俺の地獄のような生活
俺は砂を噛むような気分で飯を食っていた。
最初にここで出された飯を見たときこれが本当に飯かと思った。それくらい奇麗な飾りつけをされていたからだ。
そして一口肉を口に入れると思わず吐きそうになった。
物凄く刺激的な味がしている。そして冷めきっていて冷めた脂が舌の上でざらつく。
食べるもの食べるもの物凄く刺激が強い。食べ終えたときは口の中がひりひりした。
口の中の刺激を水でなだめた。
それからずっと見た目は奇麗だけど冷めきって口の半ばピリピリする飯を食べ続けていた。
どんなにまずくても食べるものはこれしかなかった。
もっとこの辛いのをやめろと言ったのだが仮にも国王が食べるものが香辛料をさほど使わないなんてありえないと言い張られ改善の余地はないようだ。
これならあちらで薄いスープとパンで食事をしていたほうがましだったかもしれない。少なくともまだほんのりだけどあったかかった。
ギラギラ光る銀細工の食器を俺は忌々しい気持ちで眺めた。
味が濃すぎるより、薄い方がまだましだ。
俺の食欲は落ちる一方だった。
俺は漸く食事を終えると自分の部屋に戻る。これでやっと寝られる。
俺は食事の後風呂。複数の男たちのよってたかって洗われるという拷問のような時間を終えて、ようやく一人になれた。
俺はため息を一つ。奇麗に油をつけて手入れをされた髪。そして何より顕著なのが磨かれた爪だ。
以前はボロボロだったのに蜜蝋をつけて磨かれた。
「蜜蝋をつけて磨かれるとか、お前家具か?」
男がそんなことを言った。
男の前の光る板の中では何やら人形のようなものが踊っている。
「それはそうとあのおっさんはどうした?」
俺の前によく表れる恰幅のいいおっさんだが。頭は半ば白くなった髪が半分だけ覆っている。
そして、俺の前ではいわゆる決まり文句、偉大なるルドルフ三世陛下を寿いでを言った後にいろいろと言ってくる。なんでも俺の前に孫娘を連れてくるらしい。
「多分、孫娘が孕んだらお前用なしだぞ」
「孕むって何?」
俺は不思議に思った。
「孕むってことはガキが生まれるってことだ。お前のお母さまとやらが孕んだ結果お前が生まれた。わかるか?」
「お母様は俺を孕んだからお母様というのは何となくわかった」
「ガキを玉座に付けて操ろうっていうんだ、これが赤ん坊ならよりやりやすかろうな」
俺は一年の間に赤ん坊を何度か見た。赤ん坊ならサインすることも不可能だ、つまり自分でサインし放題ってことか?
「そうだ、最近説明することが少なくなったな」
男は満足そうに言った。