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第6話「恋」
「父さん!父さん!!あの王子殺す!!」
「アリーシャか……」
「父さん!しっかり!すぐに薬草を!」
薬草を出そうとする娘を父は制止した。
「必要ない…」
「どうして?!」
「もう、わしは長くない……」
「そんな!嫌だ!死なないで!!」
アリーシャは必死に手当をする。だが、流れ出る血は止まる事はなかった。
「父さん!」
「あの王子、」
「あの王子がどうしたの?!仇をとってくれって?」
「ふざけた事に、わしに謝罪してきおった……アリーシャ、もし、もしかすれば、あの王子を……」
「王子を何?!」
「利用、して、わへい……」
そこで長老は息絶えた。最後は娘の身を案じての言葉だった。
「わ、へい?そんなの出来るわけない!!許すものか!王子レェーネ!!お前はあたしが殺す!!」
アリーシャは怒りと悲しみから王子を憎んだ。父の墓を掘るとそれから彼女は立ち上がる。
「父さんの仇はあたしがとる!」