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第24話 ジンタンの過去

実はジンタンの父タンレンは、

従者として、剣士として

先代のハサンに仕えていた。


今から35年前の話。


先代のハサンは、なんと女性だった。


タンレンはずっと、先代ハサンの事を想っていた。


魔王スマターを倒そうとしたが、

魔王スマターの居城が当時掴めなかった。

長年旅を続けた結果、

魔王城が今とは違い、

霊峰コダイ山頂にあった事をやっと発見したのである。


しかし、最終的に魔王城上陸手前で断念。


何故なら召喚者である

賢者パティーンの弟子である

ルビクが長年の旅路の疲れに加えて、

老齢と病気による戦線離脱となった為だ。


タンレンと元ハサン=シオリ=冠城栞かぶらぎしおりは、

マヨールの森近くの人里離れた場所で、

二人で住むことにした。


当初は、なかなか子宝に恵まれず

諦めかけていた数年後に

シオリに待望の子宝が誕生する。


当初は町中に移住して、過ごしていたが、

街の雰囲気は二人には合わなかった。


又、マヨールの森奥に

三人で生活を始めた。


木造のペントハウスを造り

気ままに暮らす毎日。


ジンタンはすくすくと育ち、

やがて歩き回るようになる頃、

忽然とシオリは姿を消した。


タンレンはくまなく周囲を探したが、

シオリは見つからなかった。


それからタンレンはギルドマスターをしながら、

ジンタンを、育てる。


自身のタンレン流剣殺法をジンタンに伝受しながら。


ジンタンは天才だった。

メキメキと腕を上げ、11歳の頃には

タンレンを模擬戦で負かした。


15歳を迎え冒険者としてもデビューさせた。


剣を構えると人が変わる。

『マヨールの剣鬼』と最年少にして

二つ名が付いたのである。


さて、いよいよヒババンゴの洞窟にたどり着いた。


直ぐに理解出来た。


何故なら入り口に

頭蓋骨が3つ槍が口を通して

綺麗に均等に並んでいたからである。


これは迂闊に入るのは躊躇われる。

セシアの手汗が半端ない。


ライテンの魔法で洞窟を照らす。


奥を進むと、「あ!」と驚いた。


奥は拓けていて、そこには

ベッドやランプ、テーブルなど、

人が住んでいるかのような状態で残されていた。


かつて使われていたという物ではなく、

今尚利用されているように手入れされているのだ。


先程の頭蓋骨の並べ方といい、

このテーブルやベッドの配置、

間違いなく知性を感じるのだ。


ヒババンゴに、これほどの芸当が出来るか?

疑念が湧くセシア。


どちらにせよ留守のようだ。


洞窟の岩陰に潜み明かりを消して、動向を探る。

奴が帰ってきたら不意打ちするか。


寝込みを襲うか。


何時間経過したろう。

緊張と静寂でうつらうつらしていた時、

入り口から話し声が聞こえた。


「母さん、今日は大量だったね」

「あーマシカや、ドテチン。

樹の実も沢山取れたよ」


……人の声!


「ん?人間の臭いがするね」

歳上の女の声が、我々の臭いに勘付いたようだ。


「そこにいるね。出てきな。

分かってるんだよ」

年の頃は50歳前後だろうか。


人だ。囚われた人だろうか?

兎にも角にも助けよう。


「私はセシア。聖騎士の従者です。

あなた方を助けに来ました。」

セシアは颯爽と女の前に現れる。


女は、子連れだった。

15歳頃の女の子を連れていた。


「聖騎士?そうか。三鈷剣を奪いに来たんだね。

それなら力づくで取ってみなよ!」


そう言うや否や、

母親の方は見る見るうちに変化していく。


服は破れ、筋肉は盛り上がり、

体表からは長い毛が、生え始める。


ヒ、ヒババンゴ!!


ヒババンゴは女だったのである。

間違いなく女が変化し、乳房もある。


どういう事だ?

性獣の噂は嘘か?

何故三鈷剣を知ってるの?


たじろぐセシアを余所に、

ジンタンは颯爽と前に出て、剣を引き抜く。


『タンレン流剣殺法 千手!』

凄まじい剣撃がヒババンゴを襲う。


その切っ先が、ヒババンゴに

触れるか触れないかの瞬間、

ヒババンゴが口を開いた。


「おまえ、ジンタンかい?」



……!?


驚く二人。


ヒババンゴは元の人間体に戻っていった。

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