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星が照らす行先は  作者: 健健
二章 地下遺跡
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人の手が加えられた形跡が見て取れる洞窟を、アルナイル達一行は周りを警戒しながら進んで行く。


「そろそろ洞窟を抜ける頃だ。気を引き締めろよ」


先頭を歩いていたヒンギルが後続に声を掛ける。

アルナイルが前方に目を向けると、遠くの方に僅かに漏れる光が見えた。

アルナイルは疑問に思う。


地下遺跡に向かう為に洞窟を進んでいる筈なのに、その出口が明るいのは何故なのか?

少なくとも一時間近くは明らかに下に向かっているこの洞窟を進んできた筈だ。


不思議に思いながらアルナイルは洞窟の出口を出た。

洞窟の先は左右を岩壁に挟まれようになっており今まで通ってきた洞窟よりは開放感がある。


瞬間、上の方から眩しい光がチラチラとアルナイルの瞳に当たる。


「え?」


アルナイルが上を見上げると、遥か先までそびえ立つ岩壁と岩壁の間から太陽が顔を出していた。


「洞窟を下って行った先で日の光を浴びる気分はどうだい?」


驚いている様子のアルナイルにフィンが声を掛ける。


「驚きですね・・・それでここはこんなに明るいんですかね」

「ん?あぁ違うよ。日の光が差しているとはいえ此処は大体地下二百メートル付近の場所だからね。日の光だけじゃこんな明るさは出ないさ」

「じゃあなんでこんなに此処は明るいんですか?」

「周りをよく見てみなよ」


そう言われ周りを見渡しても岩壁しか見えない。

だがよく注意してみると岩壁がほんのりと光を発している事に気が付いた。


「この島の地下には魔力に反応して光を発する物質が多く含まれていてね。それが魔力が豊富にあるこの島の特性と合わさって、この島の地下空間は手元が見える程度には明るい場所が殆どなんだよ」

「なるほど」


アルナイルが周りの光景に関心を示しているとヒンギルが声を張り上げ全体に号令を出した。


「ここから先の地下遺跡へと続く道では、人数を分けて行動する。通路は一つじゃないし狭いからな。班分けは此方で決める」


そう言ってヒンギルが班分けをしていく。

城の騎士四人の班が四つ、そしてアルナイルとファン、ヒンギルの三人の班で計五つの班になった。


「よし、同じ班の奴の顔は覚えとけよ。それから連絡手段として一つの班に一つずつこれを渡しておく」


そういいながらヒンギルが掌サイズの青く透き通った四角い板を出す。


「こいつに魔力を流せば互いに通話が可能だ。但し、馬鹿みたいに魔力を使うから頻繁には使用するなよ。それにもし壊したりなんかしたら、半年はタダ働きだと思えよ」


そう笑いながら各班に配る。それと同時にに地下遺跡の地図も渡していく。


「各班の仕事はそれぞれ道中の魔物の討伐、及び魔物の侵入経路の確認だ。合流地点は地下遺跡前の広場とする。二時間後を目安に合流し互いの報告をしあった後、全体で地下遺跡内部の行う。何か質問はあるか?」


ヒンギルが見渡す。


「質問は無いな?よし、ではこれより行動開始だ、各々の無事を祈っている」


こうして自分達が担当する道へと、各班は地図を頼りに進んで行くのであった。




___________________________


一日前・・・・


 ヒンギル達とのギルドでのやり取りの後、少し昼時を過ぎた時刻にはアルナイルはヒンギル達と共に王家の城門前の広場まで来ていた。


「やれやれやっと着いたよ。普段なかなか動かないから体力が落ちたかな?」


大げさに体を動かしながらファンが言う。


「何を言ってやがる、ファン。お前は死ぬまで現役だっていってたろ?」


ヒンギルが言い返す。


「というか、ファンさんも一緒に来る必要があったんですか?」


今まで言わなかった疑問をアルナイルが聞く。


「あれ?言ってなかったっけ?僕も今回の依頼に同行するんだよ」

「聞いてません」

「今言ったから別にいいだろ?何か不都合があるわけでもないしね」

「情報の共有は大事だと思いますけどね」


そんな会話をしていると、いつの間にかヒンギルが城門の門番と話を付けていた。


「おい何してんだ、さっさと行くぞ」

「はい」

「はいはーい」


ヒンギルを先頭に三人は城門を抜ける。


「今は何処に向かっているんですか?」

「これから王家直属の(セイ)騎士長と会って話を付ける」

「星騎士長!?そんな偉い方とこれから会うんですか?」

「それはそうだよ。ギルドでも言ったろ?今回の依頼現場の地下遺跡は王家も秘密にしておきたい場所なんだよ。必然的にごく一部の限られた者しか地下遺跡の事は知らないんだよ。で、星騎士長はその一部の者って事さ」


「なるほど」


そんな会話をしながら城の中を進んで行くと、大きな扉の前でヒンギルが止まった。


「お疲れ様です、ヒンギルさん。星騎士長は部屋の中でお待ちです」

「おう」


そう言うと、兵士は扉をノックした。


「何の用だ?」


扉の向こうから低い声が返ってくる。


「星騎士長、ヒンギルさんがお着きになられました」

「やっとか、通せ」

「はっ」


兵士が扉を開け、ヒンギルを先頭に三人は部屋の中に入った。

白銀に輝く騎士の鎧を身に纏った人物が、部屋の中心に置かれた椅子に腰かけ此方を待っていた。


それ程年を取っているようには見えないが、短く刈り上げられた髪は真っ白だ。

鎧と相まって、アルナイルの彼に対する第一印象は白い人に決まった。


部屋に入るなり彼が声を掛ける。


「約束の時間を過ぎている様だが?」

「三十分しか遅れてないぞ?」

「遅刻は遅刻だ」

「いいじゃないですか三十分くらい。星騎士長には三十分程度の時間のゆとりもないんですか?僕達これでも急いで来たんですよ??」

「傭兵達のお前に対する不満が簡単に想像付くな。もう少しギルド長としての自覚をだな」

「あ、その話は散々されてるんで却下で」

「おいヒンギル、此奴をどうにかしろ。元パーティーメンバーだろ」

「それは無理な話だな。あんたもそれは身に染みて知っているだろ?」

「知っているとも。言わずにはいられないだけだ」


アルナイルを他所に、三人は会話を弾ませる。


「ところで君は?」


自分の事をそっちのけで会話を弾ませる姿を見て、なんだか少しだけ疎外感やら居心地の悪さやらを感じていたアルナイルに彼が声を掛ける。


「初めまして、私はアルナイルと言います。ギルドに所属している傭兵です」

「うむ、私は星騎士長のダン・バルダンだ。それで君は今回の件にどう関わってくるのかな?」

「えっと、あの・・・ヒンギルさんとギルド長から今回の依頼に同行して欲しいと頼まれましたので、今この場にいるのですが・・・」

「ふむ・・・どういう事だ?」


ダンはヒンギルとファンに視線を移し質問する。


「そういえば紹介がまだだったな。この嬢ちゃんは前にちらっと話した、俺が魔法を教えた嬢ちゃんだ」

「お前が魔法を?ならば彼女はお前と同じなのか?」

「あぁそうだ。それにかなりの魔法の使い手だぞ?」

「ふむ?まだ若いようだが・・・お前やファンが言うのならそうなのだろう」

「しかも聞いて驚け?嬢ちゃんはベナトの娘だ」

「ほう?」


再びアルナイルに視線を向ける。


「君はベナトの娘だったのか。ベナトの娘ならば魔法の腕前も信頼できるものだな」

「ありがとうございます」

「それにしてもベナトに娘がいたとはな・・・ベナト達の事は若い頃から知っているが、やはり意外だと言わざるを得んな・・・さて、世間話はここまでとするか」


そうダンが言うと四人は世間話を切り上げ、今回の件についての話を進めて行くのであった。


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