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第53話 エレンの里

瘴気の渦巻く、首都エギョマ跡地。

殺された人々はアヤカシとなり、アヤカシになる際の怨念や悲しみは、瘴気となって漂う。


アヤカシに殺された者はアヤカシとなる。


軽い瘴気なら咳や軽い頭痛程度で済むが、ここまで濃い瘴気だと

普通の人間であれば数時間で発狂するだろう。


セシアとメイの結界で今は治癒に専念している。


召喚士が殺されない限り、聖騎士は死なない。

噛みちぎられた腕も、今やすっかり元通りに再生している。


いやー。今回は少しヤバかった。

あのウルフィーは滅茶苦茶強かったな。


腕一本で済んで良かった。

不死身とは言え、全身を再生するならば、少し時間がかかるからな。


とは言え、前回は水の中で再生されたけどね(笑)


「よし!長居は無用だ。

あの古城に行こう。何かが我々の行く手を阻んでいる。あれ?シローヌは?」


回復の合間に少しうたた寝していたら、目覚めた時には最早姿は無かった。


「気付いたら既にいませんでした」

と口々に皆首を横に振る。


月が照らされる。


さあ、いこう。

その前にこの地で起こった凄惨な悲劇を魂を少しでも浄化しよう。


ハサンは手製の竹笛を吹く。


ヒュルリー……。

ピュールルー……。

ピュリルルリー……。


悲しい笛の音。

もう少し生きたかった人々への鎮魂歌レクイエム


心なしか瘴気が薄くなったような気もした。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

一方ハデルは、エレンの里に向かう。

首都エギョマ跡地から、少しは離れているとは言え、ここら辺は瘴気が強い。


聖水を振りかけたシルクの布をマスク代わりに口元に巻いてハデル達は進む。


アヤカシ達を滅しながら進むハデル達。


やがて民家が並ぶエレンの住む里に辿り着いた。

その民家は皆一様に格子戸が閉まり、活気は無い。


それはそうだ。アヤカシが多いのだ。

少しでも隙かあれば襲われてしまうだろう。

いや、逆にアヤカシが多いのによく里にが維持出来ているなと思う。


それほど、幾多のアヤカシが大量に襲いかかってくるのだ。


首都エギョマ跡地に離れていて尚これだ。

近付けば更に強力なアヤカシが行く手を阻んでくるだろう。


それよりも一刻も早く

この里に住むエレンを探さなくては。

俺が元の世界に戻る重要な鍵がここにあるかもしれない。


ハデルは強く思う。

我が子が待つ元の世界に必ず戻ると誓うのであった。


しかし困った。

エレンの家が分からない。

どの家も一様に同じ様な佇まいである。


古いオレンジがかったレンガ造りで、平屋で樫の木か何かの木製の扉。


人っ子一人外を出歩く者がいないのだ。


「聖騎士ハデルが参った!

この里にエレンという者はおるか!」

ハデルは叫ぶ。


吹き荒む風だけが、ヒューヒューと答えるのだった。


「ヒューヒューだよ!……か」



次回へ続く


魔将軍ダロムは悲しい中間管理職だ。

ちょっと情が沸いてきた

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