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星が照らす行先は  作者: 健健
二章 地下遺跡
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「それでは明日の午前五時に城の中央広場に集合って事でいいのかな?」

「それでいいだろう。できればあまり目立たない時間帯に出発したい。それに地下遺跡まで距離がある。往復の時間も考慮すればその時間が妥当だろう」


一時間程の話し合いの結果、地下遺跡に赴く人数はアルナイルとヒンギル、ファンに加え、城からも兵士を出す事になった。流石に三人だけで地下遺跡に行くには危険と判断された。


ならば魔物討伐が仕事であるアルナイル達傭兵を増やすかといったら、そう簡単な話ではない。

今回の依頼先の場所が場所だけに、これ以上関係者を安易に増やす訳には行かなかった。

アルナイルが今回参加する事になったのは、ヒンギルとファンのお墨付きがあっての例外なのだ。


ならばどうするかと悩んだが、ダンが解決策を出した。


「では、騎士団の中から地下遺跡の存在を知っている者を出そう」

「どれくらいの者が居るんだ?」


ヒンギルが尋ねる。


「そう多くは無い。だが王家が地下遺跡で儀式を行う時は必ず、騎士団長かそれに準ずる者が護衛に付く決まりになっている」


その言葉にファンが反応する。


「と言う事は、騎士団長クラスの者達を今回の任務に同行させるって事?随分と豪華になりそうだね」

「今回の件は失敗は許されない。致し方あるまい」


それからは細かな打ち合わせを行い、最後に明日の集合時間を決めて話し合いは終了した。


軽い緊張状態であったアルナイルもそれが解け、

さて今日はこれからどう過ごそうか、流石に明日は早いし今日はギルドの依頼は受けない方がいいだろうか?


等とアルナイルが考えていると、ダンが三人に声を掛けた。


「さて、今日はここで解散してもいいのだが・・・」


そう言いつつ、ちらっと壁に掛けてある時計を確認し、


「昼食はまだかな?そうであれば美味い飯を出す店を知っているのだが・・・どうかね?」


そう聞かれたアルナイルは、ダンと同じように時計を見る。

時計の針は午後二時を少し過ぎた時刻を指している。


(そういえばお昼前にギルドを出てから何も食べて無い・・・)


そう思い出した瞬間、猛烈にお腹が空いている事に身体が気付いてしまった。


「ぐぅぅぅ・・・」


アルナイルが口で返事を返すより先に、お腹の方が同じ部屋にいる者には聞こえる程度の音で、勝手に返事を返していた。


「・・・・」

「・・・・」

「・・・・ふふ」

「それでは今日の昼食は私の奢りだ。ヒンギルとファンも来い。世間話の続きと行こうじゃないか」


こうしてダンの奢りで四人は一緒に食事に行く事になった。


(いつか絶対にぶん殴る・・・)


一人笑ったファンに対し、アルナイルの胸の内に秘めたる誓いが宿った事は言うまでもない事である。




___________________________


ダンが三人を昼食に招待した店は、城から少し歩いた場所だった。


アルナイルはシチューとパンを注文し、他の三人は骨付き肉と生野菜の盛り合わせ(大盛り)を頼んだ。


バンの言う通りどれも美味しく、三人は満足していた。


食事中、ダンとヒンギル、ファンの三人は久しぶりに揃って顔を合わせたらしく、随分と話が弾んでいる。

アルナイルは暫く会話に参加せずに食事に集中していたのだが、三人の会話が少し落ち着いた時に興味本位でバンに質問をした。


「騎士団長、一つ質問があるのですが・・・」

「公の場でなければ名前で呼んでくれても構わない」

「わかりました。それで質問なのですが、ダンさんはヒンギルさん達と昔からの知り合いなんですか?」

「ふむ?気になるか?」

「正直な所かなり気になります」


アルナイルがそう言うとダンは少し笑いながら軽く昔話をし始める。


「ヒンギル達と初めて会ったのは当時、私が傭兵ギルドのギルド長をしていた時だったな」

「えっ?ダンさんって元傭兵ギルドのギルド長だったんですか?」

「ああそうだ。当時私がギルド長として働いていた時、ヒンギル達三人は同じ時期に新人として傭兵ギルドに所属し、私が傭兵としてイロハを教えたのだ」


ヒンギルとファン、それからベナトの若い頃の傭兵時代を想像し、アルナイルは何か可笑しくてつい笑ってしまう。


「ヒンギルさん達にもそういう時期があったんですね」

「ひどいな嬢ちゃん、誰だって初めは教えてくれなきゃ右も左も分からないもんなんだよ。何事においてもな」

「いやー随分と懐かしいね。もう二十年以上前の事だよ」


ファンは昔の記憶を懐かしみ、ヒンギルは酒を飲みながらアルナイルが笑ったのに対して言い返した。


「最初の頃はベナトの奴が随分と苦労していてな、当時からファンは癖がある性格をしていたものだからパーティーメンバーが離れていったんだ」

「僕が悪いのかい?ひどいな~」

「それにファンの当時の実力は三等級に匹敵していた。他の同期の傭兵とは実力差があった事も原因の一つだったな」


ベナトも当時のファンには手を焼いていたが、実力は本物で一緒にいたと言っていたなとアルナイルは思い出した。


「それで私はファンと付き合っていける人材として、まだ固定のパーティーを組んでいなかったヒンギルをベナトに進めた」

「ヒンギルさんはダンさんの紹介でベナトばあちゃんとパーティーを組んだんですね」

「えっ?僕それ初耳なんだけど??」


そこでアルナイルは一つ疑問に思ったことをダンに聞いた。


「でもベナトばあちゃんとヒンギルさん、それにファンさんの三人だけでパーティーを組んだんですか?ベナトばあちゃんやファンさんから聞いた話では四人パーティーが基本だって・・・それにベナトばあちゃんも四人で組んでいたって言ってましたし」

「あぁ、四人目は私だよ」

「バダさんが?でもダンさんは当時はギルド長だったんですよね?」

「まぁ普通ではなかったな」


理由は色々あったのだが・・・と呟きながらヒンギルとファンに視線を合わせてダンが続ける。


「ヒンギルが光の魔力を持っていたのが大きな理由だな。王家はヒンギルを欲しがり、ヒンギル自身もそれを受け入れていた。ヒンギルが自分の意志で王家に身を置くまでの安全の確保が一つ」

「なるほど」

「それからもう一つはファンの教育だな」

「ファンさんの?」

「そうだ。当時私は王家から騎士として迎え入れたいと声が掛かっていたのだ。だが次のギルド長が決まっていなかった。そこで私はファンに目を付け、私の後釜として育てる事にした」


アルナイルはファンの方に顔を向ける。

此方を見ながらニヤニヤした笑顔を向けてくるファンと目があった。


「なんでファンさんなんですか?」

「随分と嫌われているな、ファン」

「アルナイル君はひどい事いうね」


言葉の端に、暗にこの人じゃなくても良かったのではないか?と聞くアルナイルに、ダンは思わず笑う。


「ファンは実力も十分、頭も切れる、何より人の観察と扱いに長けていた」

「そうなんですか?」

「実際ファンはギルド長として今現在、上手くやっているだろ?」

「それは・・・まぁそうですけど・・・」


アルナイルは傭兵として働いてきた今までの二年間を思い返す。

確かにファン個人に目を向ければ、人をからかって遊んだり嫌がる事を積極的に行うし、礼儀を見せる事もない。


何か人として大事な部分が欠けているのでは?と思う所もあるが、ギルド長としてみるならば評価は高いと言わざるを得ない。

仕事はこなすし人員の割り振りも上手い。聞いた話では、傭兵ギルド内の人間関係のトラブルも、ファンがギルド長になってからは減っているらしい。


傭兵達への依頼の割り振りが上手なのも、個人の実力とパーティーの実力を正確に把握してる故なのだろう。


「・・・受け入れ難い事実って本当にあるんですね」

「事実を受け入れる強さも傭兵には必要な事だよ?アルナイル君??」

「お前はもう少し人としての優しさを身に着けるべきだ」


それから先はベナトから聞いた内容と同じ様な話が続いた。

ベナトが傭兵を引退した事を切っ掛けに、ヒンギルが王家に入りパーティーは解散。


それから数年、ダンはファンの教育を終えたと判断し王家の騎士に就任、ファンがギルド長になり今に至るという訳らしい。


「さて、そろそろ行くとしよう。みんなも暇ではないだろう?私もこれから仕事が控えているからな」

「僕もギルドでの仕事が残ってるんだよね」

「ダンさん、今日はご馳走様でした」


四人は食事を終えて店を出る。

それではまた・・・と、ダンが初めに別れ、ファンもギルドに戻る前による場所があると言って何処かに向かっていった。


残るはアルナイルとヒンギルの二人。

アルナイルはここから先の計画は何も無く、はてさてどうするかと考える。


「嬢ちゃんは今日は予定はもう無いのか?」


そんなアルナイルに同じく残ったヒンギルが声を掛けた。


「そうですね・・・とりあえず明日に備えて今日は依頼を受けない事にします。なので訓練所にでも寄って帰宅する事になりそうですね」

「それなら兵士達が何時も使っている城の中の訓練所を使うか?」

「いいんですか?」

「大丈夫だろ。俺の顔の広さを舐めるなよ?」

「ふふっ、実際大きな顔ですもんね」

「おっ!いうようになったじゃねぇか嬢ちゃん」


がははと笑いながらヒンギルが城に向かって歩き始め、アルナイルもそれに続いて足を進める。


道中、ベナトの話やヒンギルの城での生活等、他愛のない話をしながら二人は城へと向かっていった。



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