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配信内容〔初配信〕後編

俺の同時視聴者が一万人を越えたというチャットが目に入り、急いでライブを確認してみる。


【初配信】

野郎共!新人とは俺のことだ!【Vtuo】

10,019人が視聴中 25分前にライブ配信を開始

【紅雨 輪廻】 チャンネル登録者8,768人


『うぇぇぇ!?ま、まじだぁ!?こ、こんな短時間で!?』


い、いやいやいや・・・俺は夢でも見ているのか!?

初日でこんな・・・ってチャンネル登録者も9000人近くいるじゃねぇか!?


え、あれ!?


普通1万人突破ってもっと時間掛かるものじゃないか!?


これ俺がおかしいの?

これがVtuoの常識なの?


───に、人間て凄いな・・・。


【うっそだろ?お、おい、お前ら・・・(ナイスゥ!)】

【すげぇぇぇ!!(これが俺らの力よ)】

【ヤバスギィッ!!】

【これが紅雨輪廻なんだよなぁ・・・(ドや顔】

【成長したな・・・(後方腕組親父)】

【↑今日が初配信なんですがそれは(マジレス)】

【いや、普通にすげぇぞこれ】

【姉御系イケメン美少女VTuber】

【矛盾の塊で草】

【個性のぶつかり合いじゃないですか、やだー(まだ足りんぞもっとやれ!)】

【ふっ、俺の出番のようだな】

【↑帰れ】

【↑あっ、すぅーーー】


ふぅーー・・・と、一旦深呼吸する。


まさか、初配信でこんなにたくさんの人間達が来てくれるとは思っていなかった。


お金を稼ぐ為に始めたのに、こんなに沢山の人間に知ってもらえると思っていなかったんだ。


そしてそれが───こんなにも、こんなにも嬉しいことだとは、な。


嗚呼、やはり。


ここの世界の人間達は、向こうの世界の人間達なんかより優しくて───暖かい。


瞳から落ちる涙を拭う。


涙を流すなんて何十年・・・何百年振りだろうか?


魔王として君臨していた時は、魔族の王が涙を流してしまったら、魔王としての威厳がなくなる・・・なんてくだらない事を考えて、涙を流すことなんて忘れていた──と思っていた。


そうだよな。


俺はもう魔王じゃないんだ。


ならただの生き物として、ただの人として──泣いても、怒っても、笑ってもいいんだよな・・・。


こんなこと、前世では絶対に考えられなかったなぁ・・・しかしそれを、この世界の人間達は考えさせてくれたんだ。


───嗚呼、やはり。


『ふ、ふふっ、優しいな、お前ら』


【な、泣かなくてもええんやで?】

【オレたち皆優しいからな!泣かなくてもええで!】

【ふっ、泣かないでな?姉御には笑顔が似合うから】

【初めてだから辛いこともあると思うけど、我慢しなくてええんやで】

【私達も見守ってますよ】

【半泣き姉御えっっっっっ】

【↑は?】

【↑感動シーンにこれは駄目ですわ】

【↑処刑】

【↑斬首】

【↑死刑】

【↑晒し首】

【このコメントは削除されました】

【↑制止からやり直せ】


『ふははっ!ありがとうな!少し気が楽になった!・・・というか面白いなぁ、お前ら。おーし!じゃあ、続けてましゅまろ開封していくぞ!』


舎弟達の団結力の高さに思わず笑い、涙が引っ込む。


俺より普通に面白くないか?なんてツッコミは置いといて、マシュマロへと進む。


〔おはりん!早速ですが、先輩VTuber方とコラボするなら、誰とコラボしたいですかー?〕


・・・コラボかぁ。


───俺としては出来るなら全員とコラボしてみたいんだが・・・これって先輩方に失礼にならないよな?


さすがに大丈夫だとは思うが・・・まぁ、余計なことを口走らないように気を付けておこう。


『コラボなら全員としてみたいなぁ。だがまぁ強いて言うならリアルの方で親切にしてくれた時逆先輩か・・・まぁ当たり前だが、最初はやっぱり同期の二人かなぁ。時逆先輩に関しては配信にも来てくれたからな。

あ、因みに男もVtuoは応募してるから、Vtuo初の男性VTuberが出るの期待してるぞ!』


【勿論ですよ! ❮時逆 流那❯】

【てぇてぇ………】

【眼福あざす!】

【↑配信キテリュウ!?】

【よかったやんけ(謎の上から目線)】

【あ、私もしたい! ❮如月 優希❯】

【確かにぶいつおには男のVTuberいないからな】

【(о´∀`о) ❮長谷川 リリア❯】

【じゃあ、私も! ❮レイテ アクレイス❯】

【↑お前はこんでええ】

【↑なんで来たの?】

【↑はぁーあ、これだから】

【↑萎えた】

【何でよぉ!?❮レイテ アクレイス❯】

【↑大集合で草】

【姉御は人脈の塊ってそれ一番言われてッから】


───って、せ、先輩!?それに同期まで!?何でこんなに一気にくるんだよ!?


俺ら新人を一目見に来ようとする精神はわかるが、一気に来すぎだろ!


我トップバッターぞ!?


緊張してまうやろがぁッ!


───ふぅ・・・い、いけない。少し取り乱し過ぎたようだ。


『こ、こんなに先輩が!?え、あ、あの!来てくれてありがとうな!・・・ございます!』


【緊張してて草】

【ご、ごめんね!? ❮レイテ アクレイス❯】

【あーあ、なーかした】

【気にしないで! ❮時逆 流那❯】

【(*^ー^)ノ♪ ❮長谷川 リリア❯】

【敬語慣れてない???】

【↑姉御だぞ?なれてる筈がない()】

【先輩だからね!気にしないで大丈夫だよ! ❮如月 優希❯】

【輪廻ちゃーん!遅れてごめんね! ❮ファーレス レムル❯】

【ファイト!応援してるよー! ❮カナリア 燐火❯】

【↑大集合してて草】

【慌てる姉御の姿えちえち】

【これが百合の園かぁ・・・てぇてぇなぁ・・・あ、閃い(殴】

【↑通報しました】

【なんでや!?】

【↑ついでに焼いとくわ 炎レイテ炎】

【なんでよ!? ❮レイテ アクレイス❯】


『ふ、ふふ。ありがとうな!・・・ございます!よし、お前ら!先輩達と同期から激励貰ったし、そろそろ最後のましゅまろにいくぞ!』


先輩達とのコラボか・・・一体いつになるんだろうか?


まぁでも俺は、正直いつだっていい。


俺からすれば、先輩達は俺の付いている役職の先輩・・・前世で言えば先代魔王みたいなものだろうか?


だから、人間なんて関係なく、俺よりも先にこの職業につき、多くの人を楽しませて来た先輩達は、充分に尊敬に値する。


だからいつだっていいんだ。


───あぁ、楽しみだ。


・・・って、待て待て俺。


今は感慨に浸っている瞬間じゃないぞ。


はっと思い出したようにパソコンを操作し、次のましゅまろへと移る。


〔おはこんです!多分、この配信に来ている男性方が聞きたいであろう質問を、私が代弁いたします。姉御の好きな男性はどんなタイプですか?〕


好きな男性のタイプ?


あぁ、そうか───俺、今美少女じゃん。性別女じゃん。男じゃないじゃん。


そりゃあ好きな男性のタイプは?って聞くに決まってるか・・』けど違うんだよなぁ・・・。


でも───俺、精神的には男だし。


ま、ここは無難に・・・って待てよ?


ここでもし普通に答えたら、もしかしたら印象が薄すぎて没個性として埋まってしまわないか?


VTuberの世界は良くも悪くも弱肉強食らしいし・・・少し位捻った回答をした方がいいんじゃないか?


よし、そうと決まれば。


『俺が好きなのは・・・女性だぞ?はっきりいって、男性よりも女性の方が好みだな』


ふっ、よしこれでどうだ。


説明するとしたらややこしいが、恋愛対象が女性なのは“僕”の方の精神に引っ張られているのもあるが、間違ってはいない。


それにかなりインパクトがあると思う。


よし、勝ったな。


なんて心の中の叫びを尻目に、俺の発言がダムを決壊させたのか、コメントの波が一気に流れる。


【えぇぇぇ!? ❮時逆 流那❯】

【Σ(゜Д゜) ❮長谷川 リリア❯】

【おぉ神よ・・・感謝します・・・】

【悟りニキおって草(母さん…産んでくれてありがとう)】

【こ、これが百合ってやつデスカ? ❮レイテ アクレイス❯】

【おうふ・・・】

【百合配信者がいると聞いて】

【輪廻ちゃぁーん!?何言っちゃってるの!?

❮ファーレス レムル❯】

【付き合って下さい ❮カナリア 燐火❯】

【↑はぁ、これだからトリアタマは・・・】

【↑手羽先にするよ?】

【↑唐揚げってそれ一番言われてるから】

【↑ごめん、俺チキンよりも牛の方が好み】

【カナちゃんも何言ってるの!? ❮如月 優希❯】


チャット欄大荒れじゃねぇか!


まぁ、予想できたけどな!俺の治めていた国と違って、この国(日本)じゃ同姓結婚は出来ないらしいし。


・・・あれ、そういえば俺の治めていた国の皆はどうな───ジジジ、記憶を再生中・・・失敗───記憶の補填を自動で行います───まぁ、いいか。


取り敢えず、このまま配信を終わらせて貰おう・・・。



『それじゃ、次の配信もまた来てくれよな!じゃ、じゃあな!?』


【あ、逃げた】

【草】

【草】

【てぇてぇ・・・のか?】

【姉御・・・(遠い目)】

【どうぞ百合百合ってくれ(血涙)】

【ふっ・・・見える・・・見えるぞ!・・・姉御が女の子とキャッキャウフフしてる姿が!】

【↑悟りニキ新境地に至ってて草】


───

──


【この配信は1分前に終了しました】

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