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 すると王女が一瞬にやりとしたと思ったらこんなことを言いだした。


「役立ちたいと思うなら早く城下町へ行って学んでくるといいわ」


「え? でも何をしたらいいのか……」


「自分で考えてください」


「し、しばらく学ばせてもらうのは?」


「商売は庶民が行うものよ。貴族がそんなこと知るわけないじゃない」


「じゃ、じゃあ、どうしたら?」


「さっさと働き場所を探してきたらいいわ」


「しょ、紹介とかは……」


「できないわ。取引のある商人達には今で払っているわ」


「そ、それじゃあ、生活はどうしたら……」


「さっさと城下町に行って探してきなさい」


 と王女は言い切った。いくら何でもその扱いは酷過ぎない? 向こうが勝手に私達を呼んだというのに……。


 ……あれ? もしかして、私も似たような扱いをされるのでは? 戦闘スキルや生産スキルを持っていないからかなりまず状況かも……。と内心少し焦ったが、もしかしたら、追い出された方が面倒なことから解放されるかも? とそんなことを思った。


「それはいくら何でも酷過ぎませんか?」


 すると中山が王女にそんなことを言った。よく物怖じせずそんなことが言えるな……と思ったが、彼のスキルを考えると向こうも下手なことはできないから多少のことなら問題にされることはないのかな?


「そうでしょうか?」


 すると王女は首を傾げながらそう言ってきた。……もしかして、今言ったことがおかしいと思っていないのかな? 仮にそうだとしたら、この国は商人に対する扱いがあまり良くないのかな? それとも、一部だけ優遇して後はどうでもいいのかな? とそんなことを思いながら事の成り行きを見守ることにした。


「私達は彼女と同じように無理やり連れてこられてきました。何も分からないので最低限生活の保障は必要です」


 中山がそう言うと王女は近くの男性と少し話をしていた。


「分かりました。1年分の生活費は支給しましょう」


「それなら戦闘スキルや生産スキルを持たない人も一緒に行ってもらえばいいじゃないですか。そしたらそこの女は1人じゃなくて安心して街へ行きますよ」


「そうね。その方がいいんじゃない? どうせ役に立たないわけだし」


 すると松本と藤吉がそんなことを言った。


「そうですね。それならあなたも彼女と一緒に行ってください」


 王女は私の方を見ながらそう言ってきた。やっぱりか……。とは思ったけど、個人的にはそれも悪くないと思っていたのでこの提案に乗ろうと思った。それに召喚を行ったこの国の人とか言いたい放題の人と一緒に居たら息が詰まりそうだし。


「分かりました。それなら彼女の分とは別で私にも生活費を準備してくださりますよね?」


「それくらいならいいでしょう」


「それなら、私も彼女達についていきます」


「舞ちゃん?」


 するとことの成り行きを見守っていた舞ちゃんが私についていくと発言をした。そのことに驚きながら舞ちゃんの方を見ると私に聞こえる声で「大丈夫だから」と言って王女の方へと視線を向けていた。何が大丈夫なのか分からないけど、舞ちゃんも一緒に行ってくれると言うなら心強いし、ありがたいと思った。でも、この国の人が戦闘スキルを有している舞ちゃんが私達についていくことを認めてくれるのだろうか? と不安に思ったが舞ちゃんを信じて見守ることにした。


「あなたは戦闘スキルを持っています。無理に彼等についていかなくてもしっかりサポートしますが……」


「いえ、大丈夫です。私も彼女達と同じようにしてください」


「戦闘スキルを持っていても扱ったことない武器では何もできません。そう言ったことを学ばずして彼等についていくと言うのですか?」


「はい。私の気持ちは変わりありません」


「分かりました。あなたにも同様に生活費を支給しましょう」


 王女はそう言って近くの男性に何かを言うとその場を離れていった。もしかしたらお金を取りに行かせたのかな?


「それではこれから城下町へ行く者以外は私達に付いて来てください」


 王女がそう言うと、ここに居た人達は私達3人を除いて部屋から出ていった。それにしても人を1人も残さないで行くのはどうなの? とそんなことを思った。


「それにしても舞ちゃん、私に付いて来てもよかったの?」


「当たり前じゃない。クラスの連中よりも友達の真奈美の方が大事だから」


「あ、ありがとう。やっぱり持つべきは仲のいい親友だね」


「う、うん。そ、それよりもあの子の所へ行こう!」


 私がそういと舞ちゃんは、顔を赤くしながら『商人』のスキルを持っている女の子の方へ移動をしたので、私も荷物を持って彼女の方へと移動した。



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