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やはり変態……

「じゃあ……着替えましょう!」


「えっ?」


「パジャマ姿で家族以外に会う気?」


「いや、俺寝間着に上着でコンビニとか普通に行ってたんだけど……それに別に誰かと会う予定ないし……」


今更何を……


「カミサマご一行が来るらしいわよ。それに寝巻きで出掛けていたのは今まで。今の楓は美少女! 美少女のパジャマ姿は簡単に見せちゃいけないものなの!」


「……そうなの?」


そうなの?


「そうよ! パジャマ姿っていうのは、身内や親しい人物だけが見ることができる、それ以外は見られても稀。ここがポイントなのよ! そうそう他人に見せていいものじゃないのよ!」


「はぁ……」


ここまで姉貴が寝間着に強い感情を抱いているとは知らなかった……


「というか今の俺って……」


薄いピンクに赤の水玉の生地のボタン式の寝間着だ。襟と上着の裾にフリルがついている。


その下には……薄い水色の無地のTシャツ。


更にその下は……何もつけてないですね。


「やっぱりノーブラ? 合うやつあるかなぁ。ちょっと失礼。」


わしっ


「うひゃっ!?」


姉貴に胸を鷲掴みにされた。


「ふむ……これだと……私の四年前くらいかな……? んーどうだろう? うーん……」


うんうん唸りながらひたすら揉み続ける姉貴。


「あの、そろそろ、やめてくんない? なんかくすぐったい……」


その他の理由として何かに目覚めそうなので早急にやめて欲しい。


「おお、おおお? おおおお?」


モミモミモミモミ


「ちょっ、あっ、この……やめろぉ!」


「あだっ」


近くにあったティッシュの箱で姉貴を殴打。


……危ないところだった。何か分からないけどとにかくヤバかった……


「ありがとう、ごめんなさい楓。楓の恥じらう姿のあまりの美少女力に正気を失いかけていたわ……」


なんだ美少女力って。


「まったく、何するんだよ……いきなり、その、胸……揉みやがって……」


「ああダメ! その拗ね照れた表情! イタズラしたくなっちゃう! 抑えるのよ私、冷静に冷静に……ここで楓に嫌われるわけにはいかないわ……素数よ……素数を数えるのよ光花みか……2、5、7、11―――」


もう大分好感度下がってるけどな……


「で、何が目的だったんだよ?」


「―――43、47……え? 目的? そりゃあバストの大きさ調べて合うブラ探すためよ。他意は無いわ。」


他意しかなかったろ。


「もっとメジャーで測るとか方法あったでしょ……」


「時間かかるしねぇ……」


揉まれるよりはマシなんだけどなぁ……


「私触れば大体分かるのよね。確かまだ残ってたはず……ちょっと探してくるわね。」


二階へと階段を駆け上がっていく姉貴。


……ブラねえ。まあ必要なのかもしれないけどつけたくないなぁ……この可愛い寝間着―――いやこれはパジャマと呼ばれる代物だな―――も着ていてなんだか気恥ずかしいし……やっぱり女性的な装いをすることに抵抗があるなぁ。今の容姿ならバッチリ似合うのも分かるんだけども。


なんて考えているうちに姉貴が戻ってくる。


「あったわ楓! あの辺ならどれかは合うと思うんだけど……とりあえず私の部屋に来なさい!」


「え、何で? ここでよくない?」


理由も分らんし少し嫌だ。アレの後だからな……何されるか分かったもんじゃない……


「……逆に聞くけどリビングで脱ぐつもりなの?」


「あぁー……なるほど確かに。……理由は分かったけど変なことはするなよ?」


考えてみるとまあ当たり前か。庭あるとはいえカーテン閉めてないし、兄貴とかが帰ってくるかもしれないし、リビングはまずいな。そんな意識サラサラなかった。


「しないわよ、私をなんだと思ってるのよ。」


変態だよ。


「どの口が言うんだよ。」


さっきまでの行為はどう説明するんですか?


「まあ、冗談は置いておいて、本当に何もしないから。ついでに色々似合う服着てみましょ?」


「あんま女の子っぽいのは嫌だなぁ。」


「そういうのこそ似合うと思うんだけどねー。いや、ボーイッシュ銀髪美少女……これはこれでパワーを感じるわね……」


顎に手を当ててブツブツ呟く姉貴。


この人ホントブレないな。


「まあ、とりあえず上がりましょう。」


「はいはい。」


階段を上る。


「今度服買いに行きましょう。折角あれだけ貰ったんだし少しくらい使っても問題ないわよ。」


服買いに行くかどうかはともかく少しくらいってのには同意できる。あの量だからな。


部屋に着く。


「とりあえずこれとこれ、着けてみましょう。服脱いで。それで小さく感じるならこっちだし大きく感じるならこっちがいいと思うわ。つけ方分かる?」


大量のブラジャーを並べる姉貴。姉と一緒に住んでるので他の男と比べれば見る機会は恐らく多かったんだけどこの数を同時に見るのは初めてだな……これをつけるのか……


「分かると思う?」


姉妹がいるとはいえ彼女なんかできたことないんですわこちとら。


言いながら服を脱いでいくと当然出会う裸の上半身。


「まあそうよねー。……自分の体とはいえ実際に女体をこんなにしっかり見るのは相当久しぶりみたいね。幼稚園ぶりとか? まあそのうち慣れるんじゃないかしら。」


「……そうなるように祈るよ。」


服を脱ぐたび赤面するんじゃやってられない。


「さてと、ブラだけど。ここはこうして、こうするんだけど……自分でできる?」


「うぬぬ……難しい……」


「慣れてないと難しいかしらねー。今回は私がやってあげるわ。今度フロントホックの買いに行きましょ。それならやりやすいはずだから。」


姉貴が後ろで何かするとなんだか収まった心地がしてくる。こんな感覚なのか。ブラジャー。


「分かったー。」


女性下着売り場行くのやだなぁ。


「さて、と。じゃあお楽しみのお洋服と行きましょうか。私のお古沢山あるわよー。着たいのある?」


「あー、そうだな……」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


結果、ダボついた被るタイプの黄色いパーカーに短いスカートといった格好。自分の体なのでこう言うと恥ずかしさがあるがとても可愛い。それはそうと股がスースーして落ち着かない。


「じゃあ降りましょうか。そろそろ戻ってるころだろうし。」


「そろそろ?」


「あら、言ってなかったかしら。カミサマたち、件の上司に報告したら戻ってくるって言っていたのよ。もう戻ってるんじゃないかしら。」


「そういえばそんなこと言ってたね。」


俺をこんなんにした本人とご対面ってワケだ。こんなんにつっても滅茶苦茶可愛いは可愛いんだけども。


……会いたいような会いたくないような。


階段を降りると―――いた。


右目に古そうな三本の傷(大きな動物の爪痕のように見える。熊?)のついた黒髪短髪でガタイのいい強面の男。いかにも軟派ですといった感じの眼鏡をかけた優男。背が低くて人懐っこそうな金髪赤眼の可愛い子。全員服装はバラバラで、強面は無地の黒いTシャツにジーンズ。チャラいのは明るい色のTシャツの上に柄物のシャツ。首元のネックレスがチャラさを増している。女の子は純白のワンピース。中々着こなすのが難しそうな服だがよく似合っている。そんな三人が食卓を囲んでいた。


女の子以外は二人とも日本人に見える。


これが神と天使……?


三人はこちらを確認して立ち上がる。


「すいません。お茶、美味しかったです。」


強面が母さんに頭をさげる。


えっ、母さんこの胡散臭い連中にお茶なんて出してたの。


というかこいつらはどうやって家に入ってきたんだ。


強面がそのまま目を合わせてこっちに向かって歩いてくる。俺の身長が低くなったからか単にこいつの背が高いからかもしくはその両方かは分からないがとにかく威圧感を感じる。ぶっちゃけ結構怖い。


「新条楓。こっちはお前の顔を知っているがお前からしたら初対面同然だな。俺は直矢すぐや。苗字は―――まあ、無い。そして俺がこいつらのリーダーで神の役割を担っている。こっちの眼鏡が―――」


「僕は澄也すみや。こいつの部下で天使やってます。僕も苗字はないんだ、気軽に呼び捨てで構わないよ。よろしく。」


優男が握手を求めてくる。


「よ、よろしく……」


こっちは逆にフレンドリー過ぎて胡散臭い……


「その服可愛いね、着替えたの? あ、僕らがあげたパジャマは気に入ってくれた? エディちゃんが選んだやつなんだけど、僕もあれ結構可愛いなと思ってて、そっちも見たかったなーって。今度―――」


「澄也、無駄話はそこまでにしておけ。んでこっちの金髪が―――」


澄也がペラペラ喋るのを直矢が止める。


「僕はエディです! 天使です! 呼び捨てで大丈夫なのでエディ、って呼んでください! 高校三年間、よろしくお願いします! 僕、人間界の学校って通ったことなくて、すっごく楽しみにしてるんです!」


「うん、よろしく。」


天衣無縫とか無邪気なんて言葉がすごく似合いそうな感じで好印象。他の二人が極端なのもあるけど。


「あー、そしたら説明を始めてもいいか。もう伝え聞いてるかもしれないが改めて説明させて欲しい。場所はどこにする? どこか店に入ってもいいしお母さまが許せばだがまあここでもいい。」


と直矢。


お母さまて。お前神だろもう少し偉そうにしろよ。いや俺に対しての圧はすごかったけども。


「あら、私は構わないわよー。直矢君と私、意外と話合いそうだし。料理の話もっと聞きたいわー。」


えっ、こいつ料理とかするの……? 熊とか狩ってそうなこいつが……?


「このくらいならいくらでも。」


「いいなぁ、直矢。こんな美人とお近づきになれて。」


と澄也。こいつ見境なしか。いやうちの母さんは姉貴の親だけあって確かに美人だが。


「あらやだ美人だなんてお上手ねー。」


俺は何を見せられてるんだ。


「……やっぱり外でどこか入って話すことにします。話す内容は基本先程と一緒ですが同席なさいますか?」


「さっきと同じなら私は残るわー。洗濯物取り込まなきゃだし。」


と母さん。


「私は同席しようかな。質問には答えてくれるんでしょ?」


と姉さん。


「ああ。さっきは時間がなくて一方的な説明になってしまったが今回は時間に余裕があるからな。」


「じゃあ行きましょ。楓も外でいいわよね?」


「別にどこでも。強いて言うなら話の内容聞かれて頭おかしい奴らだと思われないか心配なくらい。」


まあ他の席の話なんて基本聞いてないと思うけど。


「その辺は任せてよ。僕らカミサマと天使だからね。当たり障りのない会話に聞こえるように処理しておくから。」


と澄也。


「万能なんだな。」


瞬間移動したり人んちの電話羊羹にしたり。


……万能なのか?


「俺たちの能力は俺たちの想像の働く限りどんなことでもできる能力だからな。まあ、飽くまで上に許されてる範囲だけどな。」


「じゃあ行きましょうか。場所教えたら瞬間移動でもして連れて行ってくれるの?」


「いや、目撃者が多いと記憶の改ざんが面倒だから歩いていこう。基本的に能力は使ってもいいが世界に与える影響を少なくしなければならないからな。使わなくて済むなら使わないに限る。」


意外と不便なんだな……


「で、澄也。歩いていける距離に座れるような店はあるか?」


「近くに一軒。ザイセリアがあるね。」


「じゃあそこにするか。問題ないな?」


直矢がこちらに聞く。


「ええ。」


「うん。」


あそこなら近いしね。


「それじゃあ向かおう。」

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