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第2話 テンプレにはテンプレが添えられています。


早速読んでくれてありがとうございます〜。

誤字報告も、ありがとうございます!


それでは、本日もよろしくどうぞ!


 








 シエラ様から説明を受けました。




 要約します。



 一、ここは《精霊と乙女と愛のワルツ》という乙女ゲームの世界、または類似世界だよっ☆


 二、ご都合主義ワールドだよっ☆


 三、魔法=精霊術というのがあるよっ☆


 四、精霊王と精霊がいるよっ☆


 五、精霊王はヤンデレ好きで、それが原因でご子息にはヤンデレ属性付与という呪い(?)がかかってるよっ☆


 六、シエラ様は乙女ゲームの悪役令嬢ならぬ当て馬令嬢で、ルイン様はラスボスでしたっ☆


 七、ルイ君は一般教養のお勉強中のため、エクリュ侯爵家に居候中の軍人さん(居候とはいえ、生活費は自己負担らしい)ですっ☆



 まとめ、異世界転生というテンプレには乙女ゲームというテンプレが添えられていましたっ☆







「だぶー(お疲れ様です)……」


 無駄に波瀾万丈な人生を送られてきたらしい先輩シエラ様に思わず敬礼。

 というか、神様がヤンデレ好きってのが驚きっす。

 ヤンデレ好き過ぎて息子達にヤンデレ属性がついたってどんだけですか。


「俺が実際にヤンデレになったのはシエラを好きになってからだから……好きな人ができたらヤンデレが発動すると思うんだ。だから、つい君を連れて来た時、どこかの令嬢を好きになって、ヤンデレが爆発して拉致監禁して、手篭めにしてしまったのかなって思っちゃったんだよ」


 ルイン様はそう補足説明しながら笑いますが、ツッコミどころ多過ぎです。

 ヤンデレが爆発ってなんですか。

 確かに好きな人ができたら発動する、時限爆弾みたいなもんかもしれませんけど。

 というか、手篭め……オブラートに包んでますけど、それって……。


「まぁ、愛の力でヤンデレはかなり抑えられるけど……逆を返せば、中途半端な愛情じゃヤンデレ大暴走だから、ちゃんと愛する人を作るんだよ?」

「分かってるよ、兄様。ちゃんと恋人は作らないからさ」


 ルイン様の言葉に、ルイ君は大人しく頷く。

 普通、親に〝恋人作りなさいよ〜〟とから言われるだろうけど、逆に恋人作るなときたか……。

 いや、中途半端な愛情だと愛の力(?)が足りなくて、ヤンデレ大暴走だから仕方ないのかな……?

 …………というか、ヤンデレは愛の力次第で、溺愛に変換されるって聞いた時はんなアホなと思ったけど……。

 シエラ様という生き証人がいるなら、納得するしかないよね……。

 生涯にただ一人だけを愛するーーー重いとも思っちゃうけど、逆を返せば一途ってことだよね?

 …………まぁ、うん。

 さっきは取り敢えずだったけど、今は超納得。

 ルイ君にヤンデレ属性付与されてたらぶっ飛んだ考え方もあり得るよね。



 ……結論。どの世界でも愛の力は強し。




 どこか遠い目をする私を見て、シエラ様は「うふふっ」と笑う。

 そして、優しい声で告げた。


「まぁ、とにかく。ここは異世界だから元の世界の常識は基準にならないわ。だから、たとえおかしいと思ってもそういうもんだと思ってしまうしかないわね。上手く適応して頂戴」


 …………あぁ……うん。

 まだ前世の記憶が強いから分からないけど……これから慣れていきます。


「大丈夫よ。大変だったこともあるだろうけど、アリエスさんは一人じゃないわ。拾ったからにはルイ君が責任を持って育てなきゃいけないし、私達もいる」


 その笑顔はまるで聖母のような慈愛を感じさせて。

 私は感動して目を潤ませてしまう。

 シエラ様っ……! 格好いいっ……!


「それに私の子供達もきっと、助けてくれるはずよ」


 ……………………え〝?

 だけど、その言葉で私は固まる。

 いや、だって……シエラ様、見た目十代……高校生ぐらいだよね?

 もう子供いんのっ!? 早すぎない!?

 はっ!? 早速これが異世界常識っ!?


「いやいや、アリエス。義姉様は十代じゃないよ。もうーーー」

「ルイ君。女性の年齢は簡単に口にするものじゃないのよ?」


 ぶわりっ……!

 殺気にも似た威圧に私とルイ君は震え出す。

 あれですね!? 年齢は女性にとって禁句ってヤツですねっ!?


「あははっ、取り敢えず成人した子供がいるくらいには年取ってるよ」


 ルイン様はシエラ様の肩を抱き締めて、頬や額、目尻などにキスをして宥めてくれる。

 …………えーっと……最低年齢はなんとなく察したけど、言わないでおきます。


「…………そ、そうだった。話は変わるんだけどさ。アリエス、身体のことはどうする?」


 ルイ君は慌てて話を変えるようにそんなことを言ってくる。

 私もシエラ様のお怒りが怖いから、それに乗っかる。


「だう(身体)?」

「そう。さっきも言われたけど、拾ったからには君が独り立ちするまではちゃんと面倒を見るよ。でも、アリエスの精神は成人女性で……今は赤ん坊でもある。大人にお世話してもらうことになると思うんだけど……大丈夫?」


 …………あっ!

 そう言われてはしまえばそうだと思ってしまう。

 私の精神年齢はもう大人。

 だけど、身体は赤ちゃんだから、おしめとかお風呂とか全部大人にやってもらわなきゃいけない。

 そ、それはっ……ちょっと羞恥心がっ……!


「だからさ。五歳くらいまで身体だけ成長させちゃえばいいんじゃないかな? そうすればトイレとかお風呂とか最低限のことは自分でできるし……五年くらいは身体が成長しないけど、それ以降はちゃんと成長し始めるし」

「……確かに、この精神年齢でお世話とかされたら精神がゴリゴリ削られそうね……。でも、アリエスさんの命の危険は大丈夫かしら?」

「大丈夫。兄様と一緒にやれば安全に身体だけ成長させられる。どうする? アリエス」


 そんなことできるんですか……。

 命の危険がないならお願いしたいです……。


「分かった。兄様、頼める?」

「まぁ……流石に成人女性の精神で赤ちゃんのお世話を受けるのは、精神衛生がよろしくないか……。いいよ、協力する」

「ありがとう。義姉様、アリエスの服の用意をお願いしていい?」

「えぇ。任せて頂戴」


 ルイ君とルイン様が神々しく輝き始め、その光が私をふわりと包み込む。

 …………おぉう……暖かいけど、超眩しいぃ……。


「だう(おう)?」


 すると、私の身体がじわじわと熱くなり、身体の感覚みたいなのが徐々に変わっていく。

 グイッと伸びる手足に、重量感も変わって……。



 ポンッ♪



「うわっ!?」


 大きな煙が私を包むと同時に、私の身体は五歳くらいまで成長していた。

 うわぁ……! 本当に成長してるぅ……!

 というか、なんか可愛い水色のワンピース着てるっ!?


「私の娘のワンピースよ。成長したと同時に転移させて着せたの。流石におくるみのままじゃ可哀想だったしね?」

「ありがとうございます。シエラさま、ルインさま」

「どう致しまして」

「少しだけしか協力してないけどね」


 私は頭を下げてお礼を言う。

 ついでにグイッと顔を上げて、ちょっと驚いた顔をしているルイ君にもお礼を言った。


「ルイ君もありがとう! たすけてくれたし、私のことを思ってせいちょうもさせてくれたし! ほんとーにかんしゃしてるよ!」


 ルイ君は大きく目を見開いて、固まる。

 そして……ふわりと眩しいくらいの、蕩けたような笑顔を浮かべた。



「……あははっ、どう致しまして。拾ったからには、最後まで責任取るよ」



 ズキュンっ!

 ふぁっ……!? い、今までと比にならないくらいのイケメンスマイルっ……!?

 ちょっとっ……喪女の精神にダメージ与えてくるレベルで神々しいっ……!?

 顔がヤバいくらいに熱い! いや、身体中熱い!

 …………サラッとそんな格好いいこと言えちゃうのも、ポイント高いよ……!


「……………」

「……………」


 互いに無言で見つめ合う私達。

 片や傾国の魔性スマイル、片やそれをもろに食らった私。

 暫く黙ってたけど……ちょっと楽しげな笑い声にハッと我に返る。

 慌てて振り返ったら、ニマニマ笑うシエラ様達を見て、私は固まってしまった。

 …………こ、この笑顔はっ……。


「おっと。笑い声で邪魔してしまったかな?」

「部屋の外に出てましょうか?」

「いやいやいや、いてくださいっっ!」


 ほらぁぁぁ!

 なんか勘違いしてるぅぅぅ!


「ふははっ。ちょっかいをかけるのはここまでにして……アリエスはルイの保護下に入るってことでいいんだね?」

「うん。ちゃんと面倒を見るよ」

「ならいいんだ」


 ルイン様はその返事に満足げに笑う。

 そして、私を見つめて微笑んだ。


「では、歓迎するよ。ようこそ、エクリュ侯爵家へ」

「よろしくね、アリエスさん」

「これからよろしく、アリエス」

「っ……!」


 ルイン様、シエラ様、ルイ君が優しい声でそんなことを言ってくれる。

 私は思いっきり頭を下げて、元気よく告げた。


「はいっ……よろしくお願いします!」



 生まれ変わって早々に捨てられて。

 あのまま死んじゃうのかなぁ……って思ったけど。






 もしかしたら……捨てられたのは、ルイ君達に出会うためだったのかな?










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