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十四、治療塔惑性

 どういう襲いかかり方が純文学的なのかとか結論を出している余裕など私にはなかった。

 本能のままに、素直な気持ちのままに、私はトーコに襲いかかっていた。


 襲いかかられながら、トーコは言った。


「女性の期待の地平線の少し上をイクのが良いって、オーケン先生が仰ってたわ」


「大槻ケンヂ先生が?」


「大江健三郎先生よ」


「どっちもオーケンだ!」


「どっちもブンガクよね」


「──じゃあ、僕は君の期待の地平線の少し上をイカないといけないのか」


「ふふ……。そう願いたいけど──北村直樹くん? キミ、初めてよね?」


「じ……、じつは」


「読むことと書くことは互いに変換し合うのよ」


「なんだって!?」


「今まであなたはセクシーな動画とか、えっちなハウツー記事とかを読んでこなかったかしら?」


「ああ、そうだ。僕は今までに、たくさんの、様々な、セクシー動画を見たり、エッチなハウツー記事を読んだりしてきた」


「今まで読んできたことは、書くことに変換できるのよ」


「なるほどそうか!」

 私は胸の裡からふつふつと、自信のようなものが湧き上がってくるのを感じた。

「──ところで、君は大衆小説の象徴ではなかったのかい? どうしてそんなに大江健三郎先生の言説について詳しいんだい?」


「大衆小説とか純文学とか、そんな境目は取っ払っちゃいましょうよ。うっふん」


 なんだか私はブンガクの高い塔のさらに上に立つ、治療塔に昇り、性に惑わされながらも、癒されていく自分を感じていた。




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