揉め事③
なんとか安全だと思われる場所に移動した優達三人は座り込んでいた。
「……助かったのか」
「多分な……」
口喧嘩しながら移動した日野と藤田は背中を合わせて座っている。優は壁に背を付けて「二人ともいつの間には仲良くなっているな」と呟いていた。
「日野と言ったな。情報が欲しい。どうなっているんだ?」
「こっちが知りたい。どうしてアンタが狙われているんだ?」
「知らん! こっちが聞きたい!」
優も状況を知りたかった。どうして狙われていたのか? どうしてそれに気づいたのか?
「……やっぱり鉱石の事で狙われたのでしょうか?」
優は日野に問う。昨日の事件から命の危険を感じる事が起きているのだから。
「報告をしてない違法ダンジョンの可能性もあるな。とりあえずダンジョン管理省に行くぞ。あそこなら狙われないからな」
日野は安全の為にダンジョン管理省に行く事を優に言った。
「オレも行こう。弟に会いたいからな」
「だったら別行動で行け! おっさんが狙われている可能性大なんだからな。巻き添えは御免だ!」
「お前等は関係者だろう。弟の為にオレを案内する義務があるのではないか?」
「義務なんてねーよ。未成年の義務は学校だけで十分だ。義務って言うならオレ達が襲われない様に囮になってくれ。子供を助けるのは大人の義務だろう」
「……馬鹿なガキを正すのは大人の義務だったな。体罰的教育でお前を正してやろうか!」
「探索者が暴力を振るって良いのか? 今から管理省に行くんだぞ。自首しに行くのか?」
「知らなかったのか? ダンジョン内で馬鹿な行為をした愚か者には、指導と言う名の教育的体罰は罪に問われないんだぞ。大人として指導してやろうか?」
「ここはダンジョンじゃないぞ? 目と頭は大丈夫か? おっさん」
「……ぶっ殺すぞ、クソガキ!」
「やれるもんならやってみろ! 返り討ちにしてやる!」
「二人とも喧嘩は止めてください!」
止めなければ喧嘩ではなく殺し合いに発展しそうなので、優は人生初の喧嘩の仲裁をした。その表情は何時のも怯えた表情ではなく半ギレの状態だった。
「貴方達は状況分かっているのですか! 命を狙われているんですよ! それなのに馬鹿みたいに喧嘩して! 喧嘩したければ全部終わってからにしてください!」
「お、おう、分かったぞ、現道。喧嘩しないから。だから落ち着け、な」
「す、すまない。大人げなかった。だから『それ』を下ろしてくれ」
優は藤田の言った『それ』を下ろした。大人の身長くらいある壊れた看板を持ち上げ武器に二人の喧嘩を仲裁した。優は看板を投げ捨てて、
「これから管理省に行きますよ」
と言って半ギレ気味で移動する。その後ろに日野と藤田が小声で会話しながら後に続く。
「ひょろい坊主と思っていたが迫力あるな」
「オレも初めて見たよ。普段怒らない奴がキレるとスゲー怖いな」
「あのキレ方だが理性を失っていないから、まだ上が有ると思うぞ」
「……あれよりも上が有るのか。今でもスゲー怖いのに」
「本気でキレたら何するか分からないタイプだな。これ以上怒らせない様にしなければ」
「そうだな。一時休戦といこうや、おっさん」
「……良いだろう、しかしおっさんは止めろ」
日野と藤田は喧嘩をせず、優をこれ以上怒らせず、ダンジョン管理省に行く事になった。
誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。




