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魔力ゼロの探索者~魔力ゼロは無才ではなく異才だった~  作者: 北杜
一章 無能と呼ばれた異才の持ち主
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訓練②

 優が探索者高等学校に入学して約一ヵ月。学校にも慣れ、もうすぐ五月のゴールデンウイークも近い。

 そんな優だが毎日訓練に明け暮れていた。荷物背負って走り込み。柔軟体操から腕立て伏せ。筋肉痛も出来なくなり市太郎の指示のもと毎日体を鍛えていた。

 探索科のクラスメイト達は特技の基礎勉強と魔力操作法を習っていると友人達から聞いている。その次に前衛戦闘系・攻撃魔法系・回復魔法系・支援魔法系の四科目に分かれて訓練をすると友人達から聞いた。


 そんな特殊探索科の訓練では実務訓練が多い。一年生の優は別として、二年の日野やリナ、副担任補佐の市太郎はダンジョンで探索をするので優は一人で訓練する事が多かった。

 今日は実務経験日で優は実習室で一人訓練をしていた。

 優は市太郎から訓練書に従って体を鍛えていると、同じ特殊探索科でダンジョン管理省医療課の入道護道が来た。


「お久しぶりです。入道先生」


 入道はここ数日間病院に居て夕食も別だった。新規患者の容体が悪く目を離せない状態だったらしい。


「久しぶりだな、現道君。……他の皆はダンジョン探索だったか」

「はい、そういえば入道先生はダンジョン探索に行かなくても良いのですか?」


 ふとした疑問を投げ掛ける優。


「偶にダンジョン探索をしているが、本業は医者だからね。ダンジョン探索による疲労や怪我で手術が出来なくなったら、緊急患者を治療する事が出来ない。なので私は実務訓練を断る事が出来るんだよ」

「入道先生は医者の仕事も大変なのに探索者の勉強もして大変ですね」

「そうでもないさ。医者として治療し、探索者として治療薬の材料を取っている。両方必要な事だよ。


 入道は治療薬の材料が切れそうになると、自身で特殊ダンジョン内にある材料の鉱石等を採掘している。他の探索者に頼むと時間と金がかかる。日野達に頼んでも良いが、それは緊急の場合だ。入道も特殊探索者として、医者としての責務を忘れていない。


「市太郎君の技量を身に付けないと、いつまでたっても市太郎君に協力してもらわないといけない」

「協力ってなんですか?」

「手術の事だよ。私一人では難しい手術も、アンチマジック能力者二人だと手術が早く終わり患者を助ける事も出来る。それに市太郎君の知識が必要な場合もあるからね」


 市太郎が手術を手伝っていると聞いて驚く優。同年代が手術に携わっている事に驚きを隠せない。


「私の専門は魔力病に関する病気治療だ。人体に害をなす魔力に関する病気にはアンチマジック能力と医者の技術が必要だ。しかし医療技術だけでは治療は不可能。現在魔力病の治療が出来る医者は私と市太郎君だけだ。彼と出会って二年、彼の知識と技術を学び、治療不可能と言われた魔力病の治療法も出来上がりつつある」


 二年前というと中学校二年? 十四歳? そんな市太郎が医者に教える立場だった? 市太郎君って何者って思う優。


「そんな事よりも訓練は良いのかい? もうすぐ一年生のダンジョン見学もあるだろう」


 護道の注意を受けて訓練を開始し、護道もジャージに着替えて訓練を始める。

 ゴールデンウイークの数日前に実務訓練の一環として一年生はダンジョン探索訓練がある。

 安全なダンジョンに入り、ダンジョンがどのような所なのか体感する訓練だ。そして班ごとに分かれて指定されたルートを本業のダンジョン探索者の案内でダンジョンを探索する訓練。

 すでに班決めは終わっており、男女五人ずつの一班十人でダンジョンを行動する。


「護道先生も去年は参加していたのですか?」

「私は医療班として参加していた。ダンジョン管理省からも医療従事者が参加するから、私も急な患者が来ない限り参加する予定だよ」

 走り込みをしながら会話する優と護道。優も会話しながら走り込みが出来るまでの体力が付いてきた。

「楽しみです。初めてダンジョンに入れるから」

「そうだな。魔力量が低いとダンジョンに入る事が出来ないからな。私もダンジョンに初めて入った時は感動したものだ」

「でも、ダンジョンに入っても大丈夫でしょうか?」

「ふむ、私達特殊探索科は魔力量ゼロだから魔法が使えない。魔力がある武器防具も使う事ができない。だから少しでも生き残れるように体を鍛えている」


 魔力を消す能力のせいで武器防具は使えない、魔法も使う事が出来ない事は市太郎達から聞いている。体を鍛えるレーニングの重要性も。


「私達は探索者とは目的が違うのだ。彼等は一般ダンジョンの攻略。私達は特殊ダンジョンの探索だ。探索であって攻略ではない。だから訓練法も違う。私達の目的は情報を集めて生き残る事であって、モンスターの討伐や攻略する事ではない」


 走り込みしながら優に諭す護道。優の息が上がってきて走るスピードが遅くなる。それに気づいた護道は優に走る速度を合わせて会話を続ける。


「私達の主な仕事内容はダンジョンの調査と特殊ダンジョンで取れる鉱石等の発掘だ。これは普通の探索者には出来ない仕事だ。特殊ダンジョン内を調査して死者を減らす事が出来、市太郎君達が発掘した鉱石のお陰で医療にも役に立っている」

「医療に?」

「知っているかい? 日野君やリナ君達の今日の実務訓練の内容は魔力吸収ダンジョンで鉱石の発掘作業だ。そのダンジョンは探索者の魔力を吸い取る特殊なダンジョンで、入ったら魔力を吸い取られ続ける。普通の探索者が入ったら一時間以内で魔力がゼロになり倒れて気絶し最後は死んでしまう危険なダンジョンだ」

「そんな危険なダンジョンにいるのですか!」

「しかし特殊探索者の私達は問題無い。もともと魔力量ゼロだから吸われない。そしてダンジョンで取れる鉱石は吸魔石と言って魔力を吸い取る性質を持つ鉱石だ。この鉱石は医療器具にも使われていて金と同じくらいの値段で取引をされている」

「金と、同等の、値段!」

「そんな特殊ダンジョンを探索して社会に貢献するのが私達特殊探索科だ。だから私達は体力をつけてダンジョンに挑む。これが私達特殊探索者の仕事内容の一部だ。他にも医療関係や呪われた武器道具の解除やいろいろ仕事がある。将来は仕事の種類が増えるかもしれない。特殊探索者の歴史はまだ浅いから」

「素晴らしい、ですね。僕も、探索、頑張ろう」


 体力が落ち会話が出来なくなる優。そろそろ会話を止めて走り込みに集中した方が良いと考えた護道は「ではトレーニングに集中しよう」と言って元のペースに戻し優を置いて走り去った。



誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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