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第45話 全肯定の極意

女魔将軍アスタロットの謀略を退けたハサン一行。


その疲れを一時忘れるかのように、

温泉で戦いの傷を癒す。


ここはハナカサ村。

古くから、温泉街で有名な村で、

アメリカ人の異界人が、

開いている温泉宿が有名だ。


アメリカ人なのに、やたら日本贔屓のようで、

異世界らしからぬ日本情緒が楽しめちゃう宿。


聖騎士一行というだけで、

無料で泊めてもらえるのだ。


何と言ってもセンダー国王が

邪神に操られていた事実と、

真の邪神は国家の宰相だった事、

そして聖騎士ハサンが

神の力を発揮して邪神を滅した事。


新宰相に、かつてのミャーギ地方

領主ウェーダーが迎えられ

兄弟は和解したのが大きい。


当初は邪神に支配されていた王族を廃せ!

と言う声もあったようだが不思議と人望のあった

ウェーダーが民衆を諌めたようだ。


きっと仲良く兄弟手を取り合い良いまつりごとを行ってくれると思う。


さて、話を今に戻そう。


先の魔将軍アスタロットとの戦いは、

ハサン達は極めて軽症で済んだが、

ハデル一行は、しばらく

滞在が必要なほど重傷であった。


一人になり、ハサンは思う。


異世界人の私に、

このマーラは守る価値があるのか?


私は何のために闘っているのか?


元の世界には戻れないと聞く。

元の世界に戻れる方法はあるのか?


同じ聖騎士ハデルは、

元の世界に戻れると信じている。


シオリ(魔獣ヒババンゴ)は、

アヤカシとして生きるのを

受け入れているようだ。

 

その息子のジンタンは、複雑だよな。

こないだ親子でご飯を二人きりで食べていたよ。


やっぱいいよな、家族は。


息子と娘に会えないのかな。

ハサンとして生きることを決めた凝流だったが、

ふと内観する時に残してきた家族を

思い出し涙するのだった。


子どもたちに会いたい。

しかし、敢えてまた気を持ち直す。


鏑木凝流としての人生は終えたのだ。

私はハサンとして、この世界に生きている。


この役割=聖騎士としての使命に殉じようと。


こうして異世界に転移してきたのにも、全て必然。

今の現状を受け入れて最善を尽くすこと。


それには、今自分が何をしなくてはならないのか?


魔王スマターや、邪神を倒すのも必然ならば、私はそれを受け入れよう。


ハサンは全肯定の極意を無意識に使い思う。


人間、鏑木凝流としての役割は終えたのだ。今の役割は聖騎士ハサンであること。


そう考えると、つくづく『わたし』は無いんだなと感じる。


目を閉じる事で真我は現れる。

かつてインドの聖人『ラマナ・マハルシ』は述べた。


そして、この全肯定の極意こそ

ハサンが最初から持っていたスキルでもあったのだ。


これは人間時代にバイブルとして何度も見返した『夜と霧』の作者ヴィクトール・フランクルの格言でもある。


先の大戦で、悪名高いアウシュビッツ収容所等を転所しながら5年以上生き延びた。


彼はこの時に全肯定の極意=『どんな時でも、YESと言おう』、

そして私はいないを経験した。


この世界はわたし。

あの雲を見ている時、わたしは雲である。


この心境があればこそ、

聖騎士ハサンでいることも受け入れる。


しかし、ハデルは違う。

人の人生に執着している。


まだ人の世界に、戻れると信じている。


もし、その希望が潰えたとき、

彼はまだ聖騎士でいられるのだろうか?


ハデルを、見ているとき私はハデルになる。

しかし、ハデルの真意は分からない。


竹筒にお酒が入っている。

ハサンはお酒をチビリチビリと

やりながら考える。


和風の露天風呂である。

日本庭園のような様相。


空から雪が降ってきた。

しんしんと静かな夜が耽る。


すると、突然

『ハサーン背中流そうか?!』

隣の女湯からセシアが誂う。


おっ!まじ?!

と思ったけど、


「こらこら。おじさんを誂うんじゃないよ」と冷静なフリを装う。


あれ?おじさんと言ったけど

人間の頃は痛風持ちで、すぐ体を動かすと息切れしてたのに、

マーラではそれが無いな。


そうか。ここは魂の世界。

認識しなければ無いんだ。


だから、意識してなかったから

痛風も息切れも無い。


そ、そうか。

思えば具現化出来るんだよな。


って事は?

ハサンは目を閉じて心から思う。


『飛べる!俺は飛べる!』


ハサンから湯けむりと共に

お湯自体も水流が溢れ出す。


ザッバーーーン。


ハサンから重力の地場が発生し、

ハサンの周囲から空気圧が発生する。


そして、勢いよくハサンの身体は

天に上昇した。


「やったぁ〜!!」

ハサンは空を『浮く』ことが出来た。


10メートルばかり、空に浮かんでいると

女湯から、黄色い声が飛ぶ!


「こらー!ハサン!覗くな!」

セシアの声だ。


眼下に目をやると、セシアとメリーとメイが手で胸を隠してこっちを睨んでる。


「あ!ごめんよ、ごめんよ〜」

ピン小太刀しながら下降していくハサンであった。




今回全肯定の極意からの

魂の世界であり、心を解放すれば

無限の力が発揮する=空を飛ぶ

で現しました。


どうすかね。

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