表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星が照らす行先は  作者: 健健
一章 アルナイル
12/47

12

魔法の訓練三日目の朝


 最近の日課である朝の走り込みを早めに終わらせる為に、今日は何時もより早く起きた。何時もは六時前には起きてたけど今日は五時起きだ。割と睡眠時間は短めでも問題無い方だけど、流石に眠い。


まぁ走っていれば身体も頭も起きるだろう。ベナトばあちゃんを起こさないように、そっと支度をして家を出る。ベナトばあちゃんはきっかり八時間寝る方で、寝ている間は物音程度じゃ動じないのは知ってはいるが、これは気持ちの問題だ。


 軽く準備運動をして体をほぐしてから、何時もの道順で王都の中を走っていく。今日は何時もより早いからか、どこの家も静かでお店も開店準備もまだやってない所が殆どだ。


私と一緒で毎朝走っていて、顔を見れば声を掛けてくれるおじさんも見かける事は無かった。一時間違うだけで町並みも雰囲気も大分違うんだなと、面白い発見をしてなんか得した気分になる。


 走り終わったところで待ちに待った光魔法の練習だ。いったん家に帰って汗を流して、書斎からあの本を取ってまた家を出た。魔法の訓練場所だが、魔法の訓練をする時にいつも行っている、誰でも何時でも自由に使える大きな広場がある。利用者は私みたいな魔法の訓練をしている人や身体を鍛えてる人達だ。


少し速足で広場に行くと、広場の利用者はゼロだった。広場の時計を見てみるとまだ六時前だが、この広場は結構早い時間から利用する人も一定数居る。今日も何人かは居ると予想していたが外れたようだ。珍しい日もあるもんだ。でも広場を独り占めしている気分で悪くは無い。


だがそんなことより魔法の訓練だ。アルナイルは昂る気持ちを抑えて早速、持ってきた本を開いて光魔法について書かれていた場所を探す。目当ての場所を見つけたアルナイルは笑みを浮かべる。昨日は夜も遅くて細かく目を通せなかったからか待たされた分、期待を胸に膨らませながら早速本を読み始める。


「えーと・・・」


[光魔法の発現と継承] 遥か昔、ある一族の一人がこの島の地下深くに「星の意思」を見出した。その者はそれを一部地上に持ち帰り、一族で一番の魔力を持つ者を依り代とし、巫女として祭り上げた。

巫女は星の意思の恩恵を行使する力を得た。それを光魔法と呼ぶ。巫女の光魔法により島の住民をまとめ上げ、その一族を中心として島の人々も繫栄した。それが今も続いている王家である。また一族は、巫女の光魔法を絶やさない様に巫女と同様、魔力の高い者を伴侶とし子を成させた。

だが一族の期待も虚しく、その者には光魔法は発現しなかった。だが巫女は、確かに星の意思の恩恵を受けていると確信し、また、それは事実であった。 


 時が流れ、巫女の子が住んでいる地域一帯は、他の地域に比べ土地がやせる事も無く、人々や動植物も生命力に溢れている事が分かった。

一族は島全体を豊かに、また、治める為に、巫女の血を継ぐ者達を一族とは別に四つに分け、島の中心に後の王家となる一族を本家として置き、島の四隅に分家として分けた四つの血を継ぐ者達を置いた。

これが後の四大貴族であり、この王家と四大貴族の統治は現在まで続いている。一族は、巫女の光魔法の発現は一代限りの祝福であり、巫女の血に恩恵が与えられたのだと思った。


 巫女は四人の子を産み、その者達によって看取られた。一族総出でその魂を見送り、遺体は最初に「星の意思」を見出した場所に埋葬した。これは一族の一人が持ち出した「星の意思」の一部を、元ある場所に還す意味を込めていた。こうして光魔法は世から消えたかに思われた。


 だがある時、四大貴族の子の内の一人が、魔法の成果を当時の当主に見せた所、判別不能の魔法であった為に王家に報告した結果、失われた光魔法である事が判明した。

その者は王家に家を移すことになった。これを境に、巫女の血を引く者達の中から光魔法が発現する者が度々現れるようになった。一族は大いに喜んだ。だが、光魔法が発現する年齢、性別、家元は規則性が無く、その世代に数人が発現する事も有れば、何世代も発現しない事もあった。

一族は、光魔法は確かに巫女の血によって継承はされてはいるが、その発現は極めて稀であると結論付けた。

 更には、巫女の血の恩恵は年月を重ね、巫女の血が薄くなっても消える事はなかった。その為一族は、光魔法に対し特別視こそすれ固執はしなかった。発現した者を可能な限り、本家である王家に取り込む程度であった。これが、今も続く王家によるこの島の繁栄と、光魔法の発現と継承の要約である。


(・・・え?これって魔法書というより歴史書じゃない?)


それがアルナイルの正直な感想だった。目を通した部分だけ見ればこの本は、この島の光魔法と王家の関係性を記したの歴史書の様な物だ。


アルナイルは諦めずに本を捲り続きを読んだ。だが内容は先程と同じような内容ばかりだった。それでもめげずに何とか光魔法の習得方法の文字を探した。

数分程探して、ようやくそれらしき文字を見つけた。今度こそはと想いを込めて読む。


[光魔法の発現方法] 歴代の光魔法を発現した者。これを一族は「継承者」と呼称するものとなり、長年に渡って記録されている。継承者には殆ど共通点が無いと思われていたが、少しずつそれが明かされている。

確実に判明している事は、歴代の継承者は、魔法の才があり魔力量も豊かで健常者である事。男性より女性の方が多い事。発現時期は二十代までが目途であり、それ以降は殆ど発現しない事。

だが最大の特徴は、継承者の光魔法は同じ光魔法であっても、全く性質の異なった魔法である場合が殆どだという事である。継承者が数人存在した時代に、継承者同士で互いの光魔法を習得しようと試みた事があったが、魔法を発動する際の魔力は皆同じであったにもかかわらず、悉く失敗した。


 この特徴から光魔法とは、光の魔力の使い手による固有魔法であると結論付けられた。つまり光魔法とは、一族の中で稀に光の魔力を宿す者が現れ、その魔力をその者の固有魔法として発動させてるのだ。

固有魔法である為に、光の魔力の使い手が判明したとしても光魔法が発現するかは本人の才能による部分が大きい為、未だに確実に光魔法が発現する方法は確立されていない。

また、光の魔力を認知できる者は同じ光の魔力を宿している者だけである為、光の魔力の使い手と自覚していない者も少なからず居たと予想されている。


(・・・結局光魔法の習得に関する具体的な事は分からないって事か)


アルナイルは心の中で大きく溜息を吐いたが、一応モノは試しと少ない情報からやってみる事にした。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ