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魔法薬師は休みが欲しい  作者: 徒然
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プロローグ


今年の桜は遅咲きらしい。

どうやら年々の異常気象により桜の開花が予想しづらくなっていると画面の中のニュースキャスターは言っている。

ステレオタイプの箱から聞こえてくる声は少し懐かしい風に感じる。

「こんなにこっちの世界は桜が咲いているっていうのにね…」

窓から見える満開の桜並木を眺めながらそう呟く。


地球の裏側の世界。


そう呼ばれる魔導世界マギアワールドに母に連れられてやってきたのはもう15年も前のことだろうか?

薬師だった母はこの世界からのスカウトを受けて此方に私を連れてやってきた。

その時の感動を今でも覚えている。


空を飛びかう箒の数々空を貫くような立派な塔の建物。

その一つ一つがあの世界で見ることのできないものばかりで、幼かった私の心はこの世界の虜になってしまった。


人は、誰しも恥ずかしい過去を1つや2つは持っているという。

私にとってそれは魔導学院に入学したあの頃の事であるといえる。


いろいろあって元気一杯の幼少期を過ごし10歳になった私は、魔導学院に入学することになった。


当時の私は他の誰よりも好奇心満載の少女で――やんちゃだった。

この世界が起こす些細な現象が面白く見えてた時代だったから仕方ないともいえるが、銅像爆破事件なんてものは、如何せん今となって思えばやり過ぎだと思う。


今でも学生の間で伝説とされるほどにネタになっていると今の教頭から聞かされた時は穴でも掘って埋まりたいと思ったほどに。



魔法に囲まれて育った同世代に敵うことは無かったけれども、逆に薬師を母に持つ私が彼らに薬学で負けることは無かった。

そのせいか、二つ名としてか『魔女』と呼ばれることとなったのは苦い思い出だ。

私よりも魔法を飛ばしあって遊んでいる彼ら彼女らのほうがよっぽど魔女らしいというのに…不本意な二つ名だ。


そうして薬学トップの成績で卒業した私は(魔法の成績は最底辺に近かったのだったが)薬師として病院に配属される事となり、かれこれ5年私は薬学部門として働いてる。


「それにしても桜を見て何かを思うほど余裕がある時間なんて久しぶりすぎて逆に不気味だ。」


忙しかったこの数日間を思い返して、げんなりする。

定期診察からの急患そして休みの日に急患で呼び出される始末…桜を見て羽目を外した一般人多すぎやしないだろうか?

過労,睡眠不足,貧血に始まり…アル中,骨折,魔法中毒etc…


結局日が変わっても家には帰れず、病院で数日を過ごす日となった。

薬師といえど医者には変わりないし、現代医学から魔法医学まで勉強しているとはいえ、薬師が本職なのだから勘弁してほしい。

特にあの魔法医学長…自分は今日は休みだから後は任せた~と言って、日が変わった直後に帰って行ったのは忘れるものか。なんで、専門医が早く帰れて専門医じゃない人が帰れないのだと抗議文書を出したけども

、あれは一体どうなったのだろうか?


桜よ、早く枯れてお花見気分を止めてくれ…枯れない事は分かっているからお花見気分ムードを何処かへ祓ってくれと思う日々である。


「今日は家に帰りたいなぁ…温かいご飯が恋しいよ本当に。」

温かいご飯に味噌汁それに鮭の塩焼き…今日の夜ご飯はこれだ。

時計を見ると現在17時…後1時間程で急患がなければ上がりだ…いつもになく退勤時間が待ち遠しい。


しかし、そんな至福の時間も一つのノックの音で消え去った。


「先生?いらっしゃいますか?電話がつながらなかったので此方に直接来ました。急患です!3号室にって御手洗先生が…って先生!?」


さようなら私の温かい夜ご飯よ。


2話出来次第あげていきたい…。

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