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魔力ゼロの探索者~魔力ゼロは無才ではなく異才だった~  作者: 北杜
二章 トラブルに巻き込まれる異才の持ち主
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特殊医療①

 日野は優に簡単に説明した。

 親族をたらい回しになった後、曾祖父母の家に住み、高校一年の時に喧嘩した相手が金持ちで、金と権力に負けそうになったが、運良く警察官が突入してきて、どさくさに紛れて逃げた。喧嘩のせいで高校を退学になったが、魔力量がゼロだったから探索者高等学校の特殊探索科に入学したと軽く説明した。


「そうなんですか……。喧嘩しただけで高校退学って厳しい高校だったんですね」

「そうだなー」

「でも市太郎君の恩って……」

「探索者高等学校に勧めてくれた恩だな」

「そうなんですね」


 日野は『山田に感謝を伝えていないのに、現道に説明する訳ないだろう!』と心の中で言う。


「しかし暇だな。そろそろ山田から連絡が来てもおかしくないのにな……」


 日野が独り言のように呟いているとドアが開いた。部屋に入って来たのは入道護道だった。


「おや、二人ともこの部屋にいたのか」

「入道先生、どうして此処に?」

「山田君から患者の事を聞かされていてね。山田君から鉱石が使われている麻薬に、アンチマジック能力が効くのか試してほしいと言われてね。福田女医と一緒に患者の治療の為に管理省に来ていたんだよ」


 優の疑問に答える入道。そして、


「少しだけ仮眠を取ろうと思ってね。治療で昨日から寝ていなんだよ。やっと休めると思ったら、山田君から患者を診て欲しいと連絡があったからね」


 徹夜明けで怠そうな入道を見て優と日野は、


「藤田さんは治ったのですか?」

「おっさんの弟は大丈夫なのか?」


 入道に質問する優と日野。入道は二人に優しく言う。


「麻薬の依存性で長期的な治療が必要になるが大丈夫だ。鉱石に含まれる魔力を全部ではないが取り除く事が出来た。あと少しで福田女医にまかせても問題無いはずだ」


 入道の言葉に日野が「さすがはプロの医者! 特殊医療のプロ!」と褒めている。

 優はアンチマジック能力で魔力を消す事が出来て、人を救う事が出来た入道に感動した。


「……すまないがそろそろ限界だから眠らせてもらうよ。仮眠後に再度治療を始めるから」


 と言って入道は仮眠室に入って行った。患者の具合が良くなった事で日野の雰囲気が明るくなり、優も部屋の雰囲気が明るくなり、日野に「良かったですね」と言う。日野は明るい笑顔で「おっさんの弟が助かる可能性があって良かったな」と言った。

 仮眠室に入った入道がドアから顔を出して、


「休憩したら、患者治療の為に日野君も手伝ってくれ」


 と言い捨てて仮眠室のドアが閉まった。


「……面倒な仕事が増えたな」


 チィと舌打ちをした日野は「オレも少し寝る」と言って机で寝始めた。

 優は日野に質問をしたがったが、いきなり機嫌が悪くなった日野に何も言えずにいた。

 入道が仮眠室からで休みを取った一時間後、仮眠室から目覚まし時計のベルが聞こえた。

 その音で優は驚き、日野は起き上がった。


「現道、コーヒーを入れてくれ。人数分」


 日野の言葉に優は素直に従う。特殊対策班の部屋にはインスタントコーヒーが常備しており、優は三人分のコーヒーを作る。

 コーヒーがテーブルに並ぶ頃には、仮眠室から入道が眠たそうに出て来た。

 優が入道にコーヒーを渡すと「ありがとう」と言いながらコーヒーを飲む入道。日野はコーヒーに砂糖を入れて飲んでいる。

 皆がコーヒーを飲んでいるときに、優は一時間前の疑問を二人に聞く事にした。


「あの、日野さんに患者治療を頼んでいましたけど……」

「日野君は医療系が得意でね。山田君が言うには才能が有るとの事だ」


 優は『攻撃的な日野さんが医療?』と心の中で叫んだ。そんな事を


「偶に医療現場では私の補佐として特殊医療に従事しているよ」


 日野は「ケッ!」と他所を見ながら悪態を放つ。……優は日野が医療関係に優れているという事が信じられなかった。


「んだよ。オレが他人を治療するのがおかしいのか?」

「い、いえ、ちょっと、おかしくないというか、似合わないというか」


 日野に睨まれた優は言葉を濁しながら返事を返す事が出来なかった。


「さて、目も冴えてきた事だし、日野君も準備を頼んだ。現道君は見学するかい?」

「見学させてください」

「では一緒に行こう」


 三人は特殊探索班の部屋を出て治療室に向かう。その途中に優は入道に質問をした。


「そういえば特殊医療とはなんですか?」

「特殊医療とはアンチマジック能力を使った医療法だ。現在は私しか特殊医療が出来ない。特殊医療補佐に山田君と日野君。リナ君は……医療系が嫌いでね」


 入道は優に見学をさせた理由は、優が日野の様に特殊医療補佐を教える事だった。

 医療看護資格も無い学生の山田、日野はダンジョン管理省の計らいで特別に入道の補佐的立場、特殊医療補佐として治療に参加できる。

 アンチマジック能力者は現在五人。医療関係者の入道護道。特殊医療補佐の山田市太郎と日野ひまわり。戦力外の新家リナ。新入生の現道優。

 入道は優が医療系に優れているのなら、山田や日野の様に特殊医療補佐となる事が出来ると考えていた。そして将来は優や日野に医療系に進んでもらいたいとも考えている。

 現在は特殊医療を入道が一人でこなし、入道では難しい場合に特殊医療の知識を教えてもらった山田に手伝って貰っていた。

 入道は『魔力科の第一人者』と呼ばれているが、本当の第一人者は入道に全てを教え込んだ山田市太郎である。

 山田が入道に特殊医療法を教えていたのだ。現に入道では難しい手術も、特殊医療補佐の山田と一緒に治している。

 アンチマジック能力を使った医者は一人。患者に対して医者の数が足りない。

 普通の医者でも可能な治療法を確立しているが、どうしてもアンチマジック能力を使う患者はいる。それを入道一人で診ているので入道は忙しさで倒れそうになる時もある。

 だから入道は日野には医者になって欲しいと思っているが、能力的性格的無理だと判断している。

 そして新入生の現道優はどうだろうか? 入道は優に医者の道を進んで欲しいと願っている。

 出来れば山田にも医者になって欲しいと思っているが、山田は世界中のアンチマジック能力者を探して鍛えると言っているので、入道は山田が医者の道に進むのは無理だと思っている。

 だから数年は一人で苦労しながら特殊医療に従事するのだと入道は心の中でため息をついた。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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