第1章 レイナ・シトラスその1
その女、イルゼがソファにつくのを見ると被っていた帽子を脱いだ。
帽子を脱ぐと頭から犬耳が生えていた。それを見ていたミルバートは口を開き、固まった。
「お前、亜人種見たことないのか?」
「あ、いや、聞いたことはあったんですけど、こうしてみるのは初めてです…」
「彼女は亜人の中の犬種だ、まぁ4種しかいないがな、そして彼女は俺専属の情報屋だ」
「おい、イルゼ!私の本職は商人だ!!ちゃんとそれを紹介しろよ。まぁいい、私はレイト・ニッキートだ。よろしく」
自己紹介を終えたレイトはカバンから2つの地図を取り出し、テーブルに置いた。
「これは、闇取引きで得た物なんだが、見て分かる通り、1つは伝説シリーズが隠されてある地図だ!こいつを入手するのに大金がかかった。
それともう1つはおそらくA級のアイテムだろ」
「いくらだ?」
「そうだな…2つ合わして金貨15枚と銀貨5枚と言った所かな。あ、そうだ、それに金貨プラス5枚で情報もくれてやるがどうする?」
イルゼはなんの迷いもなく金貨と銀貨を差し出すと、レイトはニヤッとしながらガバンから1枚の封筒をとりだした。
「2週間後にオークションが開かれる。そしてその中に歴史に関する本が1つ出品される。まぁそれが本物かどうかはわからないが…これは確かな情報だ。」
「あいつのオークションか…正直気は乗らんが行ってみる価値はありそうだ」
封筒の中はそのオークションに参加できる招待状だった。取り引きを終えると、帽子を深く被りレイトは外に止めてあった馬車に乗り、でって行った。イルゼたちは部屋に戻り、買い取った地図の左端に火を近づけた。すると、丸が炙り出てきた。
「それは何ですか?」
「地図の中にも偽物があるだよ。だからこうやって火を近づけて確認するんだよ。」
「そういえば、さっきレイトさんが伝説シリーズの地図って分かっていたように言ってましたが何か印とかあるですか?」
地図を持ち右上にあるドクロのマークを見せるとドクロの右の目の部分を指を指しすと、微妙に左目との大きさが違かった。この誤差は普通に見ても気づかない程度の誤差で、普通の人間にはまず判断がつかない。
イルゼは机に置いてある不思議な形をした置物を触り、魔力を流したように見えた。すると、置物の目が赤く光り、色も黒から赤に変わった。
「おいコラ!!イルゼ!!テメェの都合で呼び出すなよ!!このバカが!!」
「おぉそうか!主人に向ってバカとはいい度胸だな…」
「あ、悪かったよ…イルゼ…てか、それで何のようだ」
「今から宝探しに出る。だからお前も付いてこい。いいな?」
家を出てから1時間以上が立った。さっき置物はイルゼのリュックの脇の小さなポケットにスポッリ入っていた。
「あのイルゼさん、今回はエドを連れてこなくていいんですか?」
「あぁ、今回はビルクッラトがいるからな。それにティーゼを1人にするのはまずいからな」
ビルクラットとはさっきの置物の名前で一様S級の宝である。
森の中を突き進んでいるとやっとそれらしい建造物が現れた。地図と確認すると確かにこの場所で間違いは無く、中に入ろうとすると、森の中から多数の火の矢が飛んできた。イルゼの盾でなんとか防いだが、森の中から何十人者の人が出てきた。
「久しぶりね…イルゼ。そこ…どいてくれるかしら?私たちが先に見つけたのだけど」
「最悪だ…まさかお前とここで会うとは…レイナ・シトラス」
レイナ・シトラス、彼女はイルゼと同じランクXのトレジャーハンターの1人でイルゼとは違く人望がある。
「おい!!師匠がそこを退けと言っているんだ早く退け」
「ちょっとお兄ちゃん、いきなりそんな態度取っちゃダメだよ」
「ラング、キウラ、兄妹仲良くしなさい。それに今は私があの男と話しているんだぞ」
ラング・バーンズ、キウラ・バーンズ、双子の兄妹にして、レイナの弟子である。
イルゼは盾をしまい、入り口の前で仁王立ちをした。
「それは、なんの真似だ?」
「1つ提案がある。勝負をしないか?宝を賭けて…」




