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星が照らす行先は  作者: 健健
二章 地下遺跡
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 「では、あの場で何が起こったのか、詳しい状況を説明してくれ」


そういったのは星騎士長のダンであり、その表情には険しさが見て取れる。

場所は城の星騎士長の部屋であり、普段とは違う重苦しい空気が漂っている。


部屋にいるのはダンとヒンギル、ファン、そしてアルナイルの四人だ。


「俺が説明しよう」


ダンの問い掛けに対し、真っ先に口を開いたヒンギルは地下遺跡で起こった事を話し始めた。

それを聞きながら、アルナイルも地下遺跡での出来事を思い返していく。


「まず地下遺跡の捜索を開始した際、隊を四つの班に分けて行動するように指示した。それぞれの班には地図と通信板を持たせ、何かあれば連絡するように言った」

「うむ」

「俺の班はファンと嬢ちゃんの三人、他の三つの班は四人に分けたが、これは戦力を偏らせない様にした結果そうなった。俺達は通路が狭く、地下遺跡まで一番遠回りなルートを選んだ」


ダンは黙ったままヒンギルの話を黙って聞いている。


「道中は特に問題は無く、俺達は地下遺跡に到着した。その直後、ファンが異常事態を察知した」


「洞窟では使えなかったけど地下遺跡は広い空間だからね、〈生命調査〉(ライフリサーチ)を使ったんだ。そしたら魔物と思われる反応が一つと複数の人間の反応を地下遺跡内部で感知した。人数的に二つの班が合流し戦闘を行っていると判断した。僕の報告を受け、すぐさまアルナイル君も〈生命調査〉を使い確認していた」


ダンはアルナイルに視線を向け、それを察してアルナイルは口を開く。


「はい、私も〈生命調査〉を使い、同じ反応を感知しました。私達三人が急いで遺跡内部に向かっている途中に死亡、もしくは瀕死の状態の反応が二つから三つになり、戦闘中であると判断しました」

「なるほど・・」


ダンは少し姿勢を崩しながら言葉を続ける。


「そこで君達はあの魔物に遭遇したと、そうだな?」

「そうだ、遺跡内部に入る前に中から四人の負傷している騎士が出て来たので遺跡内部の状況を聞き、俺の魔法で城に送った。中には二人の騎士団長が残り戦っているとの事だったので、俺達も加勢するべく遺跡内部に突入し・・・貪欲獣(デヴァウワー)に出会った」

「貪欲獣か・・・」


ダンの呟きを耳にしながらアルナイルは貪欲獣との戦闘を思い出す。

十数メートルという今まで相手にしてきたどの魔物よりも大型の魔物で、しかし小型の魔物の様な素早さで移動し攻撃してくる恐ろしい身体能力を持ち合わせていた。


戦闘中はそれほど気にしていなかったが、見た目もかなり不気味だった。

おまけに体毛には魔法を軽減する性能が備わっており、よくよく考えればあんな地下遺跡に現れていいような魔物ではない様に思う。


「そう、王家の秘密である地下遺跡に貪欲獣が現れた、何故なのか?それが問題なんだよ」

「問題はもう一つある」


ダンが再び姿勢を正し、再び険しい表情をしながら言った。


「私達がヒンギルの応援を受け、地下遺跡に到着した時にはすでに貪欲獣はお前達によって倒されていた。その後、戦闘をし疲弊、負傷していお前達を先に城に帰還させ、私達が引き続き地下遺跡の調査を行った。そうだな?」

「あぁ」

「ヒンギル、お前は隊を四つの班に分け行動し、お前達を合わせて三つの班が地下遺跡では合流したんだな?」

「そうだ」

「・・・地下遺跡でお前達と合流しなかった班が、地下遺跡へと続く道中の洞窟内部で四人とも死体で発見された」

「なにっ!?」

「何だって!」

「えっ!?」


ダンの報告は衝撃的なモノだった。

ヒンギルがダンに質問する。


「死因は何だ?」

「四人とも一撃で胸を貫かれていた。傷口から推測するに、凶器はかなり細身の剣だと思われる」

「殺人か…」

「現在犯人を調査中だが、まだ確かな事はまだ何も判明していないのが現状だ。とはいえある程度の予測はついている」


「犯人の目星が付いているんですか?」


二人の会話を聞いていたアルナイルは、たまらずダンに質問した。

だが二人の反応はアルナイルの期待に応えるものではなかった。

ダンとヒンギルはアルナイルの方に顔を向けたかと思えばすぐに視線を逸らした。


時間にしては数秒程の長い沈黙が続き、アルナイルが切っ掛けである自身の発言を取り消そうと口を開いた。


「失礼しました、話の途中に申しわ__「別にいいんじゃない?アルナイル君には話してあげてもさ」


アルナイルの言葉をファンが重ねて遮った。

意外そうな表情を向けるアルナイルを横目に、ファンは言葉を続ける。


「秘密の一つや二つアルナイル君に知られても今更って話でしょ?それに地下遺跡で貪欲獣を倒せたのは間違いなくアルナイル君のおかげだよ??アルナイル君には知る権利があると思うなー僕は」

「ファン、だがこれは・・・」


ファンの言葉に悩むダン。


「ヒンギルはどう思うんだい?」

「俺は嬢ちゃん次第だと思う。おい、嬢ちゃん」


ヒンギルがアルナイルに問いかける。


「はい」

「嬢ちゃんが今から知る情報は、秘密にしていればいいなんて優しいモンじゃない。それを知っているだけで嬢ちゃんの未来が変わるモンだ」

「はい」


ヒンギルの言葉を聞いてもアルナイルの意志は揺るがなかった。


「ダン長、嬢ちゃんも覚悟はあるみたいだぜ?それに嬢ちゃんはもう無関係とは言えないだろ?」

「・・・分かった」


ファンとヒンギルの説得により、ダンはアルナイルに今回の件について現在判明している事を告げる。


「まず、今回地下遺跡でヒンギルの隊が遭遇し多大な被害を出した貪欲獣についてだが、あれは本来この島に居る筈の無い魔物だ」

「・・・海を渡って来たと言う事ですか?」

「それはあり得ない、貪欲獣に遊泳能力は備わっていない」


ダンの説明を聞いてアルナイルは考える。


(貪欲獣はこの島に生息していないし、海も渡れない。それなのに何故か地下遺跡に現れた、つまりは・・・)


アルナイルは一つ考え付いた事をダンに伝えた。


「もしかしてなんですけど・・・貪欲獣は何処かから地下遺跡に侵入したのではなく、地下遺跡で生まれたって可能性はありませんか?」

「ほう?」


自分でも半信半疑で言った事に、思いのほかダンが反応した事にアルナイルは驚いた。


「君の推測は中々に鋭い、結論をいえば私も同じ考えだ。あれから再度地下遺跡を調査したが、地下遺跡に続く侵入経路に貪欲獣が通れる程の大きさのモノは見つからなかった」


そう言った後、ダンはアルナイルの眼を強く見つめる。この先の言葉を聞く覚悟があるかを問われているかの様に思われ、アルナイルも力強くそれに応える。


アルナイルの表情をみてダンも覚悟が決まり、アルナイルに告げた。


「貪欲獣についてだが・・・あれは正確には魔物ではない」

「え?」

「貪欲獣は帝国の技術により、人の手によって姿形を変えられた・・・人間なのだ」





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