第一話・任務
「オイババァテメェ何考えてやがる!?」
「ほ?何の事かのう?」
共和国傭兵ギルド大長室
ならず者や荒くれ者達の溜まり場たるソコの一番奥にある部屋
そこにあるのは二つの影
机越しに対峙する二人
片や共和国最高権力者にして、傭兵ギルドマスターのアン・オーウェン
とても齢94に見えない妖怪ばあさん、その人である
片や共和国傭兵ギルドトップランカー
六聖人の“銃聖”グラキエース
というかオレである
「次の依頼が帝国!?しかも学園の生徒!!更に言えば聖人を4人も!?何だコレ!?どう言うことだコレェ!?」
バンッ!!
と、依頼書を机に叩きつけるが返ってきたのは依頼の説明だった
「依頼主は私じゃ。族長達と話し合った結果、お主、クー、マリアを生徒として、ジョーカーを教師として派遣することに成った。
表向きの理由はお主らに学園の卒業と言う泊をつけるため。」
「・・・表向きってことは裏があるわけだな?オレの事情を無視してかつ、聖人が4人も出張らなきゃいけない取って置きの理由が?」
嫌味っぽくなるのは仕方がない
オレにも帝国に行きたくない事情ってモノがあるのだから
それをひっくり返すとなると・・・ね
「うむ・・・帝国、帝に魔人の影が見えたのじゃ。」
魔人・・・かつて国が一つだった時代に大陸の半分以上を瘴気の吹き出る暗黒大地に変え魔王を筆頭に魔人、魔族、魔物による世界征服をしようとした、いや、魔王が殺された今なお世界征服をしようと企み、隙あらば襲い掛かってくる、人類の敵
その魔人の影が何故、帝に・・・?
帝は確かに武力による他国侵略をしている過激な人だが、だからこそというべきか、人一倍魔人を憎み警戒しているはずだが・・・?
「そのことについて調べてもらうために行ってもらうのじゃ。お主とジョーカーは顔が知られていない、マリアは顔は知られとるが15才で学園に行かせても疑問はないじゃろうクーに至っては・・・あれじゃし・・・」
「・・・あれ、ね」
六聖人、“槍聖”クー
本名アナスタシア・ホーエンハイム
王国に異端認定され殺されたラバン・ホーエンハイムの忘れ形見
ラバンの作ったホムンクルスで姿、形が自由に変えられる
ただし性別は変えられない
とまあ大仰に語ったがクー本人はその能力を主にいたずらにしか使わず、アン婆さん、各族長、ジョーカー以外の聖人、傭兵ギルド員、
と、相当な人数がいたずらの被害に遭っている
てかぶっちゃけジョーカー以外の共和国民全員被害者じゃなかろうか?
「ま、なんにせよ納得はできねえが理解はした。で?何時から行けばいい?てか他の奴らは?」
「うむ、理解してくれて何よりじゃ。そして、他の奴らはもう行っておるのでの、今から行ってもらう。」
は?
と、返事する間もなく足元に魔方陣が展開され、転移魔法が発動する
「ちょ、まt」
気が付けば、傭兵ギルド帝国支部の支部長室に転移させられていた
「おぉ!グラキエース君、やっと来たか!」
帝国支部長、ガリアン 男 42才
2メートル近くある身長、ボディービルダーもかくやと言うほどの筋肉、日に焼けた肌、無精髭、人懐っこい笑顔
しかし、一度、戦場に立てば“獅子”と呼ばれ恐れられるほどの猛者である
「・・・」
六聖人、“拳聖”ジョーカー 男 21才
本名不明、詳細不明
年齢しか分からない謎な奴
黒髪黒目のイケメンだが普段は顔の上半分を覆う仮面とフードで顔を隠している
インファイト、格闘の達人である
「お疲れ様です、ラキさん」
六聖人、“杖聖”マリア 女 15才
本名マリア・トリニティ
金髪碧眼の美少女
聖魔法は右に出るものが居ないほどの腕
年齢の割に落ち着いていていつも年上に見られる
「お、やっと来たかーラキー」
六聖人、“槍聖”クー 女 19才
詳細は上記
付け加えるとすれば今は黒髪紅眼の美少女の姿である
「・・・はぁ・・・何かドッと疲れた・・・」
机を挟んでクーの正面、ジョーカーの横に座る
「どうぞ、ラキさん、コーヒーです」
勝手知ったるなんとやら、とばかりにマリアがコーヒーをいれてくれる
「おぉ、ありがと・・・で?学園はいつからか聞いてる?」
「はい、明日入学式ですので明日からです」
さらっと答えながらクーの横に座るマリア
「・・・はぁ・・・」
明日って・・・
・・・明日って・・・
予想はしてたけど急すぎるだろあのクソババァめ
こちとら任務終わったばっかりなのに・・・休みてぇ・・・
「で、他に決まってることは?」
「性は皆“オーウェン”を名乗ること。義理の兄妹って設定です。クーさんとラキさんは6年生でSクラスです。私が飛び級したことになっていて4年生でSクラス、ジョーカーさんが私のクラスの副担任です」
学園は学年ごとにD、C、B、A、Sの5クラスに分かれ、成績順に分かれることになる
学園の特色としては
帝国の学園は13才から22才までの9年教育で剣と魔法、戦いについてと歴史について学ぶ
王国の学園は10才から21才までの11年教育で魔法と歴史、宗教について学ぶ
皇国の学園は6才から22才までの16年教育で剣と武術、戦術、歴史について学ぶ
と、国によって学園で学ぶことに国の特色が表れはするものの、他国からの生徒は積極的に受け入れたり、学園同士のパイプラインを敷いたり、国が直接かかわれないようにしたりなど、色々と独立した場所でもあるのだ
閑話休題
「いきなりSクラスとか大丈夫なのかそれ?」
「それは・・・」
「オレが学園長と知り合いでな!紹介状を出しといたからな!」
ガリアンのおっさんの知り合い・・・
「・・・おおかた酒場で意気投合したとかそんなんだろ」
「おぉ!良く分かったなラキ!その通りだ!はっはっは、なかなか面白い奴だったぞ!」
おっさんが言う面白い奴・・・
おそらく、ろくでもない奴だろうな・・・色々と
「ま、いいや、オレ任務明けだから疲れてるし寝るわ」
「ん?おぉ、寝るならそこの部屋使え。ちょうど4部屋あるしな!」
と、おっさんが指した方を見れば客室と書かれた4つの扉
向かい側にはガリアンと書かれた扉と仮眠室と書かれた扉
「・・・じゃ、遠慮なく借りるわ。おやすみー」
眠気が限界に来てのか、ろくに返事も聞かずに一番右の扉に入りそのまま倒れこむように寝た




