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魔力ゼロの探索者~魔力ゼロは無才ではなく異才だった~  作者: 北杜
二章 トラブルに巻き込まれる異才の持ち主
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会議

 日野は後輩の東と面会の許可が下りたので、優を連れて山田達と別れた。

 山田は関係者を呼んで仁一朗と一緒に、これからの事を説明する為に会議室に向かった。

 会議室には今回の担当である海渡、他にも数名が会議室に入って来た。


「久しぶりだね、山田君」

「お久しぶりです。二宮さん」


 ダンジョン管理省 探索者管理課に所属している二宮は山田と握手する。そして海渡と一緒に初対面である伝風寺仁一朗と自己紹介をして挨拶をした。


「まったく、市太郎はいろいろと厄介事を持ち込んでくる」

「申し訳ありません、父さん。いえ山田事務次官補」


 山田豊市ヤマダホウイチ。山田市太郎の父親でダンジョン管理省の事務次官補。


「今回の事件が表に出れば、かなりの者達がクビになる。しかし副大臣は辞任とはならないだろう」


 ダンジョン管理省の副大臣は魔力至上主義者である。山田事務次官補の敵対している政敵である。


「大丈夫です。その為に伝風寺仁一朗さんに協力を頼んだのですから」

「管理省が偶然見つけた違法ダンジョンでギルド蛇使いの笛を捜査して、支持している財閥がスキャンダルを受け、ボロボロになった財閥を伝風寺財閥が買収する。そして副大臣を支持している財閥の隠している犯罪が表に出て副大臣は辞任するというシナリオだと私は聞いている」


 仁一朗の説明を聞いて渋い表情をしているダンジョン管理省の人員達。


「探索者管理課から少し説明がある。麻薬中毒者の藤田源太ですが、ギルド蛇使いの笛の探索者で、ダンジョン管理省に秘密裏に協力をしているスパイです」


 ダンジョン管理省、探索者管理課は藤田源太を、約一年近く前から秘密裏に協力者として、蛇使いの笛の調査を頼んでいた。

 そして麻薬中毒者となってダンジョン管理省に運ばれたと、海渡から聞いた二宮達は驚愕した。


「藤田源太からの情報で麻薬の原材料の鉱石の事は聞いていました。しかし違法ダンジョンの場所は捜査中との事です」


 二宮からの報告では一ヵ月前に情報を受け取って、それ以降は連絡が繋がらなかった。そして麻薬中毒者となって管理省に来た事でスパイがバレたと判断した。


「協力者という事がバレて、藤田源太は麻薬中毒者にされたのか?」

「分かりません。まだ藤田源太は意識を取り戻していないので確認する事が出来ません」


 藤田源太の意識は回復していない。医者の見立てではもう少し時間がかかるとの事だ。

 そして二宮が「ギルド蛇使いの笛は慌ただしく動いているという報告を受けています」と伝える。証拠を隠蔽もしくは抹消している最中だと皆が判断した。


「市太郎、考えを聞こうか?」

 市太郎の父親である事務次官補が問う。


「違法ダンジョン報告義務違反で検挙します。そしてギルド内を捜査して財閥との関係をスキャンダルすれば良いでしょう」


 市太郎の説明を聞いた二宮は違法ダンジョンの場所が未確定だと説明する前に、


「違法ダンジョンの場所はこの辺ですから至急確保してください。そしてギルドの捜査の準備もお願いします」

「分かった。海渡、大至急違法ダンジョンを確保しろ。二宮はギルド捜査の準備だ。急げ!」


 山田事務次官補が命令を下す。二宮と海渡は会議室を出た。

 伝風寺仁一朗は山田市太郎から「これをどうぞ」と言って手紙を渡す。

 手紙を読み終えた仁一朗の額には冷や汗が流れる。


「これを使って財閥を掌握してください」

「……どうやって調べたのかは聞かんが、利用させてもらおう。こっちも買収の準備をはじめるぞ」


 と言って仁一朗も会議室を出た。

 会議室には山田親子が残る。


「父さん、協力してくれてありがとう」

「別に良い。市太郎のお陰で管理省も風通しが良くなっている」


 市太郎が協力してくれたお陰で事務次官補となった山田豊市。息子の功績で事務次官補まで上り詰めたと影口を叩かれた事もあるが、当の本人は気にしていない。


「市太郎。お前が描く未来に届きそうか?」

「届かせますよ、絶対に。皆が幸せな未来に」


 最後に親子らしい会話を交わして会議室を出て仕事に戻った。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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