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公爵に捨てられた侍女の子供ですが、猫として生きていきます  作者: りな


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アリアの観察日記

 今日、目が覚めたら、横で猫のアリアが寝ていました。

 とても気持ちよさそうに、ぐっすり眠っていました。

 起こしたらかわいそうなので、

 僕は静かにして、もう一度寝ました。

 猫のアリアは、お寝坊です。

 朝ごはんは、猫用のごはんでした。

 アリアは、いつも僕の足元で食べます。

 ごはんを待っている間、しっぽを「たしん、たしん」と床に当てていました。

 早くして、って言っているみたいです。

 かわいいです。

 お昼ごはんを食べたあと、僕は中庭で本を読んでいました。

 猫のアリアは、僕の横で、おなかを上にして寝ていました。

 とってもやわらかそうで、気持ちよさそうでした。

 そのあと、おじさんが来ました。おじさんは、アリアのおなかをさわりました。

 楽しそうだったので、僕もさわりました。

 やわらかくて、ずっとさわっていたいと思いました。

 でも、途中でアリアが人になりました。

 人のアリアは、もう、おなかをさわれません。

 ちょっと、残念です。


 人になったアリアは、ワンピースを着ました。

 紫の色で、とてもよく似合っていました。

 そのあと、おじさんと一緒に、親子かんていに行きました。

 かんていのけっか、アリアは、おじさんの子どもだとわかりました。

 だから、アリアは、僕のいとこになるそうです。僕は、やったぁ、と思いました。

 でも、アリアは、なんだか、よくわからない顔をしていました。……うれしくないのかな?

 夜、アリアと一緒に寝ようとしたら、

 父さんに、だめだと言われました。

 よる、僕はアリアを待っていました。

 でも、アリアは来ませんでした。

 猫のアリアに、はやく、ならないかな、と思いました。


 ……これは、観察日記ではなく、

 ふつうの日記なのでは。

 どっちにしても、

 あまり、うれしくありません。

 ……あ。

 家庭教師が、口に手をあてています。

 肩が、震えています。

 ――失礼です。

「とてもよく書けている。この調子で頑張れ」

 家庭教師は、そう言って少年の肩をぽん、と叩いた。

 ……先生。

 少し、目に涙、溜まってますよね?

「はい。今日も書きます!」

 少年は、元気よく返事をした。

 ……ええと。

 今日は、人間です。

 私。

 書くことなんて、

 何も、ないはずです。

 少年は、きらきらした目で、こちらを見てきた。

 ……やめて。

 その期待に満ちた視線、やめて。

 ――ごめんなさい。

 朝から、白パンをおかわりしました。

 それから、少年の匂いを、こっそり嗅いでいました。

 ……寂しかったのよ。

 でも。

 書かないよね?

 そんなこと。

 ね?

 書かない、よね……?

 家庭教師は、なぜか満足そうに、静かに頷いていた。


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