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第3話 ハサンの条件

どうやら、英雄ハサンは何度か召喚されているらしい。って事は私は何代か目の『ハサン』という事になる。


セシアはこう続けた。

「ハサンとして召喚されるのには条件があるんです。」


ハサンとして召喚されるには、

●自己破産している

●歯が出ている

●アレルギー性鼻炎だ


という特徴を兼ね備えていなければならないのだという。


ちょ、ちょっと待ってよ。

歯が出ているのと、アレルギー性鼻炎は当てはまっているけど、自己破産はしてないぞ!


借金を作ったが払っていないだけ。

自己破産はしていない。


私はセシアにこの事を告げた。

すると彼女は取り乱し、

「失敗だ!私は何て事をしたのだ!」と錯乱したかのように泣き叫んだ。


どうやら、条件に合わない魂を召喚した場合、神の摂理に背くとの事で、召喚者に大きな罰が当たると言われている為、ここまで取り乱しているとのこと。


この事は冷静を取り戻したセシアに後日談として、聞かされるのだが、その時の私は知る由もなかったのである。


ただ、ただ、セシアの激情を収まるのが過ぎるのを待つことしか出来なかった。




その時! 雷雲が轟き、黒雲が立ち込め、

その瞬間!


稲妻なのか、光なのか、青い光がセシアの全身を貫いた。


うぉ!


一方、ミャーギ地方の領主であり、王都センダーの王カンデンブルグ8世は、オーサキ村の召喚について動きを掴みつつあった。


直ぐ様、影(※忍びのような役割)を呼び出し、聖騎士と召喚者を見張るように命ずる。


カンデンブルグは呟く。


「己、聖騎士の好きなようにはさせぬ」


その額には脂汗がじんわりと滲んでいた。


影は走る。オーサキ村まで100キロの道のりを。転移魔法を使えば、一瞬で移動できるが、転移魔法では魔法力の動きを悟られる可能性がある。


影である彼女は、メガネロボットガールのように、

「キーーン」と叫んだ。


すると、超音速で砂埃を巻き上げながら、超スピードが出るのであった。


これだけ砂埃を巻き上げれば、

誰が誰やら気付かれない。


忍びである彼女の18番、キーンの術。

あと30分もあれば着いてしまうだろう。


しかし、またあの戦乱の世が来るのか。

耐え難きを耐えてきたあの時代に逆戻りか。


影=シローヌは肩を落としながら、

腕を上げて走るのだった。

聖騎士を見張る、場合によっては消すことも視野に入れながら。



どれくらい時が過ぎたろう。


セシアは青い光に打たれて気を失っていた。


アタイは誰?

ここはどこ?


心配そうに見つめるハサン。


「聖騎士殿! これは!」

爽やかな風がセシアの頬を撫でる。


今は農作物の収穫の時期、パンレン(梨のような)の薫りが微かに鼻孔をくすぐる。


な、ない!

アタイの鼻が!


そう。セシアの立派な長鼻は人の物と遜色ないくらいに縮んでいた。


セシアは理解した。

神の摂理に反したのだと。


聖騎士召喚の3つの条件は

①アレルギー性鼻炎がある

②歯が出ている

③破産者である


というのが条件だ。

アレルギーがあるというのは精霊たるスピリットによく反応していること。


歯が出ているのは、口呼吸でありガイア(大地)の息吹をダイレクトに受けていること。


自己破産するほどに、欲求が強く理性を捨てれること。


この三要素が必須であり、術者である召喚者は聖騎士を意のままに操り服從させるのが可能だった。


しかし、凝流は自己破産はしていなかった。


その為術の反作用にて術者が一番恐れている事実を体現してしまった。


これを神の摂理に反したと彼女は言うのである。


セシアは泣いた。

声を上げて泣いた。


いつも、こうだ。

大事ときこそシクッちまう。


アタイっていつもダメダメだー。


物語は思わぬ方向へ傾く。



【登場人物】

■鏑木 凝流=ハサン

主人公


■セシア

ハナナガ族の娘


■カンデンブルグ8世

王様。


■シローネ

王様の影


【世界】

■マーラ

四次元の世界


■ミャーギ地方

長閑な田舎


■オーサキ村

ミャーギ地方の村

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