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星が照らす行先は  作者: 健健
一章 アルナイル
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(彼は今なんと言った?まさか、からかってるのか?いや、彼はベナトばあちゃんの知り合いだと言っていた。無駄な嘘は付かないだろうし。いや、だけどそんな都合のいい話があるの?でも・・・)

 

いろんな情報が一気に頭に入って来て思考が停止してしまう。

なんて言えばよいのかわからず、それでも何か言わなければと再度、思考を再開し頭の中でグルグル考えていると・・・


「おい、大丈夫か?どうしたんだ急に?」


急に黙りこくって動かなくなったアルナイルを心配してヒンギルさんが声を掛けた。


ハッとして再度、アルナイルの思考が止まる。

大丈夫ですと返事をしながら、先程よりは少し落ち着いた頭で再度、ヒンギルの言ったセリフを思い出す。


「失礼しました。急な事だったのでちょっと混乱してしまいまして・・・少し質問してもいいですか?」

「おう、そうか。なんでも聞いてくれてかまわないぞ」


少し気持ちが昂っているのを落ち着かせる為に軽く深呼吸をして、聞きたい内容を頭で整える。



一つ目の質問・・・


「ヒンギルさんは光魔法を使えるんですか?」

「あぁ使えるぞ。」


心臓が激しく脈打つ。


二つ目の質問・・・


「ヒンギルさんは光魔法を人に教える事が出来るのですか?

「出来る。実際に教えた事も有るし、俺が教えた奴はちゃんと使えるようになった」


気持ちは高揚し、にやけそうになるのを必死に抑える。


最後の質問・・・・


「・・・私は、本当に光の魔力を持ち合わせているんですか?」


そして何より一番の衝撃は__


「あぁそうだ。嬢ちゃんは俺と同じ、光の魔力を持ち合わせている。この本にのっとった言い方をするなら、嬢ちゃんは継承者の素質を持っている。俺が保証しよう」


無理だと諦めていた魔法を、習得できるかもしれない自身の魔法の才と、それを教えてくれる指導者に巡り合えた奇跡とも言える出会いに対してだった。





「じゃあ、まずは手始めに光の魔力をお前に流す。手を出しな」


少々興奮していた気持ちを落ち着かせた後に改めて、アルナイルはヒンギルの提案を受け、光魔法を教えてもらう事となった。


「お願いします」


そう言いながら右手を差し出す。


「いくぞ。ちゃんと感じ取れよ」

差し出された右手を掴みながらヒンギルはアルナイルに告げる。


(光の魔力はどんな感じ何だろう?ドキドキするなぁ)


アルナイルの頭の中は光魔法を学べる嬉しさで一杯だった。

今か今かと、握られた手から流れてくる魔力に集中する。


なのだが・・・


(・・・ん?あれ??)


今か今かと待ち続けるが、何時まで経っても光の魔力らしきものは感じ取れない。感じるのは何の変哲もない唯の魔力だ。

そう思いながら顔を上げてヒンギルを見る。


そんなアルナイルを見たヒンギルの表情は、やはりと言ったような何処か納得したようにニヤついていた。


「その様子だと、俺が流している魔力に何にも感じ取れてねぇみたいだな」

「はい」

「だがな、俺が流してる魔力は正真正銘、光の魔力なんだぜ?」


アルナイルの頭の中は再び困惑した。本日何度目かは覚えていないが。


(そんな筈は・・・だってこの魔力は私が何時も・・・)


「魔法を使う前に体内で練りこんでんのと同じ魔力。そんな感じか?嬢ちゃん」


アルナイルの考えを読んだかのように、ヒンギルはアルナイルにそう告げる。


そう、そうなのだ。


 アルナイルは魔法を発動するとき、各属性の魔力を練る前の準備とし練っている、属性を付けていない無色をイメージしている魔力とまったく同じモノだった。


「本当にこの魔力は光の魔力なんですか?」

「何度も言ってるだろ?これは正真正銘、光の魔力だ。やっぱり嬢ちゃんはこれが光の魔力だとは知らずに今まで魔法を使ってたみたいだな」


「まさかそんな・・・」


「最初此処に来た時に本を見て驚いたぜ、何でこんな所にってな。だが嬢ちゃんが魔法を使う時に光の魔力を感じてな。理解した。こっちに気付いて無い様子だったから先に本の状態を確認していた。俺はてっきり、嬢ちゃんは自分の魔力の事を知っていてこの本をアルナイルの奴からこっそり持ち出して練習してんのかと思ってたんだがな」


驚いているアルナイルを他所に、ヒンギルは言葉を続ける。


「無意識ながらも光の魔力を練れてるんなら話は早いぜ。本来なら光の魔力を練る事から教えなきゃならねぇからな。光魔法はソコが一番時間が掛かるんだよ」


「そうなんですか?本には巫女が亡くなった後、始めて確認された光の魔力持ちは小さな子供で、自分が練った魔力を親に見せたら光の魔力と発覚したと書かれていましたよ?初めから意識しなくても光の魔力を練れていたって事ですよね、私も同じ様なものじゃないですか?」


「確かに本に書かれている貴族の子や嬢ちゃんは、初めから光の魔力を練れたかもしれん。だがな、世の中には例外ってもんがあってな?嬢ちゃんや本の貴族の子なんかが正にそれだ」


アルナイルを指さしながらヒンギルは言った。


(私は例外・・・光魔法の才能があるって事かな・・・?)


 そう言ってくれてるのか、将又そうで有って欲しいのか。

ヒンギルは声量が大きく声の調子で判断はしづらいが、自分の事を評価してくれているのかとアルナイルは考える。


だが、その考えを自制する。

ちょっといい気になっている己を自ら嗜める。


ベナトやその他の魔法の師にここ最近、魔法関連の事で大いに褒めら評価されてきたアルナイルだが、魔法以外にも学んだ事がある。


人にはそれぞれ出来る事と出来ない事、得手不得手がありそれが普通。

自分が出来る事が他の人に出来るとは限らないし、逆も又然り。


魔法の才あるアルナイルに、ベナトを含め魔法の師達は訓練の初日に口を揃えてそう告げた。


魔法の世界は才能の世界だ。

魔力を練れるのも才能。

使える属性も適性という名の才能。

何より一番大きく関わる事、それは魔法の才能には限界値がある事だ。


魔法使いは才能の限界値まで魔法を鍛えるとそれ以上成長する事は無い。

限界値は個人個人で決まっており、判断する事は難しい。


 過去には、幼い頃からニ属性の魔力を練れた子供が、その才能を買われ他国の魔法学校に入学したが、その子の魔法の才能はそれが限界値だったなんて事がある。


そんな世界ではその才能を鼻をかける者が多くいるのも、ある意味当然の流れなのだろう。


 アルナイルは魔法の師以外の、ましてや同年代の魔法使いに関わる機会が無かった。だが傭兵になるなら嫌でも関わる事になり、そして比較してしまうだろう。


その才能の差をアルナイルがどう感じるかは分からないが、良くない方向に考えが向かってほしくない。


優秀な弟子として、自慢の立派な娘としてアルナイルを可愛がっている、ベナトや他の魔法の師達の想いが籠った教えだった。



教えを思い出しながらヒンギルの話に再度耳を傾ける。


「各属性の魔力を満足に練れるようになるには普通は五~六年、早くて三~四年掛かる」

「・・・」


アルナイルは木属性は三日、水属性は二週間、その他は一年だった。


「それに比べて光の魔力はその倍は掛かる。魔法使いなら日常的に感じる各属性とは全く異なる未知の魔力に加えて、魔力の練り方が根本的に異なるからな。嬢ちゃんは急に、あんたは他の人と違って耳だけで呼吸出来るから訓練しようって言われて本気で信じて訓練するか?しないだろ??」

「・・・・・・」


アルナイルは光魔力を日常的に練り、更に各属性の魔法も使える。


「俺が嬢ちゃんが例外って言った理由が分かったか?時間が掛かる手順をすっ飛ばして後は魔法を教えるだけだからな。ベナトの奴は随分と才能ある娘を持ったみたいだな」

「・・・・・・・・・」


どこか懐かしむような笑顔で、バシバシとアルナイルも肩を叩くヒンギル。


これは少しぐらいなら調子に乗ってもいいのではないか?

そう思ってしまうアルナイルだった。



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