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掌編小説集5 (201話~250話)

見栄

作者: 蹴沢缶九郎

小腹を空かせた田中は、ファーストフード店へとやってきた。レジでハンバーガーセットを注文すると、店員が言った。


「お客様、当店はテイクアウトサービスをしておりませんが、よろしいですか?」


「ああ、ここで食べるからいいよ」


「かしこまりました。それと、当店は商品に価格を設定しておりません。お手数ですが、ハンバーガーセットの価格はお客様自身でお決めください」


まさかの店員の言葉に、田中は驚き聞いた。


「何だって!? 価格を自分で決めて良いというのか!? なら例えば、僕が一円しか払わないとしても、それで良いのか?」


「はい、構いません。お客様の自由でございます」


田中はしばらく考え、ハンバーガーセットを一円で購入する事にした。良心は痛んだが、相手が価格を決めて良いと言っているのだ。せっかくの言葉に甘えようではないか。


田中は、意気揚々と一円で購入したハンバーガーセットを持ち、店内の人で賑わう席の一角に空席を見つけ、そこへ座ろうとした。ところが、やってきた店員が田中に毅然とした態度で説明した。


「すいませんお客様、そちらは一万円以上をお支払い頂いたお金持ちのお客様の席でして、一万円未満のお客様の席はあちらになります」


店員が指し示した方には、『貧乏人』と書かれた立て札と、ビールケースのなんとも粗末な座席があった。田中はあわてて言う。


「このハンバーガーセット、やっぱ一万円で買います!!」

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