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第52話 魔将軍ダロムの憂鬱

ウルフィーの術が破れたか。


月下の下に古城あり。

その古城からハサン達の廃屋を見つめ、

その動向を観察する者がいた。


魔王軍三騎将の一人

魔将軍ダロムである。


彼は魔王軍魔将軍の内、

《《唯一外様》》だった。


魔将軍ザンと、アスタロットは古来より

魔王スマターに仕えていた。


アスタロット等は愛人みたいなもんだ。

お気に入りだから消される筈も無い。


くそっ。聖騎士ハデルへ裏から

大魔司教ガリウスをぶつける策略を

狙ったのもダロムだ。


ダロムは邪神側とも繋がっていた。

言わば二重スパイだ。


魔王の動向も伝えており、

邪神の動向や意向も魔王へ伝える。


そして大魔司教ガリウスが倒れた際は、

ハデルを強襲するようアスタロットに伝えたのも実はダロムだった。


※外伝シマジ編参照


しかし、ことある毎に裏目に出る。


邪神の一身である大魔司教ガリウスは倒され、あまつさえアスタロットは

聖騎士ハデルの強襲、拉致に成功した物の

最終的にハサン側の勝利で終わっている。


あまつさえアスタロットの腹心

剛鬼ベーゼンまで失った。


挙げ句、山の主ウルフィーの王『ガンウルフ』に手練のダークエルフの術者を2名付けて心を支配し夜襲をかけた。


あのウルフィーの王まで倒されるとは。


このダロム一生の不覚。

ダロムは悔やむ。


一手間違えば俺は消される。


スマターの恐ろしさは知っている。

ダークエルフ出身の俺は魔王スマターに

一番関係性が薄い。


言わば新参。成り上がり。


まずい。


ここで倒さなくてはならない。

ここで倒さねばスマターから消される。


ハサンはこの首都エギョマの、かつての王城であったこの城に必ず立ち寄る。


ここには邪神の秘密がある。


配下のアヤカシを手負いのハサン達に送ったが恐らく、あいつらでは無理だ。


残念だが、この城まで追い込むしかない。


私が直々に引導を送るしかない。

たが勝てるのか?


物憂いに耽るダロム……。


「パサージュはいるか。」

ダロムは窓を眺めながらパサージュを呼ぶ。


瞬時に影のように現れるパサージュ。

「ここに。」


「ここが決戦の場。

聖騎士共を根絶やしにしてくれん。

我が一族の悲願也。


二人目の聖騎士を足止めせよ。

何としてでも合流させてはならぬ。」


「御意」

パサージュは霞のように消えていく。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


腕がもがれたハサンに対して、

セシアは『トホカミエミタメ』を唱える。


すると、ハサンの失った右腕が、みるみる再生を始める。


魔王スマターを邪神を倒さねば、この呪いは解けない。


召喚士が死なない限り、肉体は再生されるが死ねないのだ。


ウルフィーこと『ガンウルフ』はセシアの求めに応じ召喚獣として契約する。


「ミトメヨウ、ナンナリトモウシツケルガヨイ。」

素直にセシアの申し出に従うガンウルフ。


体力を回復させたら、

目指すは崖上にそびえる古城。


あそこに何か邪神の手がかりがあるかもしれない。


そうだ。どちらにせよ、ハデル達と合流する予定だ。サマンサに聞いて邪神を倒す手がかりを見つけなければ。


ガンウルフを放つくらいの何かがあるに違いない。ハサンは思う。


かつて首都エギョマの宝石とまで言われた絢爛豪華なエギョマの城は魔将軍ダロムの居城となり姿は禍々しい様相へと変わっていた。


この時点でハサンは、廃墟であるエギョマの城が魔将軍ダロムの居城となっていることを知らない。


ハデルは今どこにいるのやら。

月明かりを見てハサンは思う。


セシアのヒーリングが心地よい。

もう少しで体力は回復するだろう。


でも、もう少しこのままでいいや

なんて思うハサンだった。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


一方、ハデルも順調に首都エギョマ跡地をハサンと別ルートで進んでいた。


峡谷を迂回するルートである。


何故峡谷を迂回していたのか?

サマンサが、腹心ドーマの親戚にあたる村がエギョマに近い場所にあったのだという。


ところが、エギョマ襲撃後にアヤカシが大量に発生し、村や里を襲うようになった。


そこで、近隣の村や里人は移転を余儀なくされ、中には村や里を、離れる人も増えたのだという。


ドーマの親戚は、今エギョマから少し離れた北方の里に移住してるのだとか。


名をエレンと呼んだ。ドーマの従兄弟のようだ。


エレンに会うために、サマンサ及びハデル一行は別ルートを取った。


ハデルは言う。

「何故エレンに会う必要があるのか?」


サマンサは答える。

「かつてエレンは私の母に仕えていたのよ。彼女なら何か知っている筈」


ハデルは一路、エレンが住む里に向かう。


次回へ続く

魔将軍ダロム。魔将軍三騎将も一枚岩じゃない。

そこら辺をだしたかったですね。

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