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みっちゃん隊長はカッコいい

「で、好きなキャラは? さっきも言った通り、私はジョンが好きなんだけど……」


「んー、そうだな、私はみっちゃん隊長かなー。」


みっちゃん隊長こと三田みた幹一みきいち。みっちゃんなんて呼ばれてはいるが、その実、第一東京防衛隊の隊長であり、普段は隊員に優しく、よく笑う男気のある大柄な男なのだが、いざ戦闘となると雰囲気がガラッと変わり、冷静に部下に指示を出し、仲間を守るためには自分を犠牲にすることも厭わない姿は、まさに男が憧れる男、といった感じだ。


「みっちゃん隊長ね! みっちゃん隊長もいいよね! 戦ってる時のカッコよさは言わずもがなだけど、おじさん臭いところも逆に可愛くて好きだなぁ。」


と古田島さん。


可愛い……可愛いのか? カッコいいのは同意するけど。女子の感覚は良くわからない。


「ジョンのどういうところが好きなの?」


ジョン・エクセルシア。イギリス出身で、日本の東京防衛大学に編入、首席で卒業。口が悪いが、やることはキッチリとやる。エリートであるという自意識から最初は隊の他のメンバーを見下していたが、みっちゃん隊長に庇われる形で助けられたことで改心。口の悪さは相変わらずだが、仲間のことを大事に思う隊員へと成長していく、と言ったキャラクターだ。


「カッコいいのもあるし、色々好きなところはあるんだけど、やっぱり成長、よね! 見ていて母性本能が刺激されるというか、なんというか。成長していく姿を見ているとまるで自分の子供を見ているかのような気がしてくる! 変化が魅力的なキャラよね!」


「なるほどー。確かにジョンの成長は人防の魅力の一つだよねー。」


自分の子供と錯覚するほどではないが、俺もジョンの成長は楽しんでいる。


「だよねー! いやー、良かった! 私、高校で友達できるか不安だったんだけど、こんなに早く仲良く慣れて、しかも人防の話までできるなんて!」


「うん、私も良かった!」


女子の雰囲気に混じれずに孤立するのが不安だったけど、話しやすい女子の友達ができて良かった。やっぱり共通の話題があると話が弾む。


「おーい楓、そろそろ行くぞ。」


鞄を肩にかけて直矢が声をかけてくる。


「あ、はーい。古田島さん、また明日!」


「あ、うん! じゃあね! あ、それと私のことはさやかでいいよ!」


「分かった、じゃあねさやかちゃん!」


小田島さん改めさやかちゃんに挨拶をして教室を出る。


「もう仲良くなったのか。いいことだ。」


「直矢は誰かと仲良くなった?」


「いや、誰も話しかけてこなかった。」


逆に俺から話しかけて怯えられても困るしな、と少し渋い顔で言う直矢。


「こいつ強面だからねー。」


可哀想に、と笑いを含んだ声で言う澄也。


「そう言うお前は大人気だったな。」


と直矢。


「まあねー。今回の高校生活もモテちゃうかなー。」


髪をサラッ、と払う澄也。


なんだこいつ腹立つな。


「エディちゃんもなんだか女の子と仲良くなったみたいだね?」


と澄也がエディに聞く。


「はい! 今度クッキー一緒に作る約束をしました!」


「おおー、できたら食べさせてね!」


と澄也。


「……」


その一方で無言で額に手を当てる直矢。


「どうしたの?」


直矢に聞くと、


「いや、こう言うとエディには悪いがエディは料理が致命的に下手でな……」


「ああー……」


そういえばそんなこと言っていたような気も。


「いいかエディ、塩と砂糖はちゃんと確認するんだぞ。あとオーブンは熱いから気をつけるように。」


「大丈夫ですよー。心配しすぎですってー。」


「お前はいつもそう言って失敗するから俺はだな……」


「じゃあ、直矢さんも参加すればいいんですよ!」


名案!と言った顔のエディ。


「いや、俺が参加するものじゃないだろう……」


確かに、直矢は料理ができるとはいえ女の子が集まってお菓子を作っている場にいるのは場違いだろう。というか、大抵の男は場違いになる気がする。澄也みたいなのは別かもしれないが。


「でもそれじゃあ僕が実は料理ができるということを見せれないじゃないですか!」


「嘘をつくな嘘を。……まあ、心配なのは確かだし、参加者の許可が出れば付き合ってやらんでもない、か。」


頼むからしっかり確認してくれよ、と直矢。


「で、今日は何するの? 選挙の準備?」


準備は昨日十分したはずだけど。実際に選挙期間に入らなきゃもうやることもない気が。


「それなんだがな。エディ、課題終わってないって言ってたよな?」


「え? はい。」


「今日は課題を片付ける日にする。生徒の代表を志す以上、課題を出さないわけにはいかん。が、実際問題一人じゃ難しい問題もあるだろう。」


俺の英語やらエディの数学やらだな、と直矢。


「そこで、僕の出番ってワケさー! 課題なんてチョチョイのチョイ! なんたって天才だからねー!」


ハーハッハッハー、と澄也が高らかに笑う。


「なんか、澄也今日テンション高くない?」


冬士さんみたいになってるよ。


「まーねー。若い女の子に囲まれれば気分も良くなるってもんさ。」


「ていうかそれ、私いる必要あるかな?」


俺は課題終わってるし、教える役目は澄也で十分そうだし。まあ、だからといって仲間外れにされるのも寂しくはあるけども。


「まあ、ぶっちゃけあまりないね。ま、僕は一人しかいないし課題終わってない人間は二人。課題終わってるなら教えられるでしょ?」


「あんま自信ないけど……」


「間違ってたら僕が指摘するし問題ないさ!」


「まあそれなら。」


できなくもないか。


「場所は僕らんとこでいいかな?」


「いいよー。」


「じゃ、行こうか、っとその前に職員室寄ってこう。」


職員室は2階だったね、と澄也。


「職員室?」


階段を降りながら聞く。


何故?


「立候補に書類いるんだよね。生徒手帳にも書いてあるし。史田先生から貰えれば良かったんだけど、早々にどっか行っちゃったしねー。」


ほら、と生徒手帳を見せてくる澄也。


「えーっと……生徒会選挙に立候補する者は定められた書類にて申請をすること。へー、こんなのよく見つけたね。」


校則、そこそこの文量あると思うんだけど。


「ルールは知っておいた方が得だからねー。特に僕らは生徒会選挙なんていうルールに則って戦うものに挑むワケだしね。あ、お礼はチューであだっ」


変なことを言った瞬間直矢に小突かれる澄也。


「ったく、折角の手柄を台無しにするな。で、ここが職員室か。」


職員室と書いた札のある部屋の前にやってきた。


「えーと、なんかこういう時って入室のマナーみたいなのってあるんだっけ……?」


俺が立候補するのだから俺が貰うべきなんだろうけど、どうもこういうの緊張するんだよなぁ。


「別に気にしなくて大丈夫でしょ。間違えても新入生だし多目に見てくれるって。」


と澄也。


「それもそうかー。ってなんかタバコ臭くない?」


まさか澄也……?


「あー、そりゃ俺だ。こんな距離から分かるなんて鼻がいいんだな。で、入学早々四人でつるんで職員室に何の用だ? えーと確か……E山田。」


後ろから史田の声が。


近づいてくるとかなりタバコ臭い。というか生徒の名前を盛大に間違えるな。E山田は本当にストリートでファイトする相撲取りの名前だ。


「新条楓です……」


「あー、そっちか。」


どっちだ。


「で、K新条。何の用だ?」


K新条は定着なのな……


「えっとー、生徒会選挙立候補のための書類を貰いに来たんですけど、あります?」


「あー、アレか。ちょっと待ってろ。神田先生が今探してくれる。」


「自分で探す気は無いのか……」


直矢が呟く。


その通りすぎる。


「神田先生ー。生徒会選挙の書類ってあります? え? 自分で探せ? 嫌だなあ、面倒だから先生に頼んでるのに―――あっ、ちょっ、暴力反対! ぐえっ、ネ゛ク゛タ゛イ゛は゛や゛め゛て゛……」


先程のCのプラカードの先生に声をかけ、そのままネクタイを持たれて前後に揺さぶられる史田。


「はぁ、冗談ですよ、冗談。自分で探すことにしますよ。共有ファイルでしたっけ? えーと……あったあった。印刷取ってきます。」


机のパソコンを操作した後、職員室の奥に向かう史田。すると、入れ替わるようにCの先生がやってきた。


「あー、お前ら朝の。もしかして選挙出るのってお前ら?」


首をコキコキ鳴らし、こちらを睨みながら近づいてくるCの先生。


ちょっと怖い。


「え、ええ、はい。私が立候補します。」


「えー! だって一年だろ? 普通の一年なら選挙に出ないどころか選挙があること自体把握してないはずだぜ? アタシは神田かんだ結希ゆき。数学教師だ。そして知ってると思うがC組の担任。お前ら、名前は?」

さて、先月の書き溜めが無くなったので今月の更新は以上となります。私は本当に感想などにモチベーションが左右されるタイプなので、よければ感想などで応援よろしくお願い致します。

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