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第73話 ハサンまた殺される

やべー。また霊体になったよ。


肉体は背後から剣で心臓ごと貫かれた。

だが俺は死ねない。


そう、これこそが聖騎士の呪いなのだ。


元来、このマーラで死ぬと天上界に昇天するのだが、聖騎士はこの世に留まる。


召喚士が倶利伽羅剣に、究極の祝詞

『トホカミエミタメ』を唱えれば、

肉体は再生するのだが……。


誰だよ、俺を殺ったのは。


霊体のままで、刺した犯人を探る。


ん?!

んんん……!!


金髪の若者で、キレッキレの剣撃と、

華奢な身体に似合わぬ長剣。


その長剣からは俺の血が滴っている。

そして、その男の目は血走っていた……


ってジンタン!


ジンタンじゃないか!


俺を背後から刺した剣士とは

紛れもないジンタンだった。


まさかドワーフの呪物

『妖刀ニヒル』に魅せられ、まれてしまったのか。


確かに油断したとはいえ、

不動明王の加護を獲ている俺を背後から殺るとは只者では無いと思ったが、

まさかの天才剣士ジンタンだったとは。


ふ、不覚……。


あ、でも俺は復活出来るじゃないか!


セシア!倶利伽羅剣にトホカミエミタメを!祝詞である『トホカミエミタメ』を!


あれ?セシアが口をモゴモゴしてる。

まさか、アンチマジックフィールドで詠唱を封じてるのか?


正確には祝詞は魔法じゃないんだけど、言葉に出せないので術が発動しない。


まずいな。そう云えば倶利伽羅剣は?


見ると倶利伽羅剣の姿が無い。


ん?どこだ?


あーー!!


見ると一匹のガーゴイルが倶利伽羅剣を持って飛び立とうとしている。


あ、こらー!


ハサンの声は霊体が故に届かない。


あ、やばい。詰んだ。


そしてセシアとメイでジンタンを倒せるのか?


相性が悪い。

セシアが死ねばゲームオーバー。

俺はアヤカシになる(焦)。


メイはジンタンを想ってるのに……。


俺は何も出来ないのか!

地団駄を踏みたくても踏めないハサン。


魔法が使えない魔法使いに勝機はあるのか?


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


や、ヤバイ。

セシアは焦っている。


アンチマジックフィールドの影響だ。

詠唱が出来ない。


だから、『トホカミエミタメ』はおろか、

ヒババンゴやウルフィー等の召喚術をも封じされている。


メイも同様。魔法が一切使えない。


しかも倶利伽羅剣をガーゴイルが持ち運んで飛び去っていった。


ハサンの霊体がセシアにだけ見える。


ガーゴイルを指差して

あたふたしてる……。


私が死んだらハサンも死ぬ。

何よりメイを守らなくては。


ジンタン……。よし!

ダメ元でもう一度。


「ジンタン!帰ってきて!

妖刀に操られないで!」


実はジンタンには再三呼びかけている。


でもジンタンには反応が無い。


ジンタンは八相の構えでジリジリ寄ってくる。

あれは一刀両断、薩摩示現流の構えなのだがセシアは知らない。


でも間違いなく死ぬと背筋がピンとなる。

メイはぶるぶる震えながら

「ジンタン、やめて……」と

涙声で小さく吐露するだけ。


ここまでか……。


その時!三日月の波動スラッシュが

ジンタン後方を飛んでいたガーゴイルを落とす。


グ、グギャャーー!


「ハッハッハ!真打ち登場!」


その声は。聞いたことがある。

そう、二人目の聖騎士ハデル!


メイとセシアは、安心からか思わず

気を失った。

無敵の強さを誇るハサンを背後から刺した犯人は

ジンタンだった!


孤高の天才剣士が妖刀ニヒルで襲いかかる。

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