やる暇はあるのだろうか。


「生徒手帳には生徒会の権限しか書いていないけど、その数と範囲を見る限り、多分やる暇はないと思うけどねー。僕らは夏休みとかにガッツリ稼ぐしかないのかもしれない。」


肉体労働は僕はゴメンだけどねー、と澄也。


「なるほどな。当面準備金が若干余っているし、月の定額の予算と合わせて凌ぐしかないか。」


と直矢。


「だねー。まあ、安い材料でも直矢が美味い飯を作ってくれるから、僕は幸せさ。毎日何も塗ってない食パンだけとかだったらキツかったけどね。」


「その分お前も食事の準備に少し協力を……いや、俺がした方がいいか。食材の目利きも出来なさそうだしな……」


「うん、出来ない。どうもああいった方面のことは苦手でね。僕も万能じゃないってことだね。」


悪びれもせず言う澄也。


潔いな。


「全くお前は……まあいい、さて、着いたな。また明日。今日と同じ時間に行くから準備しておけよ。」


ウチに着いたので直矢が別れの挨拶をする。


「うん、また明日。」


直矢たちに手を振る。


「また明日! 今日はお疲れ様でした!」


ブンブンと手を振るエディ。


今日一日、色々したというのに元気だな。


「じゃあねー。」


手をヒラヒラと振って歩いていく澄也。


「じゃあな。」


直矢も手を上げて歩き去っていく。


「さてと、今日は疲れたし、風呂入ったら少し漫画でも読んで寝ようかな。」


人防でも読み返そうか。


家のベルを鳴らすと、母さんが出迎えてくれる。


「お帰りなさい! 結構遅かったわね。選挙活動ははかどったかしら?」


「はい! ビラを沢山配りました!」


「その間ずっと立ってたからもう足が疲れちゃって。風呂沸いてる?」


靴を脱ぎながら母さんに聞く。


「沸いてるわよ。ご飯の前に入る?」


「うん。これから兄貴と姉貴も帰ってくるだろうし、その前に。」


「あ、それなら僕も急いで入らなきゃですね! 楓さん、一緒に入ります?」


「いや、やめとくよ……順番に入ろ。長風呂しなきゃ大丈夫だよ。」


「そうですか。じゃあ、お先どうぞ! 僕は後で大丈夫です!」


「そう? じゃあお言葉に甘えて……」


脱衣所に入り、服を脱ぐ。


「疲れた……」


湯船に浸かって脚を揉む。


元々ずっと立っていることが得意だったわけじゃないが、今日は今までに増して疲れやすくなっていた気がする。これも女体化の影響か……


「おっと、のんびりしてらんないな。」


後が詰まっている。


少し急いで体を洗う。


この体も少しは見慣れてきて、鏡もしっかり見れるようになってきた。


「やっぱ髪長いと面倒だなぁ……」


リンスを塗りながら考える。


洗うのもケアするのも乾かすのも面倒だ。


全力で止められたし、切るつもりは今の所無いけど、面倒なものは面倒だ。


「さて、出るか。」


いつまでもエディを待たせるのも悪いし、湯船に少し浸かって風呂場を出る。


「お待たせー。」


ドライヤーを持ってリビングへ戻る。


「楓さん、早かったですね! もしかして、急いで入りました?」


そんな気使わなくても大丈夫なのに、とエディ。


見ると、エディは幸が広げた何かを見ている。


「お帰り楓お姉ちゃん! エディお姉ちゃんに勉強教えてもらってた!」


と幸。


「僕、今からお風呂入って来るので、後は楓さんに聞いてくださいね!」


そう言って風呂場へ向かうエディ。


「うん、分かった! 楓お姉ちゃん、ここってどうするの?」


「えー? ちょっと今髪乾かしてるから待って……」


片手間に乾かせる程まだ慣れちゃいない。


「早くしてね! ご飯までに終わらしてご飯食べたら友達とゲームする予定だから!」


と幸。


「分かった分かった。教科は?」


「算数!」


算数、エディはちゃんと教えられたのか……?

これにて今月の投稿は終了となります。ではまた来月。


※追記 予約投稿の設定をミスって夜投稿になってしまいました。

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