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星が照らす行先は  作者: 健健
二章 地下遺跡
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 寝室の窓掛けの隙間から顔を覗かせている太陽は、アルナイルを眠りから覚まさせるには十分だった。


アルナイルがベットから起き上がり寝室から出ると、既にベナトが起きており朝食を準備している最中だった。


ベナトが自分より早く起き、しかも朝食の準備までしている光景に珍しい日もあるものだなと声を掛ける。


「おはようございます、今日は珍しく早起きしたんですか?」

「おはよう、アル。やっと起きたかい、昨日は随分とお疲れだったようだね」

「え?」


ベナトとの会話に疑問が浮かんだアルナイルはふと、部屋に掛けられている時計を確認する。

時計の針は午前九時十五分を指していた。


「えっ!?」


普段のアルナイルは日課である走り込みをする為に六時、遅くても七時には起床している。

何時も通りの時間に起きたと思い込んでいたアルナイルは一瞬で目が覚めた。


走ってくる時間などある筈も無く、そもそも傭兵ギルドにも完全に遅刻である。

別に決まった時刻に集まらないといけない、そんな決まり自体は傭兵ギルドには存在しない。


だが、アルナイルが一緒に依頼を受けているメンバーとは傭兵ギルドに毎日午前九時には集合するように決めていた。

その為アルナイルは大急ぎで支度し始めた。


「朝食は食べるかい?」

「食べます!」


バタバタと慌ただしいアルナイルを面白おかしく見守りながら、ベナトはゆっくりと朝食を味わう。

ベナトも一度はアルナイルを起こそうとはしていた。


しかし普段のアルナイルならば少し声を掛ければすぐに目を覚ます筈が、今日は身体を揺すってみても起きなかった。

ベナトはそのまま寝かしてやる事にしたのだ。


身支度を終えたアルナイルは冷めてしまった朝食のスープを、今だけは丁度良いと皿に口を付け一気に飲み干した。


「いってきます!」

「いってらっしゃい」


傭兵ギルドへ向かい走り去っていくアルナイルの背中を、ベナトは暖かな表情で見送った。



________________________


 アルナイルが傭兵ギルドに到着したのは九時半を少し過ぎた頃だった。


「あー!やっときたー」


待ち合わせ相手である傭兵仲間の彼女は、ギルドの入り口前に立ちアルナイルを待っていた。


「アルナイルが遅刻なんて珍しいねー」

「申し訳ありません」

「気にしないで大丈夫だよー。中でもう二人も待ってるから早くいこーかー」

「はい」


 そうして二人で傭兵ギルドに入り残りの二人と合流した。合流した二人は男性の傭兵であり、基本的にこの四人で依頼を受けている。


アルナイルが全属性の魔力がある事や女性である事、更には光魔法が使える事など諸々を考慮した結果、信頼できる人物としてこの三人をファンから紹介されたのだ。


メンバーが揃ったので今日の依頼を確認する為、四人は受付に向かった。


「すいません、今日はどの様な依頼がありますか?」


アルナイルが受付の人に声を掛ける。


「あ~、やっと来ましたね~」


先程ギルドの入り口でも同じ様な言葉を聞いたなと思いながら、アルナイルは受付の人に質問した。


「私達への指名依頼でも来ているんですか?」

「いえ~そうではなくて~、アルナイルさんをお待ちしておりました~」

「私をですか?」


他の三人も不思議に思い会話に耳を傾ける。


「そうです~、ギルド長からアルナイルさんが来たら応接室に来るよう言われてまして~」

「そうですか・・・分かりました」


そう返事をし、アルナイルは後ろで会話を聞いていた三人に伝える。


「との事なので、すみませんが今回は私抜きで依頼を受ける事になりそうです」

「えー?またー?」

「そう言ってやるな、ギルド長からの呼び出しならば仕方ないさ」

「じゃあ今日は適当な人物を誘って依頼を受ける事にするか」


メンバーの返事を聞き、アルナイルは応接室に向かった。

応接室の前に着いたアルナイルが部屋に入る為にノックをしようとした時、部屋から漏れる話し声に気が付いた。

軽く聞き耳を立てると、会話をしている人物たちは互いに熱が入った声で話している様だ。


少し気まずいなと思ったアルナイルだが、勇気を出してドアをノックし、ドアを開いた。


「失礼します」


部屋に入ったアルナイルは部屋の中に居た人物を見て驚きの声を上げた。


「ダン星騎士長!?」


予想外の人物に驚いていると別の人物に声を掛けられた。


「僕とヒンギルも居るけどね」

「急に呼び出してすまんな」


部屋にはヒンギルとファンの二人も居た。

昨日、星騎士長の部屋で話し合いをした面子が集まっている事で、アルナイルは自分が呼び出された理由を理解した。


「地下遺跡での事について、何か進展でもあったんですか?」

「二人には既に軽く話したが君を含め、改めて説明する事にしよう」


どう言い、ダンが三人の前に座り話し始めた。


「今日の午前二時頃だ、私は港の警備に当たっていた」

「ダン星騎士長自らですか?」

「そうだ。この国に一つしかない港の警備を固めるのは当然だ。相手は四人の騎士を殺害出来る程の戦力も持っているのだからな」

「確かに」

「すると騎士の検問に止められ、何やら言い争いをしている人物が現れた。騎士に話を聞くとその人物は、どうやら持ち物の検査を嫌がっていと聞き、私は調査に協力を促す為その人物に近づいた。その時に事件が起きた」

「何が起こったんですか?」


ダンは少し間を置いて口を開いた。


「その人物と言い争いをしていた騎士が、私に気が付き星騎士長と呼んだ。するとその人物は驚いた表情をしながら私の方に振り向いたのだ。私と目が合った瞬間、その人物は服の内側から何かを取り出したかと思いきや、それを飲み込み苦しみ始めた」

「・・・毒ですか」

「我々もそう思いその人物に駆け寄ろうとした。直後、その人物の身体に変化が現れた」

「身体に変化ですか?」

「全身に体毛が生え始め身体が徐々に大きくなっていった」

「え?」


ダンの言葉を聞いたアルナイルは驚いた。

昨日、ダンの口から聞かされた情報を元にアルナイルは一つの考えにたどり着く。


「もしかして・・・その人物は魔物になったって事ですか?」

「正確には魔物になりかけた。私の判断で完全に魔物と化す前に首を刎ねたのでな。その後、持ち物等を調査した結果、帝国製のモノとみられる通信板が発見された。これでほぼ確実に今回の件に帝国側が関与していると、我が国は判断した」

「なる程・・・」


ダンの口から説明された内容を聞いたアルナイルは、今回自分が呼び出された理由を聞いた。


「地下遺跡での件を知っている、という理由だけで今回君を呼んだ訳では無い。君に頼みたい事があるんだ」

「頼み事ですか?」

「うむ」


そう言うとダンは立ち上がり、アルナイルの前に立ち言い放った。


「帝国へと潜入し情報を持ち帰って欲しい」

「え?」



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