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非日常には魔性の魅力がある

ーーー3か月前、俺たちは突然異世界へと召喚された。





 昼休み、特に話すような友達もいない、いわゆるボッチだった俺はいつもの様に机でネット小説を読んでいた。


「……うわぁ、マジか…そいつは死なないで欲しかったなぁ……」


 俺は、最近ハマった小説の好きだったキャラが予想外の展開で死んでしまったことに嘆いていた。


 周りでは、スポーツだったりゲームだったり、女子の間ではアイドルの話だったりがそこかしこで盛り上がっている。


 いつもと変わらない日常。このまま、いつもの様に午後の授業が始まり、いつもの様に帰宅してダラダラと過ごす。そんな日常が続くと思っていた。







教室に魔法陣何てものが出てくるまでは――――







「……ん?なんだこれ?」


 誰だっただろうか。地面に現れた小さな魔法陣を見つけ声をあげた、次の瞬間、突如として魔法陣が教室程の大きさまで大きくなる。


「うわぁっ!?」「なになに!?何コレ!」「うわっ、なんか出てきたぁ!」「ねぇ!これなんなの!?怖いよぉ!」「これは……まさか……!」「落ち着いて!今すぐ外に出て!」


 勿論教室はパニック。誰もこんな状況になったことないのだから当たり前だ。この状況に怯えたり固まってたりしてたのが8割、異世界系の小説とか読んでてこの状況に期待してるような奴が1割、咄嗟に教室の外に出ようとしたり出るのを促したりする奴が1割って感じだった。


 俺?俺はネット小説で転生モノや転移モノを読んでいたのでパニックにはならなかったよ。びっくりして固まってたけど。


 結局、何故か教室から出ることは出来ず全員、魔法陣から出る、徐々に強まる光に包まれ最終的には何も見えなくなった。







 気が付くと、そこは教室ではなく中世の感じを思わせる豪華な部屋で、そこに大勢の人と、明らかに存在感の違う二人の人物がいた。一人は玉座っぽいのに座ってるおっさんなので多分王様だろう。あと一人は、玉座の斜め後ろに立っている女性(絶世の美女)だった。


「我はこの国アシュワンドの王、ゴイル・アシュワンドである」


 俺らが未だ唖然としている中、王様っぽい人は不思議と安心する声で話し始めた。


「いきなり呼び出してしまって申し訳ない。お主らを呼んだのは我と…」


「申し遅れました、私、女神のエミルージュと申します」


 ……絶世の美女は女神だったらしい。


 いきなりの事で混乱していた俺たちだったが、このクラスの委員長である桐山魁きりやまかいが、こんないきなりの状況にも関わらず国王に強気に聞く。


「ここはどこですか!元の場所に帰して下さい!」


その言葉を機にクラスの皆は国王や女神に、怒声を浴びせかけた。ちなみに俺は、知らんと言わんばかりに目を輝かせて部屋を見ていた。すると、


 「うるさい!お前達、国王様と女神様に失礼だろう!」


と、近くにいた兵士の人が怒鳴る。罵詈雑言を浴びせていた奴らは、その声に怯み一気に静かになった。俺もビビった。


「控えよ、この者達は急にこの世界に連れてこられたのだ。混乱するであろうし、元に戻してほしいというのも当たり前だからな。」


 国王はそう言って兵士を下がらせた。


「さて、最初に言っていた元に戻してくれ、という要望だが…結論から言うと帰ることは可能だ」


 国王のその言葉に俺達はほっとした。しかし、国王の「だが、今すぐ、というわけにも行かん」という言葉に、良かった雰囲気が再び不穏になる。


「それは…どういうことですか?」


 魁も顔を曇らせながら国王に問う。俺は何となく嫌な予感がした。……3割位はワクワクもしてた。


「その前に、お主達を召喚した理由を説明せねばな」


それから、この世界の事について大まかな説明がされた。要約するとこうだ。


 ・この世界はクレイディルと呼ばれている


 ・この世界には人族の他に獣人族、亜人族、魔族がいて、人族は魔族と長い間戦争している。


 ・魔族には魔王という、魔族の頂点に君臨する者がいて圧倒的な強さを持っている。


 ・人族が魔族の攻勢に圧倒され、なす術がなくなり、苦肉の策として勇者召喚を行い俺達を呼んだ。


…ということだった。


「…つまり、僕達が帰るには魔王を倒しこの世界を平和にしないといけないというわけですか」


「うむ、その通りだ」


 この事に、クラスは不安に思う者と楽観視する者、ラノベの様な展開に期待する者に分かれた。もちろん俺は期待する方だ。と同時にある程度警戒もしていた。


「でも、僕たちは争いから縁遠い国の生まれです。戦う力なんてものはないですよ?」


 魁は魔王を倒すことに不安を覚えた方で、倒すにも力がないと言う。当たり前だ。俺らは銃どころか暴力沙汰ですら縁遠い人間なのだから。


すると、今まであまりしゃべらなかった女神がようやく話す。


「大丈夫です、あなた達には潜在的な能力ーー『ユニークスキル』があります。それを自覚すれば戦う力は自然と身に付くのです」


 その言葉に、要約したとこ以外上の空だった俺は自分の潜在的な能力に期待を膨らませたーーーー









 まぁ、しかしそんなに上手く行かないのが現実だ。

 能力は能力値、いわゆるステータスでランク付けされるのだが、なんと俺は最低ランクのGだったのだ。ステータスの内容としては以下の通り。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

満園将人

Lv1

種族:人間   職業:旅人   ランクG


経験値 0/200


HP 100/100

MP 50/50


攻撃力    :24

防御力    :17

魔法攻撃力  :21

魔法防御力  :10

素早さ    :31


ユニークスキル

・天涯孤独


ノーマルスキル

・自動翻訳


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 聞くと一般人より少し強い程度らしい。自動翻訳は異世界から召喚された奴らは全員持っているとのこと。


 因みに、他のクラスメイトたちはオール100だったり何かのステータスが突出していたりだった。ステータスの合計は4~500ほど。ランクは最低でもDで、最高はSS。この世界の一般人は平均100もないことを考えるととんでもない値である。


 そして頼みの綱のユニークスキルにも見放される始末。ユニークスキルとは、複数人が取得することが出来るノーマルスキルとは異なり、その人個人のみが所有する唯一無二のスキルのことで、基本的には強力であることが多いのだが、




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

        『天涯孤独』

他人と共闘することができなくなる。その代わりステータスが少し上がる

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 と、散々な内容である。内容にある、「少し上がる」の倍率は正確には1.1倍と、メリットがメリットになっていない。

 ちなみに、スキルの他にも職業と言うものもある。職業によってステータスの伸び方や取得可能なスキルの種類が決まるらしい。がこちらももちろんダメだった。レアではあるが戦闘では使えない、"旅人"である。


 そこからは、もう分かる通り最底辺に一直線だ。全員ではないものの、大半の奴らは()()()()()()()()()()()俺に毎日侮蔑や見下しの目を向け、毎日行われる訓練では魔法やスキルのサンドバッグとしてボコボコにされたり、捕獲してきた魔物との実践では武器に細工されたり妨害されたりなど、いじめられることもあった。


 一応、委員長たちやトップカーストグループの奴らが現場を発見するとやめさせたりはしてくれたが、いじめが完全に無くなることはなかった。


 そして、俺は追放された。だけど意外と心苦しくもない。あの環境から抜けられると思うと清々とすらした。急に委員長達がボロクソ言ってきたときは驚いたが、内心ではいつもああ思っていたんだろうと納得させた。


 「いやー、にしても宿が空いてて良かったな~」

夕暮れ、俺は宿を探し歩き、やっと見つけて部屋を取ったところだった。


 「…さて、これからどうすっかな。ここはお決まりの冒険者か?」


 確かにそれも良いがそれは、命を掛ける覚悟がなければ務まらないよな…と考えたところで、自分の職業が"旅人"だったことを思い出す。


「よしっ!この世界を自由気ままに旅をしてみよう!そうと決まればまずは馬車を買わないとな!いくらなんだろう、馬車…」


 と、そんなこんなで翌日馬車を見に行くことにした。その先で、とある出来事に巻き込まれ、運命的な出会いを果たすことも知らずに…



よろしければ下の評価をよろしくお願いします。


行けるとこまで定期で行ってみます。行けなくなったらすみませんm(_ _)m

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