第81話 コロッセオ③
どうやら、聖騎士の従者が出るというので大半の出場者は棄権したようだった。
当然だろう。
新進気鋭の聖騎士ハサンにハデルはW聖騎士として、
世間を賑わしている。
邪神や魔王の一派を尽く、打倒している者だから、
「どうやら、今年の聖騎士は違うぞ」
なんて新聞や噂で広まっているようだった。
さあ、第5試合だ。
選手を見てみよう。
ん?随分小柄……。
腰も曲がっ……。
頭も真っ白……。
選手はお婆さん?!
「さあ!お待ちかね、第5試合は、
最強の専業主婦サフラン!!
対するは最強の忍者トクサン!!」
このリングアナ『最強』言っとけば取り敢えず良いと思ってるな?!
しかし、専業主婦って職業?!
何が出来るの?
専業主婦って大分お年を召してらっしゃる感じだよ?
『第5試合開始ィィ!』
お婆さん戦士サフランが、ヨロヨロと歩く。
倒れるんじゃないか?!
苦笑に混じり、ザワザワ会場が揺れる。
おっ!トクサンが先手でクナイを投げる。
すると、驚く事が起こった。
弾くでもなく、クナイが勝手にサフラン婆さんの手前で止まり、落ちた。
ザワッ!
瞬間サフランの目が赤く光ったかに見えた。
ドゴッン!!
物凄い音がして闘技場の壁が壊れる。
キェェェェェッッ!!
土煙が立ち込める。
その煙が収まると黒い巨躯が現れる。
闘技場の観客の誰かが言った。
「キ、キ、キングゴロリだ!」
キングゴロリは真っ赤な目と瘴気を宿し、俊敏にダンゴムシ状に丸くなると、
トクサンに向かって襲いかかる。
トクサンは交わそうとするが、
キングゴロリは二本の角から強波動を放つ!
「が……っ」
強波動を受けたトクサンの様子がおかしい。
空中で目を見開いたまま、
金縛りに合ってるようだ。
あ、やばい。
トクサン!
このままじゃ、トクサンが!
俺は瞬時に印を組むが間に合わない!
ドゴッ!!!!!
大きな音と共に闘技場の壁を破壊し
止まるキングゴロリ。
誰もがトクサンは圧死したと思った。
『ワォォォーーン!!』
おおっ!この嘶きは!
☆★☆★☆★☆★☆★★☆
ぐでっと意識を失ったトクサンを背に乗せて悠々と階下を見下ろしたのは、
ウルフのアヤカシであるウルフィーの王、
『ガンウルフ』だ。
よし!イエス!よくやった!
※ハサンの心の声
『セシア!やるじゃん!よくぞガンウルフを召喚してたね!』
※セシアの心の声
『あたぼうよ!アタイを、誰と心得る?召喚士セシア様よ!』
あたぼうよ?
まあ、いいか。
成果に対して直ぐにお礼の気持ちを伝える。これは滅茶苦茶大事だからね。
セシアは魔獣ヒババンゴ、
レオナルド熊、ドテチンを召喚。
シマジとメイも臨戦態勢だ。
でも、おかしい。
なんかキングゴロリの暴走は
仕組まれている……
黒幕が、誰かいる。
まさか、あのサフラン婆さんが
邪神の一味?!
キングゴロリの暴走!
さあ!事態は動き出すよ!
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