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星が照らす行先は  作者: 健健
二章 地下遺跡
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ヒンギルと一緒に再び城に来たアルナイルは、ヒンギルの案内で城内を進んでいた。


「お疲れ様です、ヒンギルさん」

「おう、ご苦労さん」

「あれ?ヒンギルさん、今日はもう城を出て行かれたのではなかったんですか?」

「ちょっくら訓練場に用が出来たんでな?今は訓練場は空いているか?」

「そうですね、今の時間は個人的に使用している者達しか居ないかと思います」

「そうか、ありがとよ」


訓練所に向かう途中、すれ違う兵士から度々声を掛けられるヒンギルを見て、顔が広いのは本当なんだなとアルナイルが感じている内に目的地に着いた。


「着いたぜ、此処が訓練場だ」

「おおー!」


通路を抜けた先に広がっていた城の訓練場は、何時もアルナイルが通っている訓練場よりも何倍も広かった。

天井は吹き抜けになっており上からは日の光が差している。


地面も綺麗に整備され色々な道具が揃えられていた。

これが城の訓練所かと心躍らせるアルナイルだが、一つだけ普通の訓練場とは違う部分が気になった。


「ヒンギルさん、一つ聞いてもいいですか?」

「なんだ?」

「訓練場の周りの事なんですけど・・・」


訓練場は高い壁に囲まれているのだが、その向こう側は沢山の観客席らしきモノが並べられている。


「周りのアレってもしかして」

「もしかしても無く観客席だが?」

「どうして訓練場に観客席が用意されているんですか」

「ここは普段は訓練場だがな、催し物なんかがある時はその会場になんかになるんだよ」

「催し物ですか?」

「兵士達と騎士達ごちゃまぜの闘技大会とか、騎士同士の決闘なんかも此処でやったりするぞ」

「なるほど」


何時もとは違う訓練場というだけで何故だか気持ちが上がってしまうのに、更には施設も充実していると来た。


アルナイルはさっそく訓練を始める事にした。


先程ヒンギルと会話をしていた兵士の言った通り、訓練場を利用している者はちらほらと数人程しかいない。


これならいつも通り集中出来るが、訓練場を利用している他の人達の邪魔になってはいけないので、ある程度離れた距離に移動する事にした。


周りを確認してから、まずは普段通り魔力を練る事から始める。

訓練を始める前に必ず行う準備運動の様なモノだ。ベナトを含め、魔法の師達全員から言われたのだ。


曰く、その日の自身の調子が分かるのだと。


アルナイルとしては、意味は分かるが実感した事は一度もない、というのが本音だった。

単に魔法の師達が年を取っているから、身体のちょっとした不調が魔力に影響されやすいだけではないか?と、密かに思っていたりする。


思ってはいるのだが・・・


(年寄り扱いなんかしたら、あの人達怒るからなぁ・・・)


口には出さないし、出す予定も度胸もアルナイルは持ち合わせてはいないのだった。


言わずもがなあの人達の中には、ベナトも勿論含まれている。


そう思いつつ、もはや身体に染み付いた一種の癖になっているコレを行う為に、アルナイルは目を瞑り、両手の掌に集中して魔力を錬る事にした。


相も変わらず普段の調子で、両手の掌に五つの異なる魔力を帯びた光球が現れる。


それからアルナイルは、水属性と木属性の魔力を錬るのを止める。


「なんだ嬢ちゃん、今日は得意な方はやらないのか?」


それに気付いたヒンギルが声を掛ける。


「はい。ベナトばあちゃんから二等級の評価を貰ったので、最近は訓練内容を変えているんですよ」


実は傭兵生活を始めて一年目を終える頃、アルナイルはベナトから水属性と木属性の魔法に対して二等級と認められたのだ。


アルナイルによってその日は祝日となり、傭兵の仕事も休んでベナトと二人で家で祝い明かした。


その日、深夜まで中々寝付けなかったのは、滅多に飲まないワインを丸々一本飲んだだけではないだろう。


アルナイルの返事に対し、驚きをみせながらヒンギルが問い掛ける。


「なに?水と木属性両方ともか??」

「はい」

「そいつは凄いな嬢ちゃん」

「でしょう!」


ヒンギルの反応に対して満面の笑みを浮かべてアルナイルは答える。


「なので暫くは、中断していた他の属性の訓練を再開する事にしました。この三属性は四等級の評価は貰っているので、取り合えず三等級を目標に壁を感じるまでは訓練しようと思いまして」

「なるほどな、確かに才能を腐らせたままにするのはもったいねぇもんな」


納得したように頷きながら返事をするヒンギルは、再びアルナイルに質問する。


「因みにその三属性はどんな魔法が使えるんだ」

「金属性は〈形状変化〉、火属性は〈荒炎(フレイム)〉と〈激炎(ブレイズ)〉、土属性は〈創造〉(クリエイト)が使えます」

「ふむ、金属性は〈形状変化〉が出来るのに土属性は使えないのか?」

「はい、そうなんですよ」

「成程な」


アルナイルの返答を聞いて、ヒンギルが少し考えるような素振りを見せる。


何度か頷いた後、ヒンギルが口を開いた。


「つまりは、火属性は〈荒炎〉(フレイム)〈激炎〉(ブレイズ)が使えるなら戦闘でも役立つし問題ない。金属性は〈形状変化〉が出来れば上出来だ、金属性の〈創造〉(クリエイト)が出来る奴は周辺の大陸を数えても、片手で数えられる程度に希少だからな。残るは土属性だがこれが少し問題だ。〈創造〉(クリエイト)が使えるのは良い事なんだが〈形状変化〉が使えないのが痛い。土属性は〈形状変化〉が使えて初めて、日常生活にも戦闘にも有効活用できる属性だからな」


そこまで言ったヒンギルに対し、アルナイルは頷きながら言った。


「はい、なので当面の訓練では火属性の今以上の上達、それから土属性の〈形状変化〉を出来るようする事を中心に行っていく予定ですね」

「金属性はやっぱり後回しか?」

「そうですね・・・私としては魔法の訓練は楽しいので金属性もやりたいんですけど、優先度は低めですね。才能の壁を感じてます」

「そうなのか?」

「そうなんです」

「残念だな」

「はい、とても残念です」


金属性の才能の壁を感じた時、一日中その事で頭が一杯になる程の衝撃を受けたアルナイルだったが、翌日には気持ちの切り替えは出来ていた。


魔法の師達から教わって身に着けた心構えが役立った。 

          

(得手不得手が有るのは当たり前・・・私は私が出来る事を出来るまでやれればそれで十分・・・)


気持ちを切り替え、アルナ再び訓練を再開するのであった。




      

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