第59話 真実
邪神アドヴァンの正体はアドヴァンというマーラの世界の人間=亜人だとのこと。
まじか!
ハデルは、驚く。
エレンの里で、エレンの娘サリーからハデル達は邪神と魔王と聖騎士の秘密について話を聞いている。
それは、自身の終わりの見えない旅の終着に近づく話でもあった。
エレンの里の住人も一様に亜人だった。
この里から程海岸に向けて歩くと、昔は集落があったらしい。
アヤカシが出るようになり、村は自然に寂れていき、やがて無くなった。
アヤカシが出る前に、その集落に住んでいたのがアドヴァンとのこと。
エレンはその村の末裔なんだという。
そのアドヴァンと一緒に行動していた少女がいて、その少女こそシローヌだという。
ある日アドヴァンとシローヌが村の近くの洞窟にある古い宝箱を発見した。
その封印の箱を解いたアドヴァンは邪神に乗っ取られたのだと言う。
アドヴァンの近くにいたシローヌは邪神の力を一部分け与えられた。
シローヌは邪神の力を一部引き継いでいる為、不老不死の身体となり、聖騎士を産んだルーツであり母なのだと。
原初の聖騎士は聖騎士として召喚されず、異世界から召喚されて賢者となった。
その賢者が大賢者パティーンだった。
パティーンはルビク始め多くの人間に聖騎士召喚の術を授けた。
しかし、運命とは皮肉なもの。
聖騎士は召喚者が死なない限り死ねない。
且つ召喚者が死ねば、アヤカシへと変わる。
聖騎士シオリが、死後魔獣ヒババンゴへと変わったのもその影響である。
なんと、魔王軍の魔将軍ザンは元聖騎士ハサンの弟ハデル=トキマサだと知る。
更に前の魔王ケンジは、原初の聖騎士マサフミに倒されたが、マサフミが現魔王スマターなのだと言う。
その魔王ケンジを召喚したのがアドヴァンであり、聖騎士マサフミを召喚したのがパティーンだった。
ま、まじかよ。
なんてこった。
原初の聖騎士ハサン(マサフミ)とハデル(トキマサ)が、魔王と魔将軍となり、
現聖騎士と争っている。
茶番じゃないか。
なんなんだよ!聖騎士って!
怒りが込み上げる。
家族と離れ離れになり、そして聖騎士と魔王の螺旋の理に巻き込まれた運命に、
人の人生を弄ぶ邪神アドヴァンにも。
召喚したメリーにも怒りが込み上げる。
くそ!俺はハデルになんかなりたくなかったのに!
邪神を叩き潰す!
この破邪の剣で!
先ずはハサンと約束通り合流しよう。
そうした矢先。
遠くにある魔城と言われた首都エギョマ跡地から一条の光が天に登っていく。
あれ程の黒雲が、どんどん晴れ渡っていく。
そして優しい光が射し込んでいく。
こ、これは?!
ハデル達は呆然と立ち尽くす。
そして、この辺に立ち込めていたアヤカシの気配と瘴気は雲散霧消、立ちどころに消えていくのだった。
あ!ハサンがやったのか!
衝撃的な事実に、呆然自失となっており、ついついハサンとのチャンネル周波数を合わせるのを忘れていた。
そうか!やったのか!
ハサンが魔将軍ダロムを打倒したのか!
喜ぶ反面、気づく。
そうか、この聖騎士の共有する力も本来は邪神の力なのかと。
という事はある意味我らも邪神に覗かれている。
つまり、邪神の欠片なんだと気づくハデルであった。
次回へ続く
ついにハサンとハデルこそが
邪神の欠片と気付く重要なパート。
すごいよな。勝手に書き上がるんだよね




