表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JEST  作者: 桜風瑠那
6/8

5

那月達は、ようやくパチンコ店まで辿り着いた。

爺閣下「長い道のりだったぞなもし」

那月とお嬢は爺閣下を睨みつけた。

元はといえば、爺閣下が道に迷ったのがいけないんじゃないか…。

2人の目は、そう語っていた。

爺閣下「そ…そんな目で見ないで欲しいぞな…」

爺閣下は怯えている。

お嬢「那月、中に入ろーか」

かまわず2人は中に入っていった。

爺閣下「女は怖いぞなもし…」

爺閣下はそうつぶやくと、フト横を向いた。

誰かが爺閣下を見つめている。


爺閣下「猫パンチじゃないかぁっ!久しぶりぞなもしぃ!」

どうやら爺閣下の知り合いらしい。

猫パンチ「久しぶりなのだ!」

爺閣下「嫁さんは見つかったぞな?」

猫パンチ「まだなのだ。なかなかいい人は見つからないのだ。爺閣下はここで何してたのだ?」

爺閣下「あ…忘れるトコだったぞな」

爺閣下はこれまでのいきさつを手短に話すと、猫パンチと一緒にパチンコ店へと入って行った。

那月達は、パンダを探してうろうろしている所だった。

爺閣下「パンダちゃんは見つかったぞな?」

那月「人間に化けてるんでちゅかね?お顔忘れちゃったでちゅ…ところでその人誰でちゅか?」

那月は猫パンチを指差して言った。

爺閣下「俺っちの友達のパンチ・ザ・キャットだぞな。嫁さんを探して旅をしてるんだぞなもし」

どうやら猫パンチというのはあだ名らしい。

那月「ダンディーな方でちゅね!あたち好みでちゅ」

那月はうっとりとした目で猫パンダを見つめた。

末恐ろしい赤ちゃんである。

猫パンチ「可愛いお嬢ちゃんなのだ」

───ピクッ

お嬢がその言葉に反応した。

お嬢「お嬢…ちゃん?」

お忘れかも知れないが、お嬢はちゃん付けされるのが嫌いなのだ。

爺閣下「那月の事ぞなもしっ」

爺閣下が慌ててフォローした。

お嬢「あらそう。ところで爺閣下、早くパンダ探してよ!」

どうやらお嬢もパンダの人間の姿を忘れているらしい。


一方パンダはというと…。

肉を狙ってパチンコに熱中している為、那月達には気付いていなかった…。



その時、店にパーティーが入って来た。

2人は見覚えのある顔である。

那月「あ───っ!でちゅっ」

那月が叫んだ。

?「あら、那月ちゃんじゃないの!」

魔法使いが言った。

お嬢「あら那月、知り合い?」

那月「し…知り合いも何もっ…パパとママでちゅよ───っ!!」

初回から消えていた、戦士のパパ耕司と、魔法使いのママ楓である。

普通ならここで親子の感動の再会とでも行く所であろうが…

耕司「那月!何でこんな所にいるんだっ!?家で留守番してろと言ったじゃないか!」

耕司は那月を怒鳴りつけた。

那月「パパ達こそ、お兄ちゃんは見つけたんでちゅかっ!?」

6ヶ月の赤ちゃんと、24歳の大人の見苦しい親子喧嘩である。

耕司「そっ…そんなに早く見つかるわけないじゃないかっ!そんな事より聞かれた事に答えなさいっ!」

那月「偉そうに言わないで下ちゃいよっ!説明するのめんどくさいから嫌でちゅっ」

耕司「親に対してそんな言い方はないだろっ!赤ん坊のクセになまいきなっ」

もはや親の台詞ではない。

那月「うるさいでちゅっ!娘を誘拐犯と一緒に留守番させとくのがいけないんでちゅよっ」

その時、側でわなわなと震えていた楓が切れた。

楓「おだまりっ!!」

那月と耕司はピタリと止まった。

楓「さ~て那月ちゃん、イチから説明してもらいましょうか?」

楓はニッコリと微笑んで言った。

そこにいた人間の全てが寒気を感じた。



───那月は、パパとママにこれまでのいきさつを簡単に説明した。


楓「なる程ね…チッ、人選ミスったか」

楓がボソッと呟いた。

バニーちゃんの事を言っているらしい。

耕司「まぁここまで来ちゃったのはしょうがないからな。パパ達と一緒に行こう」

那月「いーんでちゅか?」

那月は喜んだ。

やはり那月も寂しかったのだ。多分。

楓「パーティーの紹介をするわね」

楓が言って紹介したのは、つぶらな瞳のヒナモン(仲間にした時はヒヨコだったらしいが、今は鳥の姿をしている。お嬢の目が怪しく光ったのは、言うまでもないだろう…)と、応援が得意だという応援狼、そして…

楓「探したのよ」

と楓が声をかけたのは、なんと…那月達が追っていたパンダだった。

パーティーを組んでいたのだが、途中ではぐれてしまったらしい。

楓はパンダに肉を渡すと、

「じゃ、行きましょうか」

とニッコリ言った。

那月達は驚いたが…

那月はパンダと一緒にいられる事で喜んだ。

爺閣下も悪くはないと思っているらしい。

お嬢は少し落ち込んだが、パンダと一緒に行動していれば食べるチャンスも出て来るかもなどと思い直し、すぐに元気を取り戻した。


かくしてパーティーは、那月・お嬢・爺閣下・猫パンチ(仲間に加わったらしい)・耕司・楓・ヒナモン・応援狼・パンダと一気に増え、ぞろぞろと優斗を探す旅を再開する事となった。

シュミレーションRPGでも出来そうな人数である。

戦闘メンバーは4人なので(設定上そうしてあったり)、取り敢えず那月(主人公は外せないらしい)・お嬢(普段はともかく戦闘時はメチャクチャ強かったり)・耕司(戦士は入れたいな…なんて)・応援狼(回復出来るらしい)でいく事になった。

ようやく目的が戻ったらしい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ