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変態しかいない

「ふあぁ……」


「おはよーございます!」


「おはようエディ。」


今日も6時半に起床。エディが先に起きて既に着替えているのも昨日と同じ。昨日は早めに寝たので結構元気。


「今日から選挙活動始動かー……」


嫌だなぁ。


「頑張りましょうね!」


「うん……」


とりあえず着替えないと、ということで服を脱ぐ。


まずブラを替えて、キャミソールを―――と着替えていると、


「おはよう楓! 一緒に学校行こうぜ!」


兄貴が入ってきた。


「うわ兄貴! ノックくらいしろ!」


咄嗟に上半身を手に持っていたブラウスで隠す。


……なんで咄嗟にこんな行動を取ったんだ? 見られたく無いのは確かにそうだけど……


「ダメですよお兄様! 女の子の部屋に入る時はノックくらいしないと!」


女の子……いや、この部屋はもうエディの部屋でもあるわけだし、俺を男として扱った場合でも通るから問題ない……か? それだとなんで付き合ってもいない男女が一緒の部屋に住んでいるんだって話だけど、それは今さらというかなんというか。


……まあ気にしないことにしよう。


「お、おお、ごめんなエディちゃん! それにしても、お兄様か……」


顎に手を当て、お兄様……と呟きながら部屋を去る兄貴。


「お姉様のことをお姉様って呼んでるし自然……ですよね?」


エディが聞いてくる。


「まあ、うーん……いいんじゃない?」


全く不自然じゃないかと聞かれればそうでは無いような気もするけど、普通の範疇なんじゃ無いかな。


「さてと、さっさと着替えないとね。」


また直矢と澄也を待たせることになる。


ササッと制服に着替える。


「お待たせ、行こうか。」


「はい!」


エディに声をかけて1階へ降りる。


部屋に入ると、


「あだだだだ! 見てねえ! ギリギリ見えなかった!」


何故か姉貴が兄貴の頬を思いっきりつねっていた。


「本当!? 本当に見てないのね!?」


姉貴が兄貴の頬をつねりながら問う。


「ああ、本当だ!」


「今日の楓のブラの色は!?」


「ピンク! あっ、しまった!」


「見たんじゃない!」


姉貴が兄貴の爪先を思いっきり踵で踏む。


「いってえ!」


爪先を抱えて転げ回る兄貴。


痛そう……


「……おおよそ予想はつくんだけど、なんの騒ぎ?」


姉貴に聞く。


「さっき勇牙が楓たちの部屋に侵入したでしょ? それについて叱っていたの。ついでにその時に楓のブラを見たのかどうか聞いていたんだけど、どうやら見ていたみたい。」


大体予想通りだった。姉貴は叱れるような立場では無いけどな。


「それで、さっきの情報が本当か確認したいからこっちの方でブラを……」


「見せるか。」


「あいたっ!?」


姉貴の頭にチョップする。


「全く……それより飯食わないと。」


遅れてしまう。


と、席に着こうとしたところ、


「お、ピンク。」


兄貴がいつの間にか足元にいた。


「―――っ!」


「いてえ!?」


勢いに任せて兄貴の顔を踏みつける。


何故だか滅茶苦茶恥ずかしい。


「ああ、パンツを見られて赤面する美少女……勇牙のしたことは罪深いけれど、この光景を作り出したことだけは素晴らしいわ……」


姉貴がパシャパシャと写真を撮る。


「あーもう!」


なんなんだこの家族は!


「そういえば二人とも、時間は大丈夫なの?」


と母さん。


「うおっ、もうこんな時間! じゃあな楓、エディちゃん! 今日一日、楓のパンツのお陰で超元気だぜ!」


ピンクのパンツー!と叫びながら家を出る兄貴。


「それはやめろ兄貴ー!」


「安心しなさい楓、私が止めるわ! その代わり後で私にも―――」


「なんでもいいからとにかく止めてきて! パンツでもなんでも見せるから!」


近所に公表されるよりはマシだ。


「言ったわね! ヤッホーピンクのブラー!」


爆速で家を出て行く姉貴。


……これ、止めるべき対象が増えただけなのでは?


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


「ってことがあってさー。」


登校途中、思わず直矢たちに愚痴る。


「アレはそういうことだったのか……」


「見てたの?」


「遠目からな。お前の兄は無事捕獲されたから、多分大丈夫だぞ。」


ま、後が怖いがな、と直矢。


その通りすぎる。


「僕は天才だからさ、気づいてしまったんだけど……」


澄也が深刻そうに言う。


「え、何に?」


そんな深刻な情報あったか?


「楓ちゃんは今、上下ピンクの下着を着けてるってことだよね!? テンション上がってきたなぁ!」


イヤッホイ、と飛び上がる澄也。


「……えい。」


「ぐ!?」


澄也の股間を蹴る。男としてやられるキツさは分かるが、分かる故の攻撃だ。


「澄也さん……これは文句言えませんよ……」


股を押さえてうずくまる澄也に手を合わせ目を閉じ、南無と呟くエディ。


いや、死んではないけどね。


「こいつが復活するのを待っていたら折角早く出た意味がない。俺が担ぐからさっさと行こう。」


そう言うと、澄也を肩に担ぐ直矢。


「はーい。」


「はい!」


俺とエディが返事をしてついて行く。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


「いやー、容赦無いね、楓ちゃん。」


そろそろ学校に着くと言ったところで、すっかり復活した澄也が言う。


「あんなこと言われたらそりゃあね。」


「でもそのお陰で今日の僕は活力に溢れている! 毎日教えてくれてもいいんだよ?」


「嫌だよ。」


変態か。


「冗談冗談。さて、教室に行く前に職員室に寄りたいんだけどいいかな? 提出したいものがあって。」


「提出したいもの?」


「うん。立候補の書類。」


「あ、忘れてた。」


書いてない。ヤバい。


「心配ご無用。ほら、ちゃんと記入済みのものがここに。」


ジャジャーン、と言って書類を取り出す澄也。


「預けてたっけ?」


俺の記憶が確かなら書類は俺のカバンに入りっぱなしだと思うんだけど……


「いや、預かってないよ。ほら、この書類って共有ファイルに入ってるって史田サンがいってたじゃん?」


「えーと、多分。」


そんなこと言っていたような気もする。


「で、この間校内ネットワークにアクセスしたでしょ? その時に大体のデータもらってたから、こっちでも用意できたんだよね。で、楓ちゃんが忘れていた時のために書いておいた、ってワケ。念のための準備をしておいて正解だったね。」


「うん、ありがとう。忘れてごめん……」


「問題ないさ! この程度朝飯前ってね。いい情報も聞けたことだし、十分十分。」


「……もう一回蹴ろうか?」


その話はもうするな。


「いやいやいや、ごめんごめん。さてと、じゃあ代表者ってことで、楓ちゃん、提出してきてもらえる? これ出さないとポスター貼るのもビラ配るのもできないんだ。」


ちょうど職員室前に着いたところで、はいこれ、と書類を渡される。


「分かった。」


こういうの、苦手だけどやらないわけに行かないしなぁ……


「おはようございまーす。生徒会選挙の書類を提出しに来たんですけどー。」


扉を開けて要件を伝えると、


「Good morning!」


やたらと発音のいい英語が飛んできた。


「えーっと……?」


部屋を見渡すと、金髪碧眼の見るからに外国人ですと言った風の女性が手を振っていた。


「おはようございマース! 生徒会選挙の書類デスね? 見てもいいデスか?」


金髪の先生が近づいてくる。


「ええと、はい。これです。」


書類を渡す。


「ふーむ。Oh! 一年生デスか! 珍しいデスね! 組は……A組デスか。あ、ワタシ、B組の担任の輪道=シャローム=洋子といいマス! 英語の担当デス! A組なら私の担当デスから、これからよろしくお願いしマース!」


「あ、よろしくお願いします。」


「それで、申し込むには担任の了承が必要なんデスが、担任のセンセイの了承は得ていマスか?」


「もらってます。」


「Great! 素晴らしいデスね! それなら大丈夫デス! 名前は……Oh! 新条デスか! もしかして、校長センセイのご親族デスか?」


「はい、姪に当たります。」


「そうデスか。と言うことは今の生徒会長の妹デスか?」


「はい。」


「お姉さんの跡を継ぐ形デスね! 素晴らしいデス! では書類はこちらで受理しておくので、選挙活動頑張ってくだサイ!」


やたら発音のいいバイバイと共に職員室から出る。


「OKだって。」


「よーし、そしたら早速ポスター貼りにビラ配りだ!」

どうも一月ぶりですイガイガ栗(爆死神)です。今月は感想をいただいたこともあり、少し多めです。頑張りました。やはり感想をいただくと頑張れますね。いっぱいください。頑張ります。

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