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星が照らす行先は  作者: 健健
二章 地下遺跡
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 洞窟の内部は緩やかな勾配になっておりほぼ一本道の下り坂だった。

アルナイル達は道中を警戒しながら進んで行くが、魔物どころか痕跡さえも洞窟内には確認できない。


地下遺跡に住み着いた魔物達の侵入経路が洞窟からではないと判断したヒンギルが、魔法石が嵌められた透明な掌サイズの板を取り出した。


これは通信板と呼ばれる物で、魔力を通じて音を届ける道具である。

ヒンギルが通信板に魔力を流すと淡い青色に発光し、通信板に向けて話し始めた。


「こちらはヒンギル・ターチ、状況を報告したい。応答可能か?」


数秒後、通信板から応答が返ってくる。


「こちらはダン・バルダン、聞こえるか?」

「問題ない」


通信板から聞こえてきた声の主はダンだ。

ヒンギルとダンは通信板を使い、互いに報告をしあう。


「西の洞窟の探索の結果、魔物の痕跡は見当たらなかった。そっちはどうだ?」

「東の洞窟も今の所そちらと同様、魔物の痕跡は見つかっていないな」

「そうなると魔物は予想通り、俺達の知らない地下遺跡への侵入経路を通っている事になるな」


「ふむ、洞窟からでは無いとすると、やはり可能性が高いのは海からの侵入か・・・よし、お前達はそのまま地下遺跡に向かえ。西の洞窟は地下遺跡最下層の地底湖付近に出口がある、そこから上層に向かって探索してくれ。我々は地下遺跡の上層から下層に向けて探索をする」

「了解だ」

「中層にある広場を合流地点に、一度落ち合う事にしよう」


互いに報告をし会い、これからの行動を話し合ったヒンギルは皆に指示を出す。


「洞窟の探索は切り上げ、これより地下遺跡の探索へと移行する。出口はすぐそこだ、洞窟を抜けたらまた指示を出す、では行くぞ」


 ヒンギルの指示により、アルナイル達は再び洞窟を進む。

暫く進むと、もうすぐ出口だとヒンギルが告げた。


それを聞いたアルナイルは、列から横に身を乗り出し前方に目を向ける。

暗くてよく見えなかったが、出口だけははっきりと確認する事ができた。

洞窟の中のはずなのに、何故か奥の方から光が漏れていてからだ。


その光の中へヒンギルが入っていくのを見て、やはりあれが出口だと確信するアルナイル。


それに続く隊の皆も、それに疑問を思う様子もなくヒンギルの後に続いていく。


洞窟の出口から何故光が漏れているのか不思議に思いつつ、アルナイルは洞窟の出口を抜けていくのであった。



________________________


 ヒンギルを先頭に、アルナイル、ファンの並びで三人は細い通路を進んでいた。


アルナイルは歩きながら地図を広げ、自分達の担当する道を確認している。


ヒンギルの指示により隊を四人ずつの班に分け、それぞれ別の道を探索する事になったからである。


地図を見て道程を覚えたアルナイルは、地図をしまいながらヒンギルに問い掛ける。


「ヒンギルさん、私達の班は三人だけで大丈夫なんですか?他の班は四人ずつで分けていましたけど」

「ホントは俺達も四人の班にするつもりだったんだが一人足りなくてな」


「心配しなくても大丈夫だよアルナイル君?ヒンギルと僕が居る時点で、戦力的には騎士四人の班と変わんないよ??おまけついでにアルナイル君もいる事だし安心しなよ」


「おまけは余計です」

「まぁファンの言う通り戦力的には問題ない、それよりもそろそろ最下層に出る頃ぞ。二人とも気合入れろよ」

「はい」

「了解」


 暫く進むと細い通路から一転、大きく開けた場所に辿り着いた。

そこで見た光景にアルナイルは強い衝撃を受けるのであった。


「凄い・・・」


アルナイルの目の前には(あま)色に輝く地底湖が広がっていた。

向こう岸まで目算で凡そ五百メートルはあるであろう大きな地底湖の中心には、巨大な建造物が建てられている。


それを追うよう上を見上げたアルナイルは更に感嘆の息を漏らす。


地底湖の天井には、まるで星空の様な光景が映し出されていたのだ。

今まで通ってきた洞窟の壁は微かに白く光っているだけであったが、地底湖の壁はより強く青白い光を放っている。


しかし天井部分はそのどちらとも違う(すみれ)色に淡く輝いており、所々に点々と強く光る様子も相まってとても神秘的な光景であった。


アルナイルは任務中でありながらこの光景を目に焼き付けていた。


「まずは地底湖の周辺から探索をするぞ、他の班もこの地底湖周辺に出てくる頃だな」


ヒンギルの声で我に返ったアルナイルは、再び気持ちを切り替え任務に集中する。

改めて建造物を確認すると、地底湖の天井を突き抜けているように見える。


「ヒンギルさん、地底湖の中心にある建造物って・・・」

「ああ、あれが目的地の地下遺跡だ。今いるここは地下遺跡最下層にある地底湖だな」

「地下遺跡は上の方にまだ続いているんですか?」

「実は地下遺跡の上層は地上まで続いているんだ」

「え?それって地下遺跡って言っていいんですか?」

「上層があるのは深い峡谷の底でな、地下といっても問題ないぐらいには深い場所なんだ。それに王家が儀式を行う場所はここ、地下部分の深層だからな」

「なるほど」

「ちょっといいかい?緊急事態だ、先に地下遺跡の最下層内部に向かおう」


急に二人の会話に入り込んできたかと思えば、その直後走り出したファンの表情は何時もと違い真剣なをしており、すぐさまそれに気付いた二人はほぼ同時に、ファンが向かった地下遺跡最下層へと走り出す。


「何があった?」


走りながらヒンギルがファンに問いかける。


「洞窟内では遮るものが多かったから感知できなかったど、今ははっきり魔力を感知できるようになった。だから〈生命調査〉(ライフリサーチ)を使ってみたんだ」


ファンの言葉を聞き、すかさずアルナイルも〈生命調査〉(ライフリサーチ)を使った。


「ヒンギル、地下遺跡の最下層内部で複数の人間と魔物の反応を感知した。おそらく戦闘中だ」


その結果は、アルナイルをひどく動揺させるモノだった。


「死亡直後かそれに近い状態の人間の反応が二人、まだ生きている反応が六人・・・いや、たった今五人に減った、それに対し魔物の反応は一つだけだ」

「・・・それは本当か?」

「本当ですよヒンギルさん、私も〈生命調査〉(ライフリサーチ)を使っていますが同じ結果です」

「アルナイル君の言った通りだよ・・・どうやら超絶危険な魔物が侵入しちゃったらしいね」



先頭を走るファンが振り返らず二人にそう告げるその声は、何時もより重いモノであった。


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