22話 魔獣ヒババンゴ
マヨールの街、冒険者ギルド。
ここはミャーギ地方の歴戦の猛者が集まる洗練されたギルドで名高い。
ギルドマスターのタンレンは言う。
「何の用だ?」
歳の功は50代前半といったところか?
昔は冒険者で名を轟かせたと言われる鋭い眼光。
「魔獣ヒババンゴを征伐する。
冒険者を募りたい」
セシアはタンレンに掴みかかるように申し出る。
タンレンの目の奥で眼光がキラリと光る。
しかしタンレンの様相とは反面、
ヒババンゴの名を聞いた途端、
周囲の冒険者の会話がピタッと止む。
魔獣ヒババンゴと云えば、
悪名高く、村や里から女だけを攫い、
『手籠』にされた挙げ句
喰われるという噂で持ちきりだった。
魔獣ヒババンゴの性欲は、途方も無く朝も昼も夜も性交に明け暮れて、
何度射精しても数秒後にまた復活、
失神したら最期。
失神した後は、腸を出されて喰われるというので、
女冒険者は当然だが、
男も怖がって誰も討伐に行かない。
何故かと言うと、男は肛門に挿入する、
それだけではなく、棒で肛門から串刺にする
という噂も出たからだ。
聖獣ならぬ性獣ヒババンゴ。
当然ながら、誰も手を挙げる者はいない。
そりゃそうだ。
「くっ。こうなったら私一人で行くしかない。
根性無しが!」
ギルドを出た矢先、タンレンが声をかけた。
「姉ちゃん、あんた根性あるな。
魔獣ヒババンゴに立ち向かうとはね。
俺は行けねえが、息子を共に付けよう」
タンレンの後ろから華奢な男が、
オドオドしながら前へ出る。
「初めまして。私はジンタン。
これでも、剣士です。
聖騎士様の従者セシア様に
同行できるなんて光栄です。
宜しくお願い致します!」
おいおい、こんな細い体で
どこまでやれんの?
セシアは尋ねる。
「大丈夫なのか?タンレン。
なんか頼りないぞ」
タンレンは言った。
「俺の剣捌きは全て伝受してるよ。
こいつは天才だ。大丈夫。」
ほんとかよー。
最悪、こいつの肛門に棒を刺されてる間に三鈷剣を持ってずらかろうなんて
とってもコスい事を考えるセシア。
「それでは、明日討伐に向かう。
今日は宿に早く帰って寝るぞ。
そして朝作戦会議だ」
いよいよハサン復活は近い。
そして、その高い壁に
魔獣ヒババンゴとの対決があった。
次回へ続く
やばいすね。魔獣ヒババンゴ。
こんな猿いたらどうだろう。
【登場人物】
《聖騎士》
■鏑木 凝流=ハサン
主人公
■セシア
ハナナガ族の娘
■冠城 武徳=ハデル
第二の聖騎士
■メリー
首長族の娘
《センダー国》
■カンデンブルグ8世
王都センダーの王様。
■マーデリン
センダー国宰相
■シローネ
王様の影
《カントン国》
シンセイ地方
カセイ地方
からなる国
■シンセイ地方
カントン国の一地方
《魔王軍》
■スマター
魔物であるアヤカシの王。
■魔将軍ザン
強者
【世界】
■マーラ
四次元の世界
■ミャーギ地方
長閑な田舎
■オーサキ村
ミャーギ地方の村
《アヤカシ》
魔物
■ベロンヌ
スライムのようなアヤカシ
■バットン
コウモリのようなアヤカシ
■ドテチン
イノシシのようなアヤカシ
仲間になる。
《ミャーギ地方》
■マヨールの街
ミャーギ地方の街
■ウェーダー
ミャーギ地方領主