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星が照らす行先は  作者: 健健
一章 アルナイル
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お昼はベナトと二人で久ぶりに外食する事にした。殆ど毎日家に籠って仕事をしているベナトを想ってのアルナイルなりの気遣いだ。


「外食なんていつ振りだろうねぇ。」

「偶には外で食べるのも気分転換にはいいですよ」


そう言いながら運ばれてきた料理を食べ始める。アルナイルの、今月で辞めるが職場の近くにあるこのお店はベナトと暮らし始めるまでは結構お世話になっていた。


二人暮らしを始めてからは自炊している。他愛ない話をしながら暫く食事を楽しんだ後、話題は傭兵ギルドの事へと移った。


「ところでアル、彼奴と話したんだろ?どうだったね」

「ギルド長の事ですか?取り合えずベナトばあちゃんと同じであまり好きにはなれなそうな人でした」


そう言うとベナトばあちゃんのギルド長への愚痴が始まった。


「彼奴は昔からああなんだよ、人を怒らしたり揶揄ったりして反応をたのしんでるんだ」

「昔からの知り合いなんですか?」

「腐れ縁って奴さ。生まれも育ちも同じで傭兵になった時期も同じだったのさ。それで少し話を変えるけど、傭兵ギルドではパーティーを組んで仕事するんだ。最低でも四人はいなきゃ仕事は受けれない。それで私は彼奴と他二名の四人でパーティーを組んだ」

「なんでギルド長と組んだんですか?」

「私も若かったからねぇ」


お茶を飲んで少し笑いながら話を続ける。


「彼奴は性格が問題なだけであってそれ以外は普通の人より秀でてた、頭も身体も魔法の才もね。悔しかったけど私もそれは認めていた。だからある種の目標として彼奴と一緒に組んだ」

「なるほど」

「それからは散々だったけどねぇ。彼奴のせいでパーティーメンバーは辞めるわ当時のギルド長から目を付けられるわでねぇ。色々あって最後の方はパーティーも安定してねぇ、数字も二まで上がったところで傭兵としての限界を感じて私は引退して今に至るのさ」


それからまた他愛ない話になり食事も終えて店を出た。

一か月後には傭兵になる、その為にも色々準備をしなければ。魔法の訓練もそうだが何より体力を付けないといけない。

(・・・取り合えず走るか)

それから一か月の間、毎日全力疾走で王都を走る女性がいると噂されるがアルナイルは気にしなかった。



___________________________


 ベナトはより一層アルナイルの魔法の練習に力を入れる事にした。一ヶ月で実戦で使えるようにするのは普通は無理だ、だがアルナイルは普通ではない才能があった。きっと出来るだろうとベナトは思う。


そして訓練を初めて僅か三日で、その思いは確信に変わることになった。


 まず初めにアルナイルがどんな魔法が得意かを知る必要があった。魔力の使い方は人によって様々だが簡単に言えば二通りで、魔力を放出するか物体に流すかだ。


放出する魔法は文字通り魔力をある程度威力が出るまで溜めて放つ魔法だ。

後者の魔法は付与(エンチャント)魔法と呼ばれるもので身体能力や武器を一時的に高めることが出来る。


アルナイルは放出魔法を基本的なモノは既に習得している。簡単な話、放出魔法は集めた魔力を飛ばすだけだ、コントロールは別として。

だが付与魔法は難易度が高く、ある程度の才能が必要だ。逆を言えば、たとえ優れた魔法使いでも才能が無ければ習得する事は不可能である。


初日は魔力の質と密度をより高める事を目的とした。練習の仕方を一日掛けて教え、 二日目は放出魔法の精度を高める方法を教えた。それぞれのやり方は覚えたので後は自己練習に励ませる事にした。


三日目の朝、ベナトが目覚めた家にはアルナイルは居なかった。最近は朝早くに起きて王都の中を体力作りと称して一時間ほど走っていた。

今日もそれだろうと、アルナイルの分の朝食も作って、まだ眠たい頭と身体を起こす事にした。二人とも朝は軽めなのでパンとスープで十分だ。先に済ませてゆっくりしているとなにやら慌ただしくアルナイルが帰ってきた。


「ベナトばあちゃん!やりましたよ!出来ました!!」

「おはよう、アル。そんな嬉しそうにして何が出来たんだい?」


朝から騒がしいねぇと思いながらも、ベナトの口元は笑みを浮かべていた。


「聞いたらびっくりしますよ、ベナトばあちゃん」

「へぇ?私が最近一番びっくりしたのは、あんたが五属性に適性があった事だけどそれと同じくらいとはねぇ、楽しみだよ」


そう口では言ってみたが大体想像はつくってものだ、大方三日目にして修業の成果を出したのだろう。もしかしたら教えてもない付与魔法でもやってみたら出来たのかもしれない。

アルは天才だ、可能性はゼロではないだろう。そう思っていた。だが・・・


「ベナトばあちゃんの書斎にあった古い本に書かれていた光魔法が使えました!」

「・・・はい?」



どうやら想像は所詮想像でしかないようだ。



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