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魔力ゼロの探索者~魔力ゼロは無才ではなく異才だった~  作者: 北杜
二章 トラブルに巻き込まれる異才の持ち主
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婚約者の兄

 魔力至上主義の話題がひと段落ついたとき、山田市太郎は優に今回の治療の感想を聞いた。


「優君、特殊医療に携わった感想はどうだい?」

「……良く分からなかったよ。手首を握っているだけだから」

「今回は簡単な部類だったからね。難易度の高い場合は手術室に入る事になる。覚悟しておいてくれ」


 山田の説明に『覚悟ってなに?』と思う優。日野を見るとため息をついている。そして、


「優、覚悟って意味は外科手術の事だ。メスで体を切って、吹き出る血を見て驚かないようにという意味だ。……新家みたいに血を見て気絶するなよ。」

「……努力します」


 特殊探索科は特殊ダンジョン探索だけではないと今更おもい知った優だった。

 診察室を出た優と日野と山田。そして日野は山田に昨日の事を聞く。


「それでよ、山田。進展あったのか?」


 日野が山田に麻薬等の事を聞く。


「進展中だよ。ギルド蛇使いの笛は魔力至上主義者のギルドでね。もう少し準備が必要かな?」


 先ほど説明を受けた魔力至上主義がかかわっている事に驚く優と日野。


「資産家の魔力至上主義者でその下にギルド蛇使いの笛がいる。したがって蛇使いの笛も魔力至上主義者の集まりだ。海渡さんと一緒にいろいろと準備中だよ」


 優は山田が『蛇使いの笛が厄介なギルト』と言った言葉を思い出した。特殊とは魔力至上主義だと知った。

 日野は後輩を捜した結果、麻薬や違法ダンジョン等に繋がり、山田や他の皆に迷惑をかけた事で山田に謝罪する。


「……後輩が変な事に巻き込まれてすまなかったな。オレが変な事に首を突っ込んだせいで、面倒な事になってしまった。山田よ、すまねえ」

「遅かれ早かれ、面倒事になっているよ。日野君が気にする必要はない。むしろ早く見つかったので被害が少ないと言って良い。鉱石が精製されて麻薬が日本中に広がったらどうなっていただろうか……」

「日本中が麻薬中毒者でいっぱいだな。そして治療に入道先生が過労死寸前まで働いて、夫が仕事で帰宅できない真子さんの機嫌が悪くなって、エマも機嫌が悪くなって……。ヤバいな。エマの機嫌が悪くなったら小遣いが減る可能性がある」


 日野の無駄な妄想力で自身の小遣い減少に頭を悩ませている。

 優は日野の妄想に乾いた笑いで呆れ、山田は、


「麻薬中毒者の治療で入道先生の補佐に入り私達も手伝う事になるだろう。そうなると日野君が過労死するな。……過労死しないように頑張ってくれ」


 と山田は日野の肩を叩いて励ます。その後、


「どうしてオレだけ過労死だよ! 山田!」

「日野君が一番年長者だからね。一番負担がかかるのは自明の理だよ」

「山田が過労死しろ! 教師役だろう!」

「役職よりも年齢だよ。成人に一番近い日野君が負担を負うのは当然だよ」


 口喧嘩が勃発した。感情的に怒る日野に対して、冷静に対応する山田。それを見てオロオロする優。

 どうでも良い事で口論する学生達。しかしこの場所は大人の働くダンジョン管理省内だ。なので馬鹿馬鹿しい口論を止める者は大人しかいない。


「なに馬鹿な事で口論している! ここが何処だと思っているんだ!」


 口論中に口を出す若い男性。日野と優は初めて見る人だった。容姿端麗でスーツを着こなしている社会人が山田を諫める。


「申し訳ありません、少し熱くなりました」

 表情的に冷静に口論していた山田が謝罪する。


「まったく、こっちは仕事で忙しいのに、面倒なこと頼んで。この貸しは高いぞ!」

「ありがとうございます。仁一朗さん」

「ふん、父上と綾乃に頼まれて仕方なく、だ!」

「それで首尾は?」

「……お前の情報のお陰で早く済みそうだ。まったく、どこから仕入れた情報だ?」

「それは企業秘密です」


 二人の会話に口を出せずにいる優。しかし日野は口を出す。


「おい、山田。そっちのにーちゃんは何モンだよ?」

「彼は伝風寺仁一朗さん。今回の件で来てもらったのだ。仁一朗さん、彼等が特殊探索科クラスの子です。日野ひまわり君、現道優君です」

「そうか、私は伝風寺仁一朗だ。よろしく頼む」


 山田は日野と優に自己紹介して、伝風寺仁一朗は二人に握手を求める。日野は自己紹介に名前を伝えた事で不機嫌になり無言で握手をして、優は伝風寺という苗字を聞いて「綾乃さんの親族の方ですか?」と握手をしながら聞く。


「私は綾乃の兄だ。君は妹の事を知っているのかい?」

「はい、先日、クラスの親睦会で会いました」


 綾乃から山田市太郎の婚約者と聞いてクラス全員が驚愕した事を思い出す優。


「……市太郎、綾乃が親睦会に参加した何て私は知らないぞ? どういうことだ?」

「ご家族全員にメールで連絡しました。確認してください」


 綾乃の婚約に反対している唯一の親族、伝風寺仁一朗。山田市太郎が綾乃を病気から救ってくれた事には本当に感謝している。ビジネスパートナーとしても信頼できると思っている。しかし綾乃との婚約には反対している。

 手術不可能でいつ死んでもおかしくないと言われた綾乃に、仁一朗は世界中を回って治療法を捜していた。

 そしてアンチマジック能力を使った治療法で綾乃を治した山田市太郎。そして補佐の入道護道。

 彼等のお陰で綾乃は全治した。そして綾乃は救ってくれた山田に「結婚してください」と告白した。

 ……家族全員が居た時の告白だった。内気な綾乃が公開告白をした事で全員が驚いた。

 告白を受けた山田は、


「……ナイチンゲール症候群という現象ですね。大丈夫です、少し休めは良くなります」


 ナイチンゲール症候群……治療した人間に好意を抱く現象。

 綾乃の告白を軽くスルーして、家族に手術後の経過について説明を始める。

 当時中学生の山田の対応に、仁一朗は怒りを覚え、家族で唯一二人の婚約反対の立場にいる。

 それに婚約反対の立場に居る方が、山田市太郎に敵対する親族知人が寄り付くので、仁一朗は市太郎と綾乃に寄せ付けない様に地方に飛ばしたり適切に対処している。



誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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