日野ひまわりの過去②
いきなり訪問して日野を助けた山田。周囲を無視して自己紹介する。
「初めまして、日野ひまわり君。私はダンジョン管理省の者です。日野君にお話が合って来ましたが、よろしいかな?」
地面に押し付けていたボディーガードから解放された日野は混乱中だった。そして主犯の父親が、
「勝手に入って来た何様だ! 私の事を知らないのか!」
「知っていますよ。未成年を集団リンチした主犯の父親ですね。他にも警察に圧力を加えてお子さんの犯罪をいろいろと揉み消し、当の本人も脅迫・詐欺・脱税等の違法で罪を負った犯罪者です」
山田が親子に言った後で後ろに居た弁護士バッチを付けている理知的な男性が、
「日野ひまわり君の保護者に伝えた慰謝料は法に触れています。日野ひまわり君と友人に慰謝料の支払い義務を発生します。そしてこの場での会話も録音していますので罪は免れないでしょう」
その後、警察が突入し、親子は抵抗したが虚しく警察に逮捕され連行された。
あっという間の事態に呆然とする日野は弁護士に連れられて、曾祖父母の居る自宅に帰る。
家族が全員居るリビングで弁護士は犯人が捕まり慰謝料の請求も発生せず、逆に慰謝料を貰うという事を説明して、日野兄妹と曾祖父母達は呆然として聞いていた。
「日野ひまわり君の高校の件ですが、高校の退学が決まっており、撤回するのは難しいです」
日野は別に高校なんて行かなくても良いと考えていたが、
「日野ひまわり君に推薦したい高校があります。探索者高等学校です。こちらに進学してみませんか?」
パンフレットを渡して進める。
「ちょっと待ってくれ! オレは魔力量ゼロと言われているから無理だ!」
「探索者高等学校に今年新しい科が出来るのです。特殊探索科というクラスに入る条件は魔力量がゼロの人以外は入る事が出来ないクラスに推薦させて頂きます」
日野は探索者には興味が有った。しかし魔力量がゼロだったので諦めていた。それに探索者高等学校は学費が高いと聞く。金銭面の事を考え妹のエマの為にも進学を諦めて仕事をしようと思っていた。
「特殊探索科に入学した生徒は学費無料、寮で生活し、公務員待遇の給料が支払われます。ハッキリ言って高校中退の仕事よりも数倍稼げます」
騙しているのか? そんな好待遇が有る訳ないと日野は思った。
「東京の高校なので引っ越しされる場合も、寮はファミリータイプなので家族全員が住む事が出来ます。もちろん家賃等はありません、電気水道といった光熱費も無料です」
あまりの好待遇に混乱する日野一家。そして混乱後に日野は探索者高等学校に行ってみたいと思った。しかし今の生活に慣れている妹と離れる事になる。両親に妹を守ると誓っていた日野は決める事が出来なかった。
「……ひまわり、探索者高等学校に行きたいのだろう。ワシ等の事は気にするな。探索者になりたいのだろう」
「エマちゃんにお願いがあるわ。ひまわり君と一緒に東京に行って馬鹿をしないか見守って欲しいの。私達の代わりにひまわり君が変な事したら叱ってほしいからね」
曾祖父母が兄妹に言う。曽祖父は兄の将来の為に背を押す。曾祖母はいつも仲の良い兄妹が離れない様に道を示した。
エマは今の学校で苛めを受けていた。しかし休むと曾祖母に迷惑をかけるので頑張って学校に通った。虐められない学校に行けるのなら行きたいと思っていた。
無意識に兄の腕を掴んだ妹を見て覚悟を決めた。
「探索者高等学校に行く。入学させてください!」
頭を下げる日野ひまわりに山田は「ありがとうございます」と言って、今後の予定を説明する。
それからは早かった。三月になると東京に引っ越す事になり、引っ越し業者が荷物を運ぶ。兄妹の転校転入の手続きも全部弁護士が済ませた。
引っ越し日には曾祖父母と日野兄妹の友達が見送りに来た。エマの友人達は「イジメて御免」と謝罪し、ひまわりの友人達は盛大に別れの挨拶をした。
集団リンチされた友人とその恋人は「ありがとう」と言って深々と頭を下げた。
最後に曾祖父母に挨拶をする。エマは「夏や冬は絶対に帰省するから」と言って曾祖母に抱き着いて泣いていた。
ひまわりは曽祖父から言葉を貰った。
「ワシも探索者になりたいと思ってな。しかし歳だし魔力も少なかった。それを聞いたワシの孫も探索者になるって言ってな。ひまわりの母親も探索者を夢見ていが魔力量が少なかった。ひまわり、ワシ等の夢を継いでくれ」
「……分かったよ。次に帰省した時に土産話用意しておくから楽しみに待っていてくれ」
最後に曾祖父と握手して兄弟は別れの悲しみと、新しい場所に希望を抱き東京へ行く。
探索者高等学校の入学式で山田と対面した。日野は山田に助けてくれた礼を言おうとしたが、教師として紹介された日野は混乱し礼を言う機会を逃している。
そしてこの一年で山田市太郎の異常性を理解し「山田には絶対に喧嘩売らない」と誓っている。
誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。




