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星が照らす行先は  作者: 健健
三章 ヴェール学園
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 ドアをノックする音で目覚めたアルナイルは、昨日は仮眠のつもりがそのまま朝まで寝てしまった事を悟った。

もしや寝坊でもしたのかと焦り、すぐさまベットから飛び起きドアに向かって返事をする。


「すみません!すぐに準備しますのでもう少々お待ちください!」

「…何か勘違いされているのかと思われますが、焦らずご支度して頂いて問題ありません」


その言葉を聞き、ほっと一息いた後アルナイルは昨日から着っぱなしの服を着替え、装備品を身に着け身支度を済ませると部屋を出る。


「おはようございます、お待たせしました」

「おはようございます、仕事ですので」


声からして想像していたが、やはり昨日学園を案内してくれて門番であった。

今日は朝から自身の案内をしてくれるらしい。


「早速学園をご案内したいと思いますが、その様子ですとまだ朝食を頂いていないと思いますので、先に学園内の食堂へご案内致しますか?」

「お願いします」


昨日の昼食以降、何も食べていない今のアルナイルにとって、食堂という単語はまさしく神のお告げに等しい価値であった。因みにアルナイルは無信教である。


既に生徒達が利用している時間帯は過ぎているらしく、案内された食堂はアルナイルの貸し切り状態だった。


好きにお座り下さいと言われ適当な椅子に腰かけると、門番が調理場の人に話しかけているのが目に入った。暫くすると硬そうなパンとスープが運ばれてきた。


「簡単な物しか出せずに申し訳ないと、調理場からの言付けです」

「いえ、とてもありがたいです」


ちらりと調理場の方に目を向けると、昼食の準備をしている様で忙しなく動いている調理場の人達が確認できた。

アルナイルは硬いパンをスープで浸して素早く食べ終わると、調理場の人達に一言感謝を告げ、学園内の案内を再開する事にした。

案内しながら門番は学園についてアルナイルに説明する。


「このヴェール学園での授業は、生徒自身で受ける受けないを決める事はご存じですね?」

「はい、先日学園長に教えて頂きました」

「ですが貴女の様な新入生が、この広い学園内のどの建物でどんな授業を何時行っているのか、把握する事は非常に困難です」

「そうですよね」

「ですので分かり易い様、授業内容で区分分けされております。現在私達がいる寮や食堂がある建物を中心に、東棟が主に実技、西側が座学になっています」

「なるほど」

「各棟の一階には、その月の分と来月分の授業内容の予定表が張り出されてます。予定表には導き手や教室の場所、日時を確認する事が出来ます」

「分かりました」

「どこから案内するか希望はありますか?」

「まずは東棟でお願いします」

「承知しました」


実技の授業風景がどの様なものか興味があったアルナイルは、まずは東棟に行く事にした。


向かう途中、ちらほらと生徒らしき人達とすれ違う。自身より年上の人もいれば、見るからに幼い者など、幅広い年齢層の生徒がいたが、比較的まだ成人していないであろう者が多いなと感じた。


(生徒の平均年齢は思ったより低いみたいだなぁ…私より年下の子達ばかりだ)


そんな事を思っていると、いつの間にか東棟の一階に到着したらしく門番が立ち止まる。


「到着しました、ここが東棟一階になります。あちらの壁に張り出されているのが授業の予定表になっています」

「ありがとうございます」

「二階のある渡り通路で西棟と行き来する事が出来ます。建物の構造も似通っていますの特に問題が無ければ案内はここまでなりますがよろしいですか?」

「はい、大丈夫です。わざわざありがとうございました」

「仕事ですので、では失礼します」


そういうと門番は踵を返し中央棟へと戻って行った。

この瞬間からアルナイルのヴェール学園生活が幕を挙げたのであった。



_____________________________________


一先ずどんな授業があるのか、アルナイルは予定表を確認する事にした。

一通り予定表に目を通したアルナイルはある事が気になった。


(帝国は近年魔法使いの確保に力を入れているってダンさん達から聞いてたけど…魔法に関する内容の授業が他に比べて少ない…)


ヴェール学園に休日は無いらしく、予定表には一ヶ月毎日何かしらの授業の予定が記載されていた。導き手が何時休んでいるのか気になりはしたが、それりも魔法に関する授業の少なさが気になった。

受付らしき人が居た為、アルナイルはその人に聞いてみる事にした。


「すみません、昨日から学園に入学しましたアルナイルといいます」

「アルナイルさんですね、学園長からのお達しで存じております。どういったご用件でしょう?」

「魔法に関する授業を受けたいと思い予定表を確認したんですけど、思ったより授業数が少ないなと思いまして…」

「そういう事ですか、これでも大分増えた方なんですよ?数年前は今の半分以下でしたが、帝国の方針が変わったらしく現在の数まで増えたんですよ。まだまだ他に比べると少ないですけどね」

「そうなんですね、ありがとうございます」

「お待ち下さい、アルナイルさんにお渡しする者があります」


お礼を言って立ち去ろうとしたアルナイルに、受付の人は魔石が嵌められた小さなペンダントを手渡した。


「こちらはヴェール学園の生徒である事を証明する物になります。昨日学園長が渡すのを忘れてしまったらしく、アルナイルさんがお見えになったら渡すように言われておりました」

「ありがとうございます」

「魔力を流すと魔石内に掘られた名前を確認する事が出来ます。試してみて下さい」


いわれるままペンダントに魔力を流すと、魔石が淡い白色に発光し、魔石内に自身の名前が浮かび上っているのを確認出来た。


「問題はなさそうですね、他にご用件はありますか?」

「授業に参加する為に必要な物や手順等はありますか?」

「受けたい授業がありましたら、最低でも二日前にはその旨を受け付けにお伝え下さい。申請した授業については参加は必須になりますが、生徒数が上限に達していなければ当日参加も可能です」

「分かりました」

「それから必要に物につきましては、全て学園から支給されますのでご安心下さい」

「全てですか?」

「初回の授業で必要な物は全て支給されます。普段の生活においても、生徒の金銭的負担は一切ございません。研究内容次第で例外はありますけど」

「随分羽振りが良いんですね」

「帝国直営ですし、人材育成は国にとって最重要だと思いませんか?」


ヴィレット帝国での活動費用として、それなりの金銭をヒンギルから定期的に受け取る予定だが、これなら殆ど使う事はないかもしれない。


「確かにそうだと思います」

「魔法の授業を受けたいとの事でしたよね?丁度今、魔法の授業が行われていますので参加してみては?」

「そうですね、参加してみます。ご親切にありがとうございます」


受付の人にお礼を言い、授業が行われているという教室に向かいながら貰ったペンダントを首に掛ける。

既にヒンギルから貰ったペンダントを掛けていた為、二つ同時は邪魔にならないか心配であったが、紐の長さが丁度良い塩梅であり、二つのペンダントは互いに干渉する事無くアルナイルの首元に収まった。

ちょっとした幸運に喜びながら、アルナイルは教室へと向かっていった。


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