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○は自身に憑依している者の記憶を見るのが楽しかったが、今はこわい

思い付いた分だけなので、短めです。

何度目かのやり直しまで○は憑依されるとすぐ、憑依してきた者の記憶を漁っていた。


転生、転移してきた者の過去を覗くのが、意識の底に沈められた○にとっての唯一の娯楽だったから。


二人目の憑依者は、あちらの世界のオトメゲーというものが大好きなジョシコーセー属性の者だった。


○が知らないキラキラした絵が動いて話し、少々賑々しい音楽が聞こえるオトメゲーを操り遊ぶジョシコーセーの記憶が、何やら楽しそうで記憶を漁るのが楽しかった。○の世界にはない動いて話す絵物語アニメというものを知ったのもこの時だった。


それ以降のやり直しで、○は自分の身体のゆく末よりも憑依している者の記憶を漁り、意識の底で見知らぬ異世界のオトメゲーやアニメを追体験する事に没頭した。


異世界転生を受け入れる憑依者ばかりではなかった。

見知らぬ場所と状況に戸惑い、一時的に自暴自棄になり、それでも諦めののち状況を受け入れて、それぞれの選んだ生き方で生を全うしていった。そういう者たちの様子も○は眺めていたけど、異世界の記憶の中では皆それぞれに幸せそうだった。


あの憑依者が現れるまでは。


○の身体に憑依した事を、再び生を受けたと喜び新たな人生を歩もうとする者ばかりではなかったのだ。


その者の記憶にあるかぎり、全てが敵で、全てを憎んでいた。自らの生さえも軽蔑し、ようやく死を得た事に安堵していた。


やっと楽になれると思ったのに、何故こんな風に異世界の人間として転生させられたのか。


その者は憑依した瞬間から全てを恨み、死を望み、何度と無く○の身体を傷つけ、○の大切な人達を巻き込んで暴れまわり、多くの者の不幸を願いながら呪いながら死んでいった。


そんな憑依者も居たのだ。


その覗き見た記憶、その者が考えること、全てが○の意識を襲い、逃れられない孤独と不安と苛立ちを植え付けた。○は意識の底で悪夢に苛まれた。外に意識を向けられるようになるまで、その後数回のやり直しを経なくてはならなかった。その数回の記憶は○の中にはない。


それから○は、新たな憑依者が考えている事を知り、親しみを持ってから記憶を覗く事にしている。


――――――――――――――――


『この子が何を疑問に思っているのかわからない。記憶を漁ってみるべきかしらね。だけど。また強い恨みを持つ者なら、記憶を読むのは』


○はそうして一刻ずっと記憶を漁るのを躊躇していた。

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