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キャサリンの下(三)

「純文学は漫画にたとえるなら『ゴ◯ゴ13』が載ってることで有名なあのオトナの漫画雑誌よ」


「違う。たとえるならば『カ◯イ伝』が載っていたことで有名な、今は亡きあのマニア向け漫画雑誌のようなものだ」


 二人に背を向けられながら、どちらも違うと私は感じていた。私なら、たとえるなら『チェーンソーマンのようなものだ』と言うだろう。もっとも漫画はそれしか読んだことはないのだが……。


 コバルト色の火花を散らすように、私を置いて、二人で化学反応を起こしたように眩しく去っていく二人を見送りながら、私は寂しかった。

 あの洛美原先輩が誰か一人のものになるなんて……。

 俺はまだ抱いてもらってさえいないのに……。

 あの従順で平凡な前マネージャーの筒竹つつたけ都々(トト)さんでは物足りなかったということであろうか? 先輩にはガチンコで火花を散らされるようなキャサリンの方が好みということなのだろうか?


 そういえば筒竹さんは?


 アメフト部のマネージャーをクビにでもなったのだろうか? よく頑張っていたのに?


 白状するが、私は筒竹さんをオカズにした妄想行為をしたことが幾度もあった。彼女のあの普通さには安心感を与えてくれるものがある。それでいて金色のおおきな薬罐をぶら下げて駆け回る時、上下におおきく揺れるその胸や、額から滴る汗には、純文学な心をかき乱す爆発的なパワーがあった。


 私は彼女を探しはじめた。


 今までは、彼女は洛美原先輩の女だと思っていたから手を出さなかったのだ。


 ほんとうは、彼女をこそ、自分の筆を初めて下ろす相手として妄想していた。


 読者諸氏は誠実さのない男として軽蔑するであろうか? トーコという、結婚の約束までしている女がいるというのに、こんな行動をする私のことを?


 否! これこそ男の欲望の真実であるのだ!


 純文学とはタブーに挑戦するものなのだ! ハーレムは大衆小説のものだが、不倫や一夫多妻制は純文学のものだ!






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