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そういうトコだぞ


「ふわぁ……眠い……」


時刻は六時半。今日も眠いがとりあえず寝坊せずに起きることができた。


「おはよーございます!」


先に起きていたらしく、既に制服に着替えたエディが挨拶をしてくる。


「おはよ……着替えないと……」


眠い目で制服を見つけ、服を脱ぎ、昨日と同じように着替える。


「うーん……」


やはり脱ぎ着すると分かるが胸が意外と大きい。


というか、


「エディ、そんなに見られると恥ずかしいんだけど……」


俺の着替えをじっくりと眺めていたエディに言う。


「ああ、ごめんなさい! そのー、羨ましいなと思ったらつい……」


「エディの胸も可愛くていいと思うけどね。」


「えっ、そうですか!?」


「うん……」


返答しながら、徐々に覚醒してきた頭で考える。


……結構男としては恥ずかしいというか大胆な、ひょっとするとセクハラになりかねないことを言ったのでは?


「いや、今の聞かなかったことにしといて……失言だった……」


「ええー! やっぱり僕の胸じゃダメってことですか!?」


「いや、そうじゃないんだけど、ともかく聞かなかったことにして……」


「まあ、はい。分かりました……」


どうやったら大きく……と呟くエディ。


「さてと、下降りようか。」


「はい!」


エディと一緒にリビングへと降りる。


「おはよー……」


「おはよーございます!」


二人で既に起きていた母さんに挨拶する。


「おはよう二人とも。エディちゃんは納豆ご飯でいいんだったかしら?」


「はい! 豆乳もお願いします!」


「はーい。楓は何食べる?」


「昨日と一緒の目玉焼きに米で。」


「分かったわ。飲み物は?」


「んー、水かお茶で。牛乳とか豆乳はちょっと……」


飲むと気持ち悪くなりそう。


「分かったわ。」


そう答えると、キッチンへと入る母さん。


「兄貴と姉貴は?」


学校なら起きてるかと思ったけど。


「お姉ちゃんは学校でもう家を出たわ。お兄ちゃんは今日は休み。在校生は本来休みみたいよ。お姉ちゃんは生徒会関係で登校するらしいけど。」


「早いな……」


まだ七時前だぞ……


「生徒会長ともなると色々あるみたいでね。」


「あっそう……」


なりたくなくなってきた……


「あ、私も後で入学式見にいくから。カメラもバッチリ充電してあるわよ!」


と母さん。


「あー、うん。」


写真とか撮られるの苦手だし、あまり嬉しくない……


「はい、目玉焼きと納豆とご飯二つ。」


「ありがと。」


「どうもありがとうございます!」


二人でそれぞれの朝飯を食べる。


「エディ、課題進んだの?」


「はい! 半分くらいは終わりましたよ!」


「なら今日半分終わらせれば大丈夫だね。」


提出は明日だし。


「そうですね!」


「直矢たちは課題終わってんのかな……」


まあ、直矢は真面目だしちゃんと進めてそうだけど。


「澄也さんはもう終わってるんじゃないですかね?」


とエディ。


「そうなの?」


まあ頭いいって話だしそうなのかもしれないな。


「はい。澄也さんは頭いいですし、仕事してた時は書類仕事は大体澄也さんだったんですけど、適当に見えてかなりのスピードで仕事済ませちゃうんですよね。」


「へぇー。」


「まあ、仕事終わらせたらフラッとどこかに行っちゃうんですけど……」


「そうなんだ……」


まあ、やることやってるならいいのかな?


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


ピンポーン


「はーい。」


食事を終え洗顔と歯磨きも済ませて少しゆっくりしていると、インターフォンが鳴る。


「おはよう。」


「おはよう二人とも! いやはや制服も可愛らしいね!」


「ありがとうございます!」


澄也の声に答えるエディ。


扉を開けると、直矢と澄也がいた。


結論から言うと、直矢に制服は似合っていない。


女子がブレザーなので当然男子もブレザーなのだが、澄也はいい。認めるのは癪だがイケメンだし、少し明るめの色のブレザーがとてもよく似合っている。問題は直矢だ。ただでさえ強面なのに右目には三本傷。昨日の熊さん程じゃないがガタイもいいし、鍛えてるせいかボタンが弾けそうになっている。はっきり言ってコスプレか何かに見えてしまう。


「直矢、制服似合わないね……」


「でしょ! いやー、笑えるよね。ボタンパッツパツだもん!」


同意してくる澄也。その澄也に肘を入れる直矢。


「……似合わん自覚はあるが、着ないわけにもいかんだろ。」


と直矢。


「まあね。じゃ、行こうか。」


鞄を持ち、靴を履く。靴も直矢が用意してくれた鞄に入っていたローファーだ。


「今日は何するんでしたっけ?」


「入学式だけじゃなかったかな。」


エディの質問に答える澄也。


「ニューガクシキ、って言うと、入学にあたっての式典、でしたっけ?」


「うん。まあ、式典って言葉で表すほど大仰なものじゃないけどね。」


「そうなんですね。」


「そういえば、エディ、課題は進んだか? というか、できたのか?」


と直矢。


「はい、数学以外は結構進みました! 直矢さんたちはどうです?」


「こいつは知らないうちに終わってた。俺はそうだな……英語以外は大体終わったぞ。」


澄也を指して言う直矢。


「直矢って英語苦手なの?」


課題って、当然だが中学レベルだぞ? 高校通ってたなら簡単に済ませられそうだけど。


「……苦手だ。」


渋い顔で言う直矢。


相当苦手らしい。


「そうなんだ。」


「そうなんだよね。それもあって言語に特化した天使であるエディちゃんを派遣してもらったんだけど。」


まあ僕がいればあまり問題はないんだけれど、と澄也。


「へぇー。澄也って他の言語もできるの?」


この世界を担当するなんて言ってたし、そうなると日本語と英語だけじゃ務まらない気がする。


「んー、中国語がそこそこと、ロシア語が多少。まあ、必要になれば勉強するし、勉強すれば大抵の言語は習得できると思うよ。」


エディちゃんがいるし、そもそもカミサマの力を使えば問題ないから勉強が必要な機会はあまり無かったけどね、と澄也。


「おおー。」


すごい自信だ。


「なんでその二つの言語なの?」


「中国語は使用者が英語に次ぐ人数いるし、ロシア語は趣味かな。ロシア人って美人の人が多いしねー。」


「なるほど……」


そんな理由で言語を勉強したのか……


「澄也さんってロシア人の方が好きなんですか?」


とエディ。


「んー……そうだなぁ、目の保養にはなるよね。エディちゃんのことは可愛いと思ってるし僕は好きだけどね。」


はは、と笑いながら言う澄也。


サラッとこういうことが言える辺り女タラシなのかなーと思う。


「ッ!? え、えへへ、そうですか……」


えへえへと、だらしのない顔で笑うエディ。


嬉しいかもしれないけどこいつは誰にでもこういうこと言ってそうだしなぁ……


「ああ、当然楓ちゃんのことも可愛いと思ってるよ?」


「……一応、お礼は言っておくよ。」


ほら、エディが悲しそうにしてる。


そういうとこだぞ。


「そういえば、直矢の女性の好みって知らないな。どんな子が好きなの?」


と直矢にキラーパスを放つ澄也。


「お、俺か?」


戸惑った顔の直矢。


「うん。長い付き合いだけど聞いたことないなーって。じゃあ、好きなタイプだと答えづらいだろうし、目の前のエディちゃんと楓ちゃん。どう思う?」


質問を楽にしたようでさらに鋭い質問をする澄也。


「……まあ、二人とも美人だと思うし、器量もいいと思うぞ。」


と直矢。


「じゃあどっちのがタイプ? あ、見た目だけでいいよ。楓ちゃんとエディちゃんとじゃ付き合いの長さが違うから比較しづらいだろうし。」


と澄也。


容赦がない……


「……答えなきゃダメか?」


苦々しい顔をする直矢。


まあ、俺を女として扱えばの話だが、本人たちを目の前にしてどちらがタイプか答えろというのは中々答えづらい質問だろう。


「強要はしないけど? ただ答えられないとなると、直矢は度胸がないなーなんて思っちゃうけどねー。」


と直矢を挑発する澄也。


「僕も気になります!」


とエディ。


「度胸無しと言われるのは心外だな……まあ、そうだな……強いて言うなら楓、か……」


と赤い顔で言う直矢。


こいつ、強面の癖してウブなのでは?


「よかったじゃん楓ちゃん、直矢がタイプだって。」


「あ、ありがと。」


俺は男だが、まあ性別関係なく好意を寄せられるというのは悪い気分じゃない。


「タイプだとまでは言ってないだろ!」


「え、じゃあタイプじゃないの? こんなに可愛いのに。」


と直矢の言葉に対して質問する澄也。


「いや、まあ、タイプ、だが……」


俯く直矢。


タイプなのか。俺が。


「なんだ、タイプなんじゃん。最初からそう言えよなー。」


このこのー、と肘で直矢を突っつく澄也。


「いや、お前……誘導尋問はズルいぞ!」


スパーン、と澄也のケツを蹴り上げる直矢。


「あいった! 今回は僕悪くなくない!?」

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